『V6の愛なんだ』総合演出に聞く、メンバーとの番組作り 「愛があるなと感じてくれたら嬉しい」

『V6の愛なんだ』総合演出インタビュー

V6は“愛と青春の人たち”

ーー今回の『V6の愛なんだ2018』ではV6メンバーが全国に足を運んでロケを行ったとのことですが。

江藤:V6と出会った時期もすごく良かったし、僕らスタッフとV6は、幼馴染というか、ちょっと特別な関係なんですよね。我々とV6でしかできない番組でありたい、というのはすごくあって、改めてそれがどういうことなのかを考えたんです。その結果、「未成年の主張」全国大会をやろうと決断した。『学校へ行こう!』というタイトルでやればいい、という意見もよくもらうんですが、2015年に『学校へ行こう!2015』を放送した時、V6が20周年で“一夜限りの復活”と謳っていた。その後でまた『学校へ行こう!』をやるのは嘘になってしまうし、V6が番組終了後、年齢を重ねてそれぞれの分野で活躍してきた中で、また『学校へ行こう!』というタイトルなのかな? と思って。みのもんたさんや渡辺満里奈さんなど、他の出演者も含めた上での『学校へ行こう!』ですし、再びV6と番組を作るなら、新しいブランドであるべきなのではないかな、と。

ーーなるほど。番組名にV6の楽曲でもある「愛なんだ」を入れた理由は何なのでしょう。

江藤:2015年の『学校へ行こう!』で、V6にサプライズをしたいな、と思って、「愛なんだ」をスタッフや出演者全員で踊ったら、メンバーがすごく喜んでくれて。その時、手前味噌ながら愛のある良い番組だな、と思ったんです。V6って何なんだろう、と改めて考えたら、“愛と青春の人たち”だな、と。V6の良さは愛なんだな、というところから、「愛なんだ」にたどり着きました。本当に、良い人たちなんですよ(笑)。一般の方を対象にしたり、地方に行ったり、と言ってしまえば効率の悪いロケも多いんです。でもそれを楽しみにしていてくれるメンバーに、学生さんや我々スタッフへの愛を感じますね。だから、良いタイトルを考えたなと(笑)。

ーーメンバーの愛に溢れる感じは、視聴者にも伝わっていると思います。

江藤:V6って、クサいセリフを言っても許される。他の人が真面目に「愛じゃないかな」って言ったら「寒っ」と思われそうですが、V6が言うと何だか受け入れられるというか。“青春バカ”なところがあって、良いですよね。『学校へ行こう!』が生まれた背景にはシリアスなところもありますが、基本的にやっていることはくだらなくて。ゲラゲラ笑っているうちに「学校って良いところじゃん」って思ってくれたら良いなという思いでした。『愛なんだ』も一緒で、くだらないことばかりやっていますが、愛があるな、と感じてくれたら嬉しいなと思います。

ーー前回の『V6の愛なんだ2017 史上最高の夏まつり!』でもそうでしたが、各地の学校に6人で車で移動している様子も番組の一つの見どころになっています。

江藤:V6の普段の感じが分かるし、なるべく6人だけの空間を見たいかな、と。V6とともに育ってきたファンもいるし、この番組でV6を知る人もいるだろうし、とにかく視聴者の皆さんに良いグループでしょ? って言いたいんです。今回は井ノ原(快彦)も朝から張り切って参加していましたよ(笑)。

ーー久々にV6の皆さんと番組を一緒に作っていて、変化を感じることはありますか。

江藤:当時は、“V6”というグループ名が先にある感じでしたが、個人での活動にも力を入れ、メンバーそれぞれの名前が認識されるようになったことで、今ではメンバーがV6に“戻ってくる”感じがしています。僕が彼らと出会った時から比べると、本当にそれぞれが立派に活躍している。なので、2015年のスペシャルをやる時に、前の距離感ではなく、しっかりと一人の大人として向き合おうと思って、打ち合わせでも真面目に話をしていたんです。そうしたら岡田(准一)が話を聞きながら、僕の似顔絵を描いていたので「ほう、上等だ」と(笑)。そんな風に変化した部分と変わらない部分、どちらもありますね。以前はこの企画をやろう! とこちらが指定している感じだったのが、これどうかな、と企画内容についても相談しながら決めるようになりました。

