草なぎ剛というエンターテイナーは何にも縛られない 宮藤官九郎との対談から感じたこと

 そんななか、この夏、人気YouTuber水溜りボンドとのコラボ動画には衝撃が走った。サムネイルからもわかる、草なぎの気迫に満ちた表情。まさかYouTubeで彼の本気の演技が見られる日がくるとは。いよいよ時代が変わったのだと感じずにはいられなかった。それと同時に、新しいものが生まれている喜びも。YouTube動画のプロ・水溜りボンド×演技のプロ・草なぎ剛が化学反応を起こすと、こんなにもワクワクするものができるのか、と。コメント欄には、幅広い世代の視聴者からの感想が届き、水溜りボンド、草なぎ双方のファンが、お互いにリスペクトするような書き込みが並ぶ。日常に、こうした感動を生み出すのがスターの存在なのだろう。

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 水溜りボンドの企画力の高さと、草なぎのオープンマインドがあったからこそ実現できたこの企画。水溜りボンドもドッキリや無人島企画、都市伝説など様々なことに興味を広げ、毎日投稿を“やり続ける”YouTuber。草なぎのポリシーに共鳴する部分があるのだろう。YouTubeという新たなエンタメも黎明期を超え、YouTuberも気軽に投稿してきたところから、次に何が見せられるかを迫られていく時期に入ったように思う。それは、かつてアイドルという概念を再構築しなければならなかった、SMAPの置かれた環境と似ているかもしれない。ゼロからマスターすることが好きな草なぎが、YouTubeにハマるのも必然だったように思う。

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 「自分が何者かなんて、今、どうでもいいんだろうなと感じました」。対談を終えた宮藤は、草なぎの“今”をこんなふうに綴った。アイドル、俳優、歌手、YouTuber……そのどれでもあって、どれでもない。草なぎ剛というエンターテイナーは、何にも縛られないのだ。だから、どんなに時代が変化していっても、どんなに環境が変わっても視聴者を楽しませることができる。もしかしたら私たちは、人間・草なぎ剛に『人はどれだけ自由に歳をとっていけるか』というテーマの人生舞台を見せてもらっているのかもしれない。

(文=佐藤結衣)

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