『Songbirds』インタビュー

映画『リズと青い鳥』主題歌に抜擢 Homecomingsが語る「Songbirds」に託したメッセージ

「京都自体が、時代を気にしなくてもいい場所」(畳野)

ーーそして、最近のHomecomingsといえば、平賀さち枝とホームカミングス名義での楽曲や、チャットモンチーのトリビュートアルバムに「惚たる蛍」で参加したことも話題になりました。いろんなチャンネルも増やしていって、自分たちの活動に還元していくタームに入っているんですかね。

福富:自分たちも予期せぬところからオファーをいただくことが多くなってきていて、驚いているんですけど、たしかに、それを取り入れて一つずつ昇華している時期なんだと思います。

ーー自分たちは変わらぬペースで活動してきたけど、周りが評価してくれるようになってきた、みたいな?

畳野:そうですね。京都新聞のCMとか、ラジオとか。

ーーそういえば、関西圏でHomecomingsのラジオはめちゃくちゃ評判がいいんですよね。

福富:「週に何回ラジオやるんかな?」というくらい喋ってる気がする。

畳野:でも、人柄もわかってもらえるし、いいよね。

ーー4人は、音楽だけの人たちじゃなくて、いろんなカルチャーにも詳しい人たちで、そのバックグラウンドがラジオを通して伝わってるでしょうし、音楽にも元ネタがいくつかあるじゃないですか。それを話したりできる場があるというのは、洋楽リスナーへの入り口としてもしっかり機能していると思いますよ。

福富:そうなれたら理想ですよね。それこそ僕もASIAN KUNG-FU GENERATIONやBEAT CRUSADERSのラジオもそうだし、YOUR SONG IS GOODのサイトウ"JxJx"ジュンさんのブログにも、音楽を聴くうえで非常に大きな影響を受けたので。

ーー元ネタといえば、「Songbirds」に影響を与えた音楽で、Teenage Fanclub以外に挙げられるものはありますか?

畳野:The La’sの「There She Goes」ですね。

福富:あとOasisか。しばらくUKの音楽って参考にしてなかったんですよ。USインディーを追っていたので。

ーー確かに、前のEPはDeath Cab for Cutie、Weezer、Pavement、Alex G、The Strokesっぽい音作りでしたもんね。

福富:でも、山田監督とグラスゴーの話になったのがやっぱり大きくて。久しぶりにUKに目を向けてみました。あと、映画『シング・ストリート 未来へのうた』の影響もあったかもしれません。

畳野:そうそう。『シング・ストリート』を見ながら作ってたよね。

福富:打ち合わせ段階でも『シング・ストリート』の名前は挙がってた気がする。

ーーたしかに、あの映画もUK音楽を大々的にフィーチャーした音楽映画でしたし、個人的にも『リズと青い鳥』にはどこかジョン・カーニー作品っぽさは感じます。ちなみに、さっき制作中と話していたアルバムは、セカロイ(<Second Royal Records>)から出す予定ですか?

福富:このままいけば、そうなりますね。最近、周りの人に「メジャー行くの?」ってよく言われるんですよ。でも、そうじゃないから逆に嬉しいというか。僕らが大きい事務所に入ったわけでもなく、やりたいことを一生懸命にやっていたら声をかけてもらえるようになっただけなので。そういう意味でも、自分たちはこういう人たちなんですよということをイベントという形で、アートワークをずっとやってくれているサヌキさんとともに紹介できた『New Neighbors』は大きかった。

ーーそうそう、今回のシングルとは別に7インチでサヌキさんのイラスト盤も切っていて、ちゃんと地続きになっているけど、進化もしてると証明してくれているのが嬉しいです。

福富:ありがとうございます。7インチは絶対出したいと思ってたんです。

ーー福富さんは、2015年に京都nanoのもぐらさんとの対談で、東京にいくかもという話をしていたんですよ。でも、結局そうはならなくて、京都でずっとやってきたことが、今になって芽吹き始めているともいえる。

福富:あまり時代とかを気にせずにやってきてましたからね。

畳野:京都自体が、それを気にしなくてもいい場所だったからなんだと思います。自分の好きなことだけをやっててよくて、余計な情報が入ってこない。結果的にこういう形で外からお話をいただいて、自分たちで制作することもできていますし、こういう形でタイアップに携わることで、自分たちがどういうことができるのか、Homecomingsがどういうバンドなのかを自分たちでも改めて理解できるんです。次第にその個性と呼べるようなものがどんどん濃くなっているような気もしているので、大事にしていきたいですね。

福富:それこそ、チャットのトリビュートと『リズと青い鳥』の話を同時くらいにいただいたので、「このタイミングで日本語詞にしようかな」とは思ったんですよ。メールでもらった段階では「『前前前世』(RADWIMPS)みたいな曲を作ったほうがいいのかな」と思ったくらいで、めちゃくちゃ『君の名は。』も見たし(笑)。でも、山田監督に会って「そのままのHomecomingsが好きです」と言われたので、英語詞のままにしました。それがめちゃくちゃ嬉しかったですね。なんとなくで選ばれたわけじゃないんだと。

ーーでは現在制作中の作品は、さらに濃くなった個性がたっぷり入っているものになると。

福富:次の作品は、このタイミングだし。作品として何十年後にも残っているものを作りたいんです。

畳野:みんなが歌えるような曲とかも作りたいよね。

(取材・文=中村拓海/撮影=稲垣謙一)

■リリース情報
『Songbirds』
発売中
価格:1,200円(税抜)

<収録内容>
1.Songbirds
2.Play Yard Symphony (for New Neighbors)
3.Songbirds (Miniascape sunset)

■ライブ情報
『Homecomings & Naoya Sanuki presents "New Neighbors Vol.4"』
日時:2018年6月23日(土) OPEN 19:00 START 19:30 ※MOVIE:19:30~ LIVE:21:45~
会場:東京・渋谷TOEI
LIVE: Homecomings ※ACOUSTIC SET
映画上映:『ゴースト・ワールド』
前売料金: 3,000円(税込)
※全席指定
※未就学児童入場不可

Homecomings presents『Better Things』
日時:2018年7月15日(日)
LIVE:Homecomings / Hi,how are you?

日時:2018年7月16日(月・祝)
LIVE:Homecomings / DSPS (from TAIWAN)
会場:東京・下北沢 SHELTER
開場:18:00 / 開演:18:30
前売:3,500円(税込・ドリンク代別)
※一般発売:5月19日(土)14時~

■関連リンク
Homecomings公式HP

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