倉木麻衣、多彩な表現の奥にある“変わらぬ魅力” ファンに愛され続ける温故知新のスタイルを紐解く
倉木麻衣が、10月10日に初のコンセプトアルバム『君 想ふ ~春夏秋冬~』をリリースした。まず目を引くのが、四季折々の表情が収められた華やかなジャケットだ。気持ちよく風にあたりながら花束を持ってはにかむ“春”、白い帽子に健康的な笑顔のコントラストが眩しい“夏”、実りの季節を感じさせる植物越しにクールに佇む“秋”、肌触りの良さそうな白いニットに身を包みまっすぐこちらを見つめる“冬”……四季折々の倉木麻衣を楽しめるのと同時に、改めて日本には美しい四季の顔があることを思い出させてくれる仕上がりだ。
一方で、これほど多様な表情を見ても、私たちが抱く“倉木麻衣”という大枠のイメージは、決して揺らがないことに気づく。透明感があり、凛としていながらも親しみに溢れた微笑み。それは、古来より日本人が理想としている大和撫子を具現化したような女性像だ。考えてみれば、彼女が「Love, Day After Tomorrow」でデビューしたころから、その印象は大きく変わっていない。彼女が、デビューをしたのは平成11年。実に19年もの年月が経っているというのに。なぜ、倉木麻衣に抱く魅力は、“変わらない”のか。
もちろん長い月日の間、彼女にも変化がなかったわけではない。2014年には『みんなでカンボジアに寺子屋を建てよう!』プロジェクトを始動して、倉木自ら音楽の授業を実施。さらに、2017年の国際女性デーよりスタートした『HAPPY WOMAN FESTAテーマソング制作プロジェクト』に参加するなど、世界に目を向けた活動も精力的に行なってきた。奥ゆかしい大和撫子の魅力を残しつつも、今を生きる女性らしいハツラツとした輝きも放つ。
その進化のさまは、倉木が新曲「花言葉」に乗せてPRを行なう、京都という街にも通じるものがある。私たちが、京都に日本古来の美しさを見出すのは、寺や城や街並みなど歴史的建造物が多く残っているからだけではないだろう。古い銭湯をリノベーションしてカフェや、町家の雰囲気を活かしたゲストハウスなど、伝統を受け継ぎながら巧みに新しい魅力を取り入れていく。その温故知新のスタイルにこそ、日本人の誇りを感じるからだ。