back numberは東京ドームでもback numberのままだったーー骨太なロックバンドとしての佇まい

back number、東京ドーム公演レポ

 「初めての東京ドームということで。(客席を見ながら)助かったよ、ありがとう。なるべく普通にやりたいと思ってるだけど、まあ、ムリでしょ(笑)? どうしても特別にはなってしまうんだけど、自分たちが一生懸命作ってきた歌が(東京ドームで)どう響くか、お互いに確かめたいと思っています」(清水)という最初のMCからも、東京ドームという日本最大級の会場、そして、この場所に足を運んでくれたオーディエンスと真摯に向き合いたいという思いが伝わってきた。また、清水の歌をしっかりと支え、骨太のバンドサウンドを生み出す小島和也(Ba)、栗原寿(Dr)の演奏からも、このツアーにかける思いの強さが感じられた。

小島 和也

 「いろんな時期に作った曲をやるので、どうか前のめりで楽しんでほしい」(清水)というコメント通り、今回のツアーでは約10年に及ぶこれまでのキャリアを象徴するような新旧の楽曲が演奏された。このバンドの軸とも言える切なくて哀しいラブソング、思い通りにいかない現状を打ち破ろうとする意志を描いたナンバー、ユーモアと攻撃性を交えたロックチューン。メンバー自身の生の感情が凝縮された楽曲が次々と披露され、東京ドームという晴れ舞台で大スケールのステージへと結びつく。まるでライブハウスのような臨場感と圧倒的なエンターテインメント性がひとつになった構成は、back numberならではのものだろう。

栗原 寿

 個人的にもっとも心に残ったのは最新シングル「大不正解」(映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』主題歌)だった。〈僕等は完全無欠じゃ無い〉というフレーズで始まるこの曲は、強靭なバンドグルーヴとダイナミックな起伏を持ったメロディがぶつかる合うアッパーチューン。ロックバンドとしての熱量の高さ、力強さが前面に押し出された「大不正解」を東京ドームで堂々と鳴らし、観客を熱狂させたシーンは、今回のツアーの大きなポイントだったと思う。「高嶺の花子さん」「クリスマスソング」「ヒロイン」「瞬き」などのヒット曲により、老若男女に愛されるポピュラリティを手に入れたback numberだが(実際、この日のライブにも本当に幅広い年齢層の観客が集まっていた)、根本にあるのは泥臭ささえ感じさせるロックバンドとしての佇まいなのだ。

 約3時間に及んだこの日のライブで3人は(良いことも良くないことも、本当にいろんなことが起きた)、喜怒哀楽すべての感情を呼び起こす、さまざまな表現を見せ付けた。自分たちの全部をさらけ出し、観客と対峙しようとする姿勢は、まさに“stay with you”。東京ドームでも彼らはback numberのままだった。そのことをはっきりと確信できたことが、このライブのもっとも大きな収穫だったと思う。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■ライブ情報
『back number dome tour “stay with you” supported by uP!!!』(ソールドアウト)
7月29日(日)  愛知:ナゴヤドーム
8月11日(土) 東京:東京ドーム
8月12日(日)  東京:東京ドーム
10月27日(土)大阪:京セラドーム大阪
10月28日(日)大阪:京セラドーム大阪
ツアー特設サイト

■イベント出演スケジュール
8月18日(土)SUMMER SONIC 2018 ZOZO マリンスタジアム&幕張メッセ
8月19日(日)SUMMER SONIC 2018 舞洲SONIC PARK
SUMMER SONICオフィシャルサイト

back numberオフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる