『Shift』インタビュー
ユアネスが語る、バンドとして変わらず大切にしていること「真ん中にあるのは歌」
「伝えたいこと、やりたいことはずっと同じ」
ーー続いてはインタールードの「T0YUE9」(ルビ:かわんないよ)。
古閑:「少年少女をやめてから」から、いきなり「夜中に」にいくと違和感があると思って。これもEP全体の仕掛けのひとつなんですが、日が落ちて、夜になっていく設定になっているんです。なので、この2曲の間に日が暮れていく風景を思い描けるような曲を入れたいなと思い、作りました。
ーーなるほど。「夜中に」はピアノと歌ではじまる叙情的なバラードナンバー。まさに歌を聴かせる曲ですね。
古閑:そうですね。前作に入ってる「Bathroom」が自分にとってかなり強い曲で。その楽曲とどう戦って、どうやって超えていくか? と考えたときに「引き算してみよう」と思ったんです。ボーカル、歌詞をしっかり真ん中に置いて、伝えたいことをさらに明確にすることで、「Bathroom」とは違う色が出せるんじゃないかなと。
黒川:もともとバラードが得意なので、「夜中に」みたいな曲が歌えるのはすごく嬉しかったです。でも、レコーディングではかなり苦労しました。表情の出し方、感情の伝え方についていろいろと考えて……。この歌詞には男性と女性が出てくるんですが、「ふたりのことをすぐそばで見ていたとしたら、どんな気持ちになるだろう?」という意識で歌ったんですよ。それが(歌詞の世界を)自分に当てはめることになると思ったし、そういう意識で歌うと、声色もぜんぜん違ってくるので。ライブではお客さんの顔を見て歌いたいんですが、しっかり伝えようとすればするほど、目を閉じちゃうんですよね(笑)。
ーーフィクション的な語り部ではなく、黒川さん自身の感情も投影しているんですね。こういうバラードを表現できるところも、ユアネスの武器だと思います。
黒川:それは僕だけではなくて、楽器隊の力ですね。さっき古閑が言ったように、引き算が出来る人たちなんですよ。フレーズを入れようと思えばいくらでもやれるんだけど、あえて弾かないという選択もできるというか。
小野:特に「夜中に」と「日々、月を見る」では、引き算をすごく意識していました。ただ音を減らすだけではなくて、一つひとつの音の響かせ方にもこだわっています。
田中:「夜中に」のベースに関しては、自分の味を出すのではなく、バンドの一部、音圧になれればいいという感じでした。それは消極的な意味ではなくて、歌とまわりの音を引き立たせることに全力を注ぐっていう。
ーー楽曲に対する理解力も向上しているんでしょうね。各楽器のアレンジは、メンバーそれぞれが考えているんですか?
黒川:そうですね。そこは個人で。
古閑:曲を作っている立場として、アレンジの方向性というか。「こうしてほしい」というものはあるんですが、伝えないことが多いです。それぞれが自分で考える力を付けてほしいし、僕が言わなくても気付いてほしいので。フレーズを探す力、察する能力というのかな。それがあれば、あとは細かいニュアンスをすり合わせるだけになります。今回の制作では、それがかなりできたと思います。
ーー最後の曲「日々、月を見る」については?
古閑:いちばん新しい曲です。全体の流れとして、「夜中に」で終わってしまうと、過去に対して未練がありすぎる気がして。もうちょっと清々しい気持ちを表現しつつ、おもしろい仕掛けができたらなと思って、「日々、月を見る」を入れることにしました。少しだけ前を見ている感じを歌詞とサウンドで表現した曲ですね。
黒川:セリフ調の歌詞が多いため、正確にピッチを当てるだけでなく、言葉の意味をどこまで出せるかを考えて歌いました。まだ歌詞の内容を完全に理解できてないと思うんですよ。これからライブでたくさん歌っていくなかで、自分なりにしっかり意味を作っていけたらなと。
小野:“日々月”は歌の感情を押し上げることを意識していて。ハイハットの開き具合、刻み方を含めて、言い尽くせないほどこだわりました。
田中:メロディがないドラム(小野)がそこまで考えているんだから、それを受け止めつつ、歌を伝えるためには何が必要かを考えながら制作していました。どこまでやれたかは、自分ではまだわからないですけど……。
ーー来年1月のツアー『Shift Tour 2019』のなかで、その答えが少しずつ見えてくるのかも。
黒川:ライブでやるとまったく変わってきますからね。「音源よりも熱量を感じた」と言われることも多いです。
ーー理想のライブのあり方も見えてきました?
