2ndアルバム『PROGRESS』

大橋彩香が語る、2ndアルバムでの進化を経て見つけた“新たな自分”

「めんどくさい人だなあって自分でも思いました(笑)」

ーーここからはその他のアルバム用の新曲について聞かせてください。2曲目の「Maiden Innocence」も今までの大橋さんのイメージにはないタイプの熱いロック曲です。

大橋:この曲は“アニメのかっこいいオープニングみたいな曲”ということでお伝えしてたんですけど、そこから中二病の要素も付け加えてくださって。歌詞がすごく中二病っぽいんです。歌詞にカッコが多いというか、独特の読み方でルビを振ってあるものが多くて、歌詞カードがないと読めないと思います(笑)。

ーー<情熱>と書いて<おもい>とは普通読みませんもんね。

大橋:そうですよねー。曲調もすごくカッコ良くて、最初にいただいたバージョンは打ち込みだったんですけど、完成版は生音になってて「うわあ! オケがカッコイイ!」ってなりました。アルバムにカラオケバージョンが入ってなくて申し訳ないんですけど、みなさんにもオケだけで聴いていただきたいぐらいです。

ーーそのカッコ良さにつられてか、歌もいつも以上に熱い感じです。

大橋:「力強く歌ってください」ということで。でも、必死感はないほうが合いそうだなと思って、ちょっとすかした力強さみたいなものをイメージして歌わせていただきました。

ーー3曲目の「Break a Liar」はフューチャーベース風のダンスポップで意外でした。

大橋:ホントですか? でもこの曲が私のいちばんやってみたかった曲なんです。最近ダンス曲を聴くのにハマってて、それに影響を受けて「やりたい!」とお願いして作っていただきました。

ーーどんなダンス曲にハマってるのですか?

大橋:三浦大知さんとかBTSをはじめとしたK-POPの楽曲をよく聴いてます。私はダンスが超苦手なんですけど、踊ってみたい欲が出てきてしまって、今ダンスも習ってるんですよ。本当に踊れないんですけど……でも身体を動かすのは気持ち良いですよね(笑)。この曲をカッコ良く踊るのが目標です。

ーー間奏のドロップ部分とか、いかにもライブで踊りそうな作りですし。

大橋:そうなんですよ! 「私、踊りますよー」みたいな部分がたくさんあって、ハードルが上がりますよね(笑)。でも、めちゃくちゃカッコイイですよねー。メロディーラインがキャッチーですぐ覚えられましたし、伸びやかで歌いやすかったです。私は(声を)伸ばす歌がすごく好きなんですよ。

ーー後半ではエモーショナルなフェイクも聴けます。

大橋:あれも自分から「歌いたい」と言って入れてもらいました(笑)。「ダンス曲にはフェイクがないと!」ってずっと思ってたので「ラストとかに入れられませんかね?」と言ってたら入ってたので、うれしかったです。ライブで披露するときは(主旋律とフェイクの)どっちを歌おうかなと思ってるんですよね。

ーー歌詞もいつになく攻撃的というか挑発的というか。

大橋:“ウソ”をテーマにした曲を歌いたいとお伝えしまして。それと中性的な曲を歌いたくて、一人称が「僕」でもいいかなと思うぐらいの気持ちだったんです。そしたら台詞調というか、大橋彩香の曲としては言葉使いや語気が強い感じの曲になりました。主張がすごいというか訴える感じがあるので、歌う時もそういうのを爆発させる感じを意識しました。

ーーそこからシングル曲の「ユー&アイ」を挿んで、5曲目の「希望フォトグラム」はいつもの大橋さんらしい明るい曲で。

大橋:今までの大橋彩香っぽい曲も新曲の中に1曲はほしいということで。元気で王道な大橋彩香といえば真崎エリカさんということで、今回も作詞をお願いしまして、“これからもみなさんといろんなメモリーを作っていきたい”というテーマの歌詞になりました。

ーー同じく真崎さんが作詞された2ndシングル表題曲「ENERGY☆SMILE」(2015年)に通じる雰囲気もあります。

大橋:「ENERGY☆SMILE」も根強い人気のある楽曲になりまして。今回の歌詞は“カメラ”を扱った内容がいいなと思ってて、ライブでも演出のし甲斐があるなと思いましたね。カメラを持ちながら歌ったり、実際にステージからパシャパシャと撮ってみたりとか。今、計画を立ててるところです。

ーー大橋さんはカメラや写真好きだったりするのですか?

