『世界はどこまで青空なのか?』インタビュー(その3)

NGT48 中井りか、“葛藤”を経て見つけた新たなアイドル像 「私は王道じゃなくて、邪道だから」

 NGT48が12月6日にリリースした2ndシングル『世界はどこまで青空なのか?』についてのインタビュー。リアルサウンドではここまで、荻野由佳・小熊倫実・加藤美南・本間日陽による“センター座談会”と、西潟茉莉奈・山口真帆による“お姉さんメンバー対談”を行い、様々な角度からグループの現在地を掘り下げてきた。

 今回は第三弾として、1stシングルでセンターを努め、最近は『白昼夢』『スマートフォンデュ』など、テレビでのMC仕事も増加しているメンバー、中井りかを取材。聞き手に西廣智一氏を迎え、彼女が陥ったスランプや、太田プロダクションへの移籍、NGT48やAKB48グループ内、芸能界で目指したい立ち位置について、じっくりと話を聞いた。(編集部)

自分の良さを出すことに苦戦した2017年

ーーデビューシングル『青春時計』リリースから8カ月経ちましたが、この2017年は中井さんにとってどんな1年でしたか?

中井りか(以下、中井):私にとって、2016年は駆け抜けた年だったので、とても早く感じたんです。でも今年は……すごく長く感じました。もう、デビューしたことがはるか彼方、昔のことに感じるぐらいいろんなことが起こりすぎて、毎日が本当に長くて。

ーー2016年の中井さんは『SHOWROOM』配信を通じて、自分の意思でいろいろ知ってもらおう、拡散しようとしていたように映りました。そう考えると、2017年はひょっとしたら、自分の意思とはまた違った方向に進んでいったのかなと。

中井:そうですね。自分では、去年はすごく頑張った年というかギラギラしてた年だったんですけど、今年は「青春時計」でセンターになってから、自分の良さを出すまでに時間がかかってしまって。そういう、苦戦した1年だったのかなと思っていて、それで長く感じたのかもしれません。と同時に、頑張るに頑張りきれないというか、すごく悩んだ1年でもありました。だから、2017年は去年の貯金でつないできたというか、背中を押されて進んだ1年だったかなと思います。自分の心が止まったままでも、いろんな人たちに支えられて進むしかない状況だったというか。

ーー自分を出すのに時間がかかってしまったのは、なぜだったんでしょうね。

中井:周りの目を必要以上に気にしすぎていたのかなと、私的には思っていて。センターってポジションがどれだけ責任があるのかということに、実際なってみて気づいたんです。それまでの私は炎上させちゃったりとか(笑)、好き勝手にしてきたところがあって。そういうところで「センターなのに」と言われることが多くなってしまって、「私の持ち味はなんだったんだろう?」とわからなくなった時期があって、すごく戸惑いました。

ーー個人としてはそういういろんな思いがあったと。では、グループとしてはどんな1年でしたか?

中井:グループはすごく前進したと思いますし、6月の総選挙を経て、またガラッと変わったと思うんです。メンバーが個々に注目されていく中で、私も遅れをとってはいけないなと焦りも感じていましたし。そういう意味でNGT48は、今年から来年が勝負なんじゃないかとも思うんです。ここでスパートをかけないと、せっかく今注目していただいていても全部水の泡になってしまうんじゃないかって。そのためには、メンバーの一人ひとりが強い意識を持って前に進まなきゃいけないと思っています。

ーーNGT48が面白いのは、カップリングも含めて、いろんなメンバーにセンターのチャンスがあるところだと思うんです。

中井:いろんな個性があって、その子に合った曲もいただけてるし、バリエーションも豊かになっています。誰がセンターになってもおかしくないですし、自分で言うのもなんですけど、わりと粒ぞろいだなって(笑)。実力を持った子はまだたくさんいますし、まだまだ自分を出し切れてない子も多いと思うんですけど、NGT48は誰がセンターになってもおかしくない状況が作れていますし、順番はめぐってくるものだと思うので、さらに切磋琢磨していけるんじゃないかと思います。

ーー中井さん自身は、センターというポジションにどういう印象を持っていますか?

中井:今まで見てきた姉妹グループのセンターの方々って、どこに出ていっても恥ずかしくない王道感があって、周りに振り回されない芯の強さがある人だったと思うんです。でも、私はセンターっていう肩書きに縛られちゃって、自分の良さが出せずにいたというか、出し方がわからなかったというか。実力不足だった部分もあって、そういうふうに悩んでました。私は王道じゃなくて、邪道だから(笑)。

ーーいやいや、中井さんも王道感が強いと思いますよ?

中井:猫をかぶって、そういうオーラを出すのは得意なんです(笑)。

コミュニケーション力の高さは「田舎者だからこそ」

ーー先ほど「2017年は去年の貯金でつないできた」と言いましたけど、とはいえ今年もいろんな場面で爪痕を残してきたと思うんです。

中井:ホントですか? でも、確かに「ここでこれを逃すと、私にはもうチャンスが回ってこないかもしれない」と思って、一つひとつのお仕事に取り組んではいました。

ーーちょうど昨夜も『白昼夢』(フジテレビ系)を観ましたけど、回が進むにつれて中井さんらしさが強まっていますよね。最初こそ「中井さんは、いとうせいこうさんや大人たちとの絡みで、どうなっていくんだろう?」と思いましたが。

中井:そうですよね(笑)。あの番組ではおじさんたちに巻き込まれつつも、自分の良さを出せたら良いなと思っていて。あの番組は不思議な空気感で、次から次へと刺激が飛び込んでくるので、「これ、どうなってるの?」と思っている間にどんどん進んじゃうんです(笑)。でも、自分にとってプラスになるものばかり与えてくださるので、成長できますし勉強になるなってすごく思います。

ーー出演している大人も、真面目すぎずに生きてる人たちばかりで。

中井:ちょっとアウトローというか(笑)。私も曲がったまま突き進んでる人なので、そういう方々と合うというか、しっくりくるところがあるんですよね。すごく楽しくて居心地が良い現場ですし、どの方にお会いしても最後は私の成長につながるようなポイントを与えてくださるので、本当に自分にとって良い番組だなって思います。

ーー中井さんもまた、そういう大人たちとのコミュニケーションの図り方がすごく絶妙だなと思って。

中井:本当ですか!? それは、田舎者だからこそだと思うんですよね。この話、先日いとうせいこうさんともしたばかりなんですけど、今の世代の子は都会に住んでいると、年配の方々と関わることが少ないじゃないですか。でも、私は田舎に住んでいたからか、いろんな世代の方と関わることが多かったので、それが身になってるんじゃないかな。NGT48に入るまでは上の世代から教わることが多い環境だったので、それがきっと『白昼夢』に生きてるんじゃないかなと思います。

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