フライング・ロータスが語る、『KUSO』と日本文化「三池崇史、塚本晋也、北野武は僕のヒーロー」
また、今回の作品は日本のカルチャーから多大な影響を受けていることを明かし、尊敬する映画監督として、三池崇史、塚本晋也、北野武らの名前を挙げる。そして、「僕にとって、彼らはヒーローさ。ここ20年くらい、映画はもちろんアニメやラーメンに至るまで、僕は日本のカルチャーからインスピレーションを受けまくってるんだ。第二の故郷だと思っているくらい。今回、この映画を日本で上映することで恩返しができたと思うと、すごく嬉しいよ」と語った。
ベーシストのサンダーキャットが楽曲提供をするなど、ブレインフィーダーの面々が制作に携わっていることについて聞かれると、スティーヴは「周りの友達のおかげで、作品を形にすることができた。みんな本業ではないのに、音楽や衣装のことで街中を駆け回って協力してくれた。自分でお金を出して、友達と一緒に作り上げたという意味で、本作は真のインディペンデント映画だと言えると思う」と回答。また、パーラメント/ファンカデリックを率いるジョージ・クリントンが、虫で患者を治療するマッドな医者を演じていることについては、「もちろん、彼本来のキャラクターに合わせた当て書きだよ!」と言って観客たちを爆笑させたほか、「ジョージは撮影の直前になって、『俺は演技なんてしたことがない』と言っていたけれど、いざ本番になったら即興を交えながら想像以上の演技をしてくれた。彼に役者としての才能があることは疑いがない」と称した。司会者から、本作の独特な作風について、「スティーヴさんの頭の中を覗いてしまったような感覚」と言われると、「そういう面もあるかもしれない。この映画では、僕がどういうものを可笑しいと思うか、どういうものを見たときにギョッとするか、どういうものを怖いと思うかを表現したから。一種のダークジョークだね。もちろん、四六時中こんなことを考えているわけではないからね(笑)」と言って、またも観客たちを笑わせた。
日本のカルチャーについて改めて問われると、スティーヴは「おそらく日本とアメリカでは、根本にある発想が違うのだと思う。『僕のヒーローアカデミア』『ドラゴンボール』『カウボーイビバップ』『寄生獣』『殺し屋1』『AKIRA』『新世紀エヴァンゲリオン』……大好きな作品はたくさんあるけれど、どれもアメリカでは絶対に出てこないタイプのものだよ。日本には先見の明を持ったアーティストが大勢いて、そこにすごく惹かれているんだ」と語り、プレミアム上映会は幕を閉じた。
海を渡って伝わった日本のカルチャーを、LAの天才ヒップホップアーティストの視点から再構築した作品としても、『KUSO』は興味深い作品といえるだろう。8月18日から24日にかけて、渋谷シネクイントで一週間限定のレイトショーとなるため、見逃さないように。
(取材・文=松田広宣)
『KUSO』
8月18日(土)より渋谷・シネクイントにて1週間限定レイトショー
監督:スティーヴ
出演:ハンニバル・バーエス、ジョージ・クリントン、デヴィッド・ファース
音楽:フライング・ロータス、ジョージ・クリントン、エイフェックス・ツイン、山岡晃
配給:パルコ
宣伝協力:ビートインク
2017年/94分/アメリカ/英語/カラー/DCP/原題:KUSO/R18+
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