1stアルバム『回転する』インタビュー

Ivy to Fraudulent Gameが語る“音楽を描く”理由 「マイナスなものをプラスに変えられる」

かっこいい音を出したいということしか考えてない(カワイ) 

ーー結成して7年、いよいよ1stアルバム『回転する』はメジャー進出第一弾作品となりますが、なぜこのタイトルにしようと?

福島:「革命」というリード曲が収録されているんですが、その曲ができた時にアルバムの構想や全体のイメージが固まりました。“革命(revolution)”の語源には、“回転する”の意味を持つラテン語(revolutio)があります。革命って要するに権力者が回転することじゃないですか。今回、メジャーデビューの一発目ということで、革命を起こしてやろうじゃないですけど、自分たちがシーンに対してこれから割り込んでいくという強い意志を込めています。あとは、どこまで行ったとしても、もう一度戻れる作品、自分たちの原点にしたいという意味もありますね。そもそも今作は、今の自分たちの土台にある幅やスタイル、ムードみたいなものをすべて詰め込むという思いで作り始めたので。

ーーリード曲「革命」は明るくポップな曲調で、Ivyのこれまでのクールな楽曲のテイストとは違った印象を受けました。

福島:確かにそうですね。でも曲に関しては、本当にその時に自分がやりたいことを表現しているので、特にIvyだからこうでなくちゃいけないという制限は設けていません。今を記すというか、曲としてよければOKっていう考え方なんです。歌詞もまた、その瞬間に自分が思ってることを素直に綴っています。それらをパズルのように組み合わせて、ひとつの曲を作っている感じですね。だから「革命」はある種挑戦的な意味合いもありつつ、今までの流れも汲んでるような曲になっています。メジャーだから特別何かを意識したというわけではなく、いつも通りその時々のベストを出すという気持ちでやっています。

福島由也

ーー今作には、再録した「青写真」、「アイドル」、「dulcet」、「+」の4曲も収録されています。「革命」以外にも今回のアルバムにテーマはあるのでしょうか?

カワイ:僕らは福島が作ってきたフレーズを弾いてるんですが、今回はその中で、より自分らしさを出したいと思いながらレコーディングしました。再録した曲は、ライブで積み重ねてきた経験があったので、右手のピッキングやニュアンスなどを特に意識しましたね。エンジニアさんも二回目の方だったので、自分がイメージしていた音に直結して、スムーズに録れました。とにかく、かっこいい音を出したいということしか考えてないです。

福島:でも、本当にそれに尽きるというか。いいものを作るということがまず前提にあるので、それ以上ってないですよね。今回すべて新曲ではなく半分は再録なので、一から作品を作るのではなく、あるものに対して新曲を作っていきました。

寺口:俺たちは曲によって振り幅が広いので、それを一枚で表現したいという思いの元、再録としてこの4曲を選びました。俺の中では、このアルバムのテーマみたいなものって、最後の最後まで出てこなかったというのが正直なところです。でも、ボーカリストとしては、いつものことですが、一曲一曲に対して、どんな表現をしようかと考えつつしっかりと向き合って歌うことを意識しました。過去曲も入っているので、このアルバムができた時に、今までの俺たち、そしてこれからの俺たちを示す基盤のようなところになったのかなと俺は思いましたね。

寺口宣明

ーー再録した4曲は以前録ったものよりも、ライブで感じるような熱量が伝わってきます。

寺口:俺たちがこれまでライブで育ててきた曲なので、このタイミングでそれを一回形にしようと思いました。ライブで培ってきた生々しさみたいなものを入れたいと思い、多少アレンジしています。まず、自分のことで言うと声が違うんですよね。前はひとつのことに対してアプローチしてるつもりでも、できてなかった部分というのが技術的にも経験的にもあったんですが、今では表現に対しての引き出しが増えています。

カワイ:そうですね。僕も前は音を録ることにすごく集中していて、どういう音を出そうかとかはあまり考えていなかったので。それぞれの曲を作った当時から今に至るまでに、ピッキングや使うベース、エフェクターなど徐々に試行錯誤することが増えていきました。それを今回ベースの音に詰め込めたかなと思っています。

大島:弾き方もすごく変わってきてると思います。リョウタロウも言ってたように、前はしっかり弾くことばかりに集中してたけど、今はもっといい表現をできるようにっていうところまで気を使えるようになりました。

福島:単純に何回もライブでやってるので、曲に対しての解釈が深まってるというのが一番大きい違いです。どういう音を出そうって考えるのは当たり前のことだけど、どういう音であるべきかっていう解釈に至るまでが重要なのかなと。

大島知起

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