20thシングル『シンクロニシティ』

乃木坂46 井上小百合&新内眞衣&寺田蘭世が語る“グループの現状” 「ここで止まるわけにはいかない」

「最近、『推してて楽しい』って言われることが多い」(新内)

ーー前回、井上さんにリアルサウンドに登場していただいた時には、まだ大きなグループになってきていることにそれほど実感がないと仰っていました。

井上:これが、変わっていくってことなんだなと。すごくありがたい環境にあるけれど、今ある環境がずっと続くわけでもないだろうし、そこに甘えてちゃいけないという自覚を持たないとって思い始めたんですよね。今までの私たちは乃木坂のいろいろなことを全部、生駒ちゃんに預けていたような気がして。そんな人が乃木坂から抜けてどうなっていくのか、私はまだちょっと怖いです。そういう立場になってくれる人が今後、現れるような気がしないから。だから今は自分たちが、一人一人責任を持ってやっていかなきゃいけない。自分の気の持ちようをもうちょっと変えなきゃいけないなと、「Against」の歌詞を読んで思いました。 

ーー2期生として加入した新内さん、寺田さんも乃木坂46のデビュー翌年にはグループに合流して歴史を積み重ねてきました。ここ数年、乃木坂46が大きくなっている実感はどのように感じますか?

新内:良いグループだなというか、いい意味でメンバーもスタッフさんも変わらないので、私たちが世の中にどれだけ浸透してるか、どれだけ注目を集めているかということの実感があまりないんですよね。みんなで頑張って積み重ねて、じわじわここまで来たこともあって。でもやっぱり、街を歩けばメンバーの顔を広告で見るし、テレビをつければCMでメンバーが流れている。美容室で雑誌を開いても、ネットニュースを見ていても絶対出てくる。だからそれなりの自覚を持たなきゃいけない時期になってきたのかなとは思っていて。ただ、仕事の幅もどんどん増えてきている中で、その一つ一つを喜べる乃木坂46はまだ続いているんです。テレビをつけていてまいやん(白石麻衣)が出てきたら今でも、「みんな、まいやんだよ!」って呼んじゃうようなところも変わってないし。やっぱり良いグループだなって。……良いグループって言いすぎかな(笑)。自画自賛しちゃって恥ずかしくなってきたね(笑)。

寺田:でも良いグループなんだもん。良いっていうか、愛おしい。尊い(笑)。

ーー新内さんと寺田さんが参加している2期生曲の「スカウトマン」は、ここまでお話ししていただいた2曲とも大きく違う、特徴的な曲調の作品ですね。

新内:私の個人的なことで言うと、初めてソロパートがあったり、フロントに立たせていただくのも初めてなんですよね。これまでの2期生曲は乗りやすい曲というのとは少し違っていたし、この曲はライブで盛り上がってくれたらいいなって思います。

寺田:そうだね。2期生曲の「ライブ神」とかはやたらメンバー人気が高いけれどね。

新内:「スカウトマン」はMVも可愛いので、この曲に関してはダンスやMVを見てほしいですね。

ーー新内さんは昨年、年間を通じて選抜メンバーとして活動、ラジオパーソナリティとしてのキャリアも長くなってきました。個人として活動が充実してきたここまでの歩みをどのようにとらえていますか?

新内:乃木坂46にはメンバーがいっぱいいて、ビジュアル担当や歌担当、ダンスが上手い子などそれぞれに特化した部分があるけど、私はもうお姉さんだし可愛いブリブリキャラも絶対できない。年上メンバーとしてグループに入ってきたんだから喋りを磨くしかないよ、姿勢や立ち振舞いから気をつけないとたぶん埋もれるよって、信頼しているスタッフさんから言われていたんですね。そんな頃に、最初のラジオパーソナリティのお話が来たんです。やっぱり初めは全然喋れなかったけれど、当時の私には一人の仕事がそれくらいだったから、そこしか頑張れるところがなかった。ワンクールで終わると言われていたその番組が結局、半年続いて一年続いて、そのあとに『オールナイトニッポン0』(ニッポン放送)のお話が来たんです。その流れがあったので、頑張っていれば誰かが見てくれて次に繋がるということを、身をもって体感しました。

ーー『オールナイトニッポン0』でラジオパーソナリティとして完全に定着して、それによってまたファン層も拡大したと思います。

新内:年齢の話ばかりで申し訳ないですけど、この年で入ったから、若い子の三倍頑張らないとだめだなとずっと思っていて。そうやって頑張ってこれたからこそ、見てくれる人が増えたのかな。最近、ファンの人から「推してて楽しい」って言われることが多いんです。その言葉ってすごく嬉しい。自分は乃木坂46の中にあるひとつの物語に過ぎないけれど、それを見ていてくれる人がいるって本当に大事なことだなと思います。これは何度も言っていることなんですけど、私たちはファンの方がいてスタッフの方がいて輝かせてもらっている立場です。自分がいつ卒業するかわかりませんが、そういうことを忘れずにその日まで頑張れたらと思います。乃木坂46は、私の第二の青春なので。

ーー井上さんは舞台演劇での外部出演も多くなり、個人活動として大きな武器になっています。昨年末に出演した音楽劇『夜曲』では、ミュージカルへの可能性も拓いたように思います。

井上:『夜曲』では周りにミュージカル経験者の方が多くて、めちゃくちゃ不安でした。それこそいくちゃん(生田絵梨花)と『レ・ミゼラブル』で共演してる方もいて。小さい頃から教育を受けていたり、専門学校で本格的に学んできた方々のレベルに、数カ月で追いつこうなんてどう考えても無理です。でも、そういう時こそ乃木坂をうまく利用して、私にしかできない表現を考えました。共演者に宝塚歌劇団出身の方(蒼乃夕妃)がいて綺麗な大人の女性が表現できるけれど、私はアイドルをやっているのでその方とはまた対照的な少女っぽさの表現ができる。私は少女の役だったので、それでいこうと思いました。でも、乃木坂というバックがないままあの場に出されたら、私は何もできなかった。乃木坂があるからこそ表現できたものがあったなと思いました。

ーー乃木坂46として背負う役割も俳優としてのキャリアも大きくなっていく中で、4~5月にかけて舞台『若様組まいる~アイスクリン強し~』に出演されます。前回のインタビューでは好きな劇団として大人計画や劇団☆新感線を挙げていましたが、『すべての犬は天国へ行く』では大人計画の猫背椿さんと共演、今回の舞台では新感線の粟根まことさんと共演と、ご自身の好きな場所へ近づいているように見えます。

井上:憧れの人と共演できることが本当に嬉しくて! 今まで観てきた方たちと同じ舞台に立つという、嬉しさと怖さが同時に襲ってきて緊張しますね。そこで自分の無力さをたくさん知って、痛めつけられて(笑)。それでまた成長できるから、ありがたいなって。でも、それって自分が乃木坂のメンバーじゃなかったら来なかった仕事だろうなと思うんです。だから、グループ内の仕事もものすごく頑張りたいし、乃木坂にいるからこそいただける仕事もいっぱい頑張りたい。すごいわがままだけど、どっちもとりたい。

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