大橋:私、写真が苦手なんですよー。撮るのも下手だし、撮られるのも苦手で。だけど写真を見るのは好きで、SNSで好きなアーティストさんが上げてる自撮りとかをよく見てます。写真は形で残るし、思い出が積み重なっていくからいいなあとは思ってるので、最近はもっと写真を撮るようにしようかなと思ってます。(スマホの)フォルダに自分の写真があまりにもなくて。

ーーそうなんですね。

大橋:ライブとかがあっても写真を撮らないし、人と写真を撮ることもあまりないんです。だから逆に(ネットから)保存した写真ばかりなんですよ。でも、最近はInstagramを始めようかなと思うぐらい写真のことを意識してます。

ーーいいですね。シングルのカップリングだった6曲目「ハッピーメリーゴーランド!」も元気いっぱいの楽曲ですが、続く7曲目「うたたねのラブソング」は柔らかい曲調のラブソングです。

大橋:この曲はほんわかというか、心があたたかくなるようなアコースティックっぽい曲があるといいなと思いまして。すごく幸せになる曲ですよね。でも、歌い方が難しくて、レコーディングは時間がかかったんですよ。歌い方に関しては「うたたねのラブソング」と9曲目の「バカだなぁ」がいちばん苦労しました。新しい歌い方に挑戦できたと思います。

ーーどんなところが新しい挑戦だったのでしょうか。

大橋:何て言うんだろう? パキパキと歌ってないというか、言葉が繋がってる感じというか。ひとつひとつの言葉が繋がってる感じの歌い方というのはあまりやったことがなかったので、そういう指示を受けてから歌えるようになるまでめちゃめちゃ時間がかかりました。

ーー普段だと単語ごとを意識して歌う感じなんですか?

大橋:そうですね。言葉をキレイに歌いがちなんですけど、この曲はそうじゃなくて、雰囲気のある感じというか。よりアーティスティックな歌い方の手法を学ばせていただいて、すごく“PROGRESS”になりました。

ーーシングルのカップリングで発表済みの8曲目「彩りPlace」を経て、先ほど歌入れに苦労されたとおっしゃってた9曲目「バカだなぁ」になります。

大橋:この曲は失恋曲が歌いたくて作っていただいたんです。すっごく女々しい曲を歌ってみたいと思ったんですよ。それで今回せっかくアルバムを出せることになったので、めちゃめちゃ女々しい曲が誕生しました(笑)。

ーーたしかに別れた相手への未練たらたらで、女々しい感じは相当出てますね。

大橋:いやあ、なんかめんどくさい人だなあって自分でも思いました(笑)。もちろん私はそれを歌いたかったんですけど、つきあってる人は大変だなあと思って(笑)。

ーーどんな気持ちで歌われたのですか?

大橋:歌詞に寄り添って、いまだけはめんどくさい女になろうと思いました(笑)。もし私が誰かとお付き合いするとしたら、できるだけめんどくさくない自分になろうという目標は立てると思いますけど、この時だけは引きずりっぱなしといいますか、ジメジメジトジトした感じを出させていただいて。

ーー演技をする感じに近いのでしょうか。

大橋:そうですね。気持ちを込めて歌う歌い方で。<好きだよ>と<ねぇ>ってめちゃめちゃ言ってますからね。

ーー相手のことが忘れられない気持ちがすごく出てますよね。

大橋:まだ大好きなんでしょうねえ。<ひとりぼっちの明日なんて どんな顔して笑えばいいんだろう?>っていう歌詞がすごく印象的で。やっぱり失恋するとそれさえもできなくなっちゃうぐらい悲しいんでしょうね。

ーーこの歌詞にあるような女々しさは自分の中にはあまりないと。

大橋:そうですね。でも、この先も生きていく中で、いつか似たようなことを経験する時がきたら、この曲を聴いて「なるほど」って思ったりするんだろうなあ(笑)。

ーー聴きながら泣けるんじゃないですか。

大橋:「ああ、やっとこの気持ちがわかる……」みたいな(笑)。もしこのアルバムが出る頃に失恋されてる方がいらっしゃったら「バカだなぁ」をおススメします。元気が出ると思います!

ーー泣いて忘れるということもありますからね。そういえば『NOISY LOVE POWER☆』のカップリングに収められてる「I knew the end of love」も失恋ソングでしたけど。

大橋:あっちの方が前に踏み出そうとがんばってるので、「バカだなぁ」よりも大人な感じのドライな失恋ソングですね。別に失恋したわけではないんですけど、何か急に失恋曲が増えました(笑)。いままでは両想いの曲が多かったので、たまには逆を行ってみたいと思ったんです。みんなが恋愛に対して幸せなわけではないと思いますし、恋で傷ついた人にも寄り添えるような曲もあればと思って。

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