ーー学生たちとの関わり方に変化はありますか? 前は学生と近い年齢のお兄さんという感じだったかと思うのですが。

江藤:V6が年を重ねたことで、立ち位置は変わっていますよね。だから、今のV6の立ち位置で番組をやるべきだな、と。昔は何歳か上のお兄ちゃん、上級生だったのが、担任の先生くらいになっている感覚で。ロケ中もやんちゃな学生たちを微笑ましく見ていますよ。

ーー『学校へ行こう!』時代から変わらない、一般の方が出る番組ならではの面白さもこの番組の魅力の一つです。

江藤:僕がこれまで携わった番組は一般の方が出る番組が多かった。プロの計算し尽くされた笑いももちろん素晴らしいですが、一般の方は瞬発的にとんでもないことが起きるのでご一緒していて楽しいですね。あとはいかに一生懸命な、熱のある方と一緒にやるか。今回「未成年の主張」である進学校の男子校に行ったんですが、言いたいことがありすぎて頭で考えていることに口が追いつかなくて噛み倒す、という熱量の高い生徒がいました(笑)。あと男子校って斜に構えた生徒が多いのかと思っていたんですが、最後の生徒が出てきた時まですごく盛り上がってくれて、フランス革命みたいになってましたね。この例え、合ってますか?(笑)さらに今回は「レディー・ガガと会って話してみたい」という学生の熱い夢を叶えるために森田(剛)とアポなしのイタリアロケにも出かけています。

ーーその他に江藤さんのオススメコーナーはありますか?

江藤:一つ挙げるとすれば、カトリック系の校則が厳しいお嬢様学校に行って、コギャルの格好をしたい、という生徒の夢を叶えた企画でしょうか。校長先生が「V6が来て一緒にイベントをやる、かけがえのない体験を本校の生徒から奪って良いのか」と考えて許可してくださったので、一切の忖度なしで思い切りやってきました(笑)。 あとこの企画が実現したのは生活指導の先生が、たまたま『学校へ行こう!』を観ていた世代の方だった事も大きかったです。長くやってて良かった(笑)。視聴者の皆さんにも良い学校だな、と思ってもらえると思います。そう思ってもらえるように作るのも僕らの仕事ですし、最低限の礼儀ですよね。参加者にとって良い思い出になってほしいなと思って作っています。

ーー最後に、今後番組が目指していく方向性や番組を通じて伝えたいことを教えてください。

江藤:良い大人の僕が見てもグッとくる瞬間がいっぱいあるので、学生さんはもちろん、V6や番組と一緒に育ってきた人たち、さらに家族でも観てほしいですね。僕はネットで番組へのご意見を見る方なんですが、その中に「スタッフはバカなのかな」「放送尺という概念が分からないんだな、V6が好きすぎて」という書き込みがあったんです。この番組への視聴者の愛情をすごく感じました。本当にその通りで、3時間という尺に対して撮りすぎているんですよ。効率を考えたら絶対行かなくて良いロケもあるのに、V6も忙しい中協力してくれて。V6とスタッフの「絶対に面白くするぞ」という意地みたいな番組なので、その熱が伝わったら嬉しいです。

(取材=久蔵千恵、構成=村上夏菜)

『V6の愛なんだ2018』

■番組概要
『V6の愛なんだ2018』
9月24日(月・祝)19:00〜22:00
出演:坂本昌行、長野 博、井ノ原快彦、森田 剛、三宅 健、岡田准一
番組公式HP

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