黒川:どうだろう……?
田中:リラックスして観てほしいとは思いますけどね。
黒川:あ、そうだね。アーティスト写真とか音源のイメージで「クールな人たち」と思われることもあるんですが、ぜんぜんそうじゃないので。ライブに来てくれる人たちには、肩に力を入れず、自由な気持ちで観てほしいんですよ。僕らも好きなようにやってるので。
古閑:ユアネスのライブを観るときは、オフラインになれる時間にしてほしいんです。ふだんは仕事や勉強、考え事に追われている人が多いと思いますが、自分たちのライブのときだけはすべてをシャットダウンして、楽曲だけを聴いてほしいなと。
ーー全員でガッツリと盛り上がるというより、1対1で向き合うようなライブなのかも。フェスに出演することも増えてますが、おそらくかなり異色ですよね。
黒川:そうかもしれないですね。
小野:まわりに合わせるというよりも、フェスのなかでひとつの色になれたらいいなと思ってます。
ーーフェス用に盛り上がりやすい曲を作ったりはしない、と。
黒川:そこで焦る必要はないと思っているので。アガれる曲をやりたくなったらやるだろうし。ムリにやるのは違うかなと思っています。
古閑:そういうことをやると、ボーカルのテンションが落ちちゃうので。
黒川:すみません(笑)。ライブでミスしたときもそうなんですけど、あまり余計なことを考えると“沼”になってしまうので。
ーーバンドが表現したいことを真っ直ぐにやるということですね。
古閑:そうですね。
黒川:そこは曲げたくないですね。「方向性を変えた」と思われることもあるだろうし、外からは変化しているように見えるかもしれないけど、自分たちはまったく変わってなくて。わかりやすく表現できる技術は身に付いてきたけど、伝えたいこと、やりたいことはずっと同じなんですよね。
(取材・文=森朋之/写真=林直幸)
■リリース情報
ユアネス 1st EP『Shift』
発売中
価格:1,500円(+税)
<収録曲>
01.変化に気づかない
02.凩
03.少年少女をやめてから
04.T0YUE9
05.夜中に
06.日々、月を見る
■ツアー情報
『ユアネス「Shift Tour 2019」- ONE MAN TOUR -』
チケット:前売り2,500円(税込み/※ドリンク代別)
出演:ユアネス(※ワンマン)
チケット一般発売:12月1日(土)10:00~
日程:2019年1月5日(土)
時間:OPEN18:30/START19:00
会場:福岡 INSA
問い合わせ:ディスクガレージ(050-5533-0888/平日12:00~19:00)
日程:2019年1月13日(日)
時間:OPEN18:00/START19:00
会場:渋谷 WWW
問い合わせ:ディスクガレージ(050-5533-0888/平日12:00~19:00)
日程:2019年1月19日(土)
時間:OPEN18:30/START19:00
会場:名古屋 APOLLO BASE
問い合わせ:サンデーフォークプロモーション(052-320-9100/10:00~18:00)
日程:2019年1月20日(日)
時間:OPEN17:30/START18:00
会場:大阪 RUIDO
問い合わせ:GREENS(06-6882-1224/平⽇11:00~19:00)
■ライブ情報
『rockin’on presents JAPAN’S NEXT 渋谷JACK 2018 WINTER』
日程:12月9日(日)
会場:渋谷エリア ライブハウス
『大ナナイトvol.120 ~HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1 25th ANNIVERSARY~』
日程:12月15日(土)
会場:HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1
出演:Ivy to Fraudulent Game/MAGIC OF LiFE/ユアネス
『MERRY ROCK PARADE 2018』
日程:12月22日(土)
会場:愛知 ポートメッセなごや1~3号館
『COUNTDOWN JAPAN 18/19』
日程:12月31日(月)
会場:幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール
■関連リンク
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