29thシングル『やばば』インタビュー

Sonar Pocket、デビュー10周年で挑んだ“新たな音楽の届け方” 「僕らの楽曲もより身近なものに」

 9月にメジャーデビュー10周年を迎えるSonar Pocketが、29枚目のシングル『やばば』をリリース。男女の切ない恋愛を切り取った胸を撃つ歌詞が人気の彼らだが、今回は一転して遊び心がいっぱい。10代に人気の動画ソーシャルアプリ「Tik Tok」を使い、“やばばダンス”を踊るMVを公開するといった、マーケティングアイデアも導入されていて話題だ。また「やばば」には、プロデューサーとしてNAOKI-Tが参加していることも、背中を押したと話す3人。10周年を目の前に新たなチャレンジを可能にした、コライト(共同作曲)についても話を聞いた。(榑林史章)

「僕らが知らないところまで広がっている」(matty)

ーー「やばば」は、楽曲的にもビジュアル的にも、可愛さがあって、“若いな!”という印象でした。

ko-dai:前作の「108~永遠~」という曲は、少女漫画が原作の映画『honey』の主題歌だったこともあって、最近は10代のファンの方が増えたんです。「やばば」は、そういうファンや10代のリスナーを中心にたくさんの人に聴いてほしいと思って、楽曲を「Tik Tok」というアプリで配信して、MVティーザーをSNSでアップして、楽曲・映像・アプリなど、すべてが連動して楽しめる作品にしたいと思って作りました。

Sonar Pocket / やばば Full ver.(Music Video)

ーーキャッチーで耳をひく曲だし、映像映えもするし。音楽版の“インスタ映え”みたいな曲ですよね。

eyeron:それ、いいですね(笑)。MVでは“やばばダンス”を踊っていて、自分たちが10年音楽をやってきて、自ら踊ってMVを撮影したのは初めてです。

matty:めちゃめちゃ練習しましたよ(笑)。

ーー拡散のツールとして「Tik Tok」を選んだのは、どうしてですか?

ko-dai:まず今の音楽は、僕らが学生時代に聴いていた音楽よりも、身近になっています。以前はCDを買わなければいけなかったり、CDウォークマンを持ち歩かなくちゃいけなかったのが、スマートフォンさえあれば、誰でもどこでも音楽を楽しめる環境になりました。僕らの楽曲もそういう時代に合わせて、より身近なものにしていかないといけないと考えました。

 そこで今回「Tik Tok」を選んだのは、僕が個人的に使っていたのもあったし、みんなで踊るということに対して、すごく積極的に受け入れてもらえるアプリだったからです。実際に、Sonar Pocketという名前を知らなくて、「誰の曲?」と言いながら、“やばばダンス”を踊ってくれている人も多くて。曲が一人歩きするというのはこういうことなのかと、実感しています。

ko-dai

matty:僕らが学生時代に音楽を楽しんでいた時は、誰が歌っているか知らないなんて、あり得なかったですから。知らなくても、必ず人に聞いたり調べたりしたし。

ko-dai:でも今は、誰が歌っているかは関係なくて、曲が良ければいいんです。そういう時代であることは、「Tik Tok」を利用して分かったことの一つです。だからこそ面白いと思ったし。

matty:僕たちの名前を知ってもらうきっかけになった、「好きだよ。~100回の後悔~」(2010年)も、最初は「歌詞が良いよね」と、歌詞が先行して一人歩きしていたところがありました。きっとその時の感覚に近いのかもしれないですね。そうやって、僕らが知らないところで勝手に広まって聴いてもらえるのは、とても嬉しいです。

ーーここ数年、動画やダンスが広まったことが、ヒットに繋がった例は多いですからね。

eyeron:きっとこの先も、映像で広がる傾向がますます高くなっていくと思うので、そこを無視することはできないです。

matty:「好きだよ。~100回の後悔~」の時代は、「着うた」だったんですよ。着うたも動画も、携帯端末を介して広まるという共通項があります。

ko-dai:ただ、着うたの時代と圧倒的に違うのは、スピード感ですね。

eyeron:映像の作り方もそうで、テンポ感が速いものが受け入れられやすいし、展開が多い映像とか、短くたくさん面白いところを設けるとかしないと、なかなか観てもらえないんです。

ko-dai:今だったら(編集部注:インタビューは6月上旬に実施)、DA PUMPさんの「USA」が、すごく話題を集めていますけど、あの曲もスピード感があるし、映像にも目に止まる面白さが話題になっていて。「USA」のようにヒットするのは、宝くじを当てるくらいの確率の低さですけど、“たまたま”を狙ってはいたくないですよね。僕らなりにしっかりと理由を持って作って、その上で広がっていけばいいなと思います。

eyeron:もちろんここにたどり着くまでに、トライ&エラーは数え切れないほどあって。その過程も含めて、自分たちの中では、すごく大切な経験だったと思っています。

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