鈴木貴歩「エンターテックがカルチャーを創る」特別編
starRo×鈴木貴歩が考える、“東京”の音楽シーン 「良い意味でも悪い意味でも別格」
「(アジアと)東京との隔たりを毎回行くたびに感じる」(starRo)
鈴木:starRoさんはアジアツアーから戻られたばかりということですが、個人的に最近はアジアが面白くなっていると感じます。
starRo:面白いですね。そもそもまず「経済がバグってんなぁ」と感じます。
鈴木:インドネシアとかは人口も多いですし、全体的に上り調子ですよね。
starRo:その流れに乗って、音楽シーンも燃え上がっている。クラブもどんどん建っていっているし、いわゆる(ランキングの)TOP40みたいなものではないコアな音楽を聴いているキッズも増えているので、クラブに行ってもパンパンですし、盛り上がっているんですね。そこがいいなと思いますが、一方で東京との隔たりを毎回行くたびに感じる。
鈴木:そうなんですか。どんなところに?
starRo:みんな東京にリスペクトがあるんですよね。「東京すげぇ、超行きてぇ」とか言うんですけど、実際に行ったことはなかったり、東京にどんな人がいるか、とかは分かっていなくて、漠然と「すげぇ」みたいな感じで、遠慮してるというか。例えばアジアツアーをするアーティストも、東京だけ日程から抜けてたりするんです。アジアの中で東京は良い意味でも悪い意味でも別格で、アジアという枠に入っていないことを痛感します。
鈴木:アメリカにおけるアジアのプレゼンスも上がっているという話を聞きましたが、starRoさんから見てもそうですか?
starRo:LAの音楽シーンが今盛り上がっているということとも繋がってると思うんですけど、LAはアジアンコミュニティの人口が多いので、アジア人アーティストがTOP40に食いこんだりすることが少しずつ起きています。これまではアジア人であることをあまり推さない方が良いんじゃないか、とされていたんですが、今はどんどん「俺たちはアジア人なんだから、みんなで組んでやっていこうよ」みたいになっていて。それが功を奏している感じはありますね。
鈴木:なるほど。starRoさんは今後も拠点はLAに置き続けるんですか?
starRo:あまりそこはこだわってないです。今はLAが一番ですけど、例えば僕が今後映画音楽に集中するとか、色々な活動に可能性があると思うので、それに合わせて活動拠点を変えていこうと考えています。あまり同じところにい続けるのは良くないかな、と。
(文=村上夏菜)