DOBERMAN INFINITYが語る、シングル初のバラードにこめた思い「これも攻めの姿勢」
バラードをやるタイミングはここがベストだった
ーー結果、ヴァースは時間経過を説明するストーリーテリングで、サビは主人公が思いを吐露するリリックの構成になっています。つまり、サビを歌うKAZUKIさんだけ視点が違う歌詞になっていますが、レコーディングではどんなところを大切にしましたか?
KAZUKI:最後は<Goodbye>なんですけど、直前で<I love you>と言ってるんです。それってどうなの? 好きなのに<Goodbye>って、じゃあどうやってその間の感情を埋めてくの? っていう。そこを考えました。主人公の男性はクリスマスになるとどうしても相手のことを思い出してしまう……<Goodbye>と言いながらこの主人公は本当に相手のことを忘れられているのか? っていうところがあると俺は思って。だけど、いつまでも立ち止まっているのも情けないし、っていうところで<今日だけはキミのことを想っていてもいいですか>っていうフレーズが<Goodbye>に繋がってくるだろうと。そういうふうにちゃんと頭の中で主人公の気持ちやそのときの風景を思い描きながら歌いました。だから、レコーディングのときは歌詞を全部自分の中に取り込んで、歌詞を見ずに今回歌ったんです。
ーーポイントは、そのサビの「ですます」口調ですよね。
KAZUKI:そうなんですよ。「いいですか?」はメンバー間で物議を醸したところなんです。俺は正直、大丈夫かな? って思ってて。
ーーグループのイメージ的に?
KAZUKI:それもあるし、曲的にも。
SWAY:自分的にも?(笑)。
KAZUKI:自分的にですかね、いちばん引っ掛かったのは(笑)。俺、「ですか」って歌えるかなって。
GS:仕事をすごい頑張ってる人間が、<今日だけはキミのことを想っていてもいいですか>って言うのも、その男性のイメージに合ってるのかな? っていうのもあったよね。
ーーでも、その違和感がこの曲のフックになってますよね。
KAZUKI:そこなんですよ、まさに。
SWAY:それくらい強烈な印象を与えるフレーズだと思うんです。本当、語尾の言葉ひとつで、男性の性格が変わってきちゃうから。
GS:でも最終的には、それだけ仕事を頑張ってきた男性がサビでこういう口調になるくらい彼女のことを思ってたっていう。その落差がいいなと。
ーー相手に対する敬意も感じられますしね。
KAZUKI:そう。敬意があるんですよ。変にかっこつけてないし、懺悔感もある。歌詞ができたあともいろいろ考えたんですけど、これに勝る言い回しはなかったですね。でも最初はホント、「大丈夫かな?」と思いました(笑)。
ーー「ですます」口調もそうですが、そもそもシングルでバラードは初めてですよね。そこもDIのイメージとギャップがあるものだと思います。
P-CHO:過去にバラードシングルをやろうかっていう話は出ていたけど、そういうのは勝負時にやりたいよねって言ってたんです。それが今なんじゃないかと思ったんですよ。3カ月連続リリースの締めを飾る作品でもあるし、デビューから3年を経てもう1個殻を破ったドーベルマンを見せるタイミングでもある。バラードをやるタイミングはここがベストなんじゃないかと満場一致で決まりました。
GS:強烈なパンチの連続ってことですよね。AKさんとヒップホップをがっつりやって、DVDという今まで出してない作品を出して、やったことのないバラードをやってっていう。常にフックとなるものを提示して行こうという、今の自分たちの気合いの表れでもあると思ってます。
SWAY:あと、今回は2曲しか入ってないシングルで、クリスマスソングが2曲あるっていう。これも攻めの姿勢ですよ。
KUBO-C:逆に攻めてるんでね、これ。普通どっちかは違うテーマで行くだろと。どっちもクリスマスで行くか? っていう(笑)。
ーーその2曲目「Your Santa Claus」は、どんなイメージで作ったんですか?
GS:これは(1曲目と)真逆で、ハッピークリスマスですね。
P-CHO:ハッピーなクリスマスを楽しんでいるところに俺たちが行くぞ、みたいな。「ドーベルサンタが会いに行くよ」みたいなイメージはありました。歌詞にはユニークな言い回しが多かったりするんですけど、KAZUKIがそういうワイワイしたイメージをスッと2人きりの世界に狭めてくれる役割を担っていて、そのバランスがとてもいい曲になったなと思ってます。
ーー曲調には懐かしい雰囲気がありますね。
SWAY:この曲ではニュージャックスウィングを意識しました。今の若い人が聞いたらニュージャックは新鮮かもしれないし、DIのフィルターを通してニュージャックをやりたくて。なんかニュージャックと冬は相性が良いっていうのが自分らの中であるんですよね。
ーービートがスウィングしてるから、パーティーはパーティーでもスタイリッシュで大人っぽい感じがありますよね。バカ騒ぎって感じじゃない。
GS:クールですね、かなり。いつもの俺たちの感じだったらサビがいちばんパーティーなんですよ。でも今回はヴァースをパーティーにして、サビをクールにかっこよく決めるっていうふうにしたんです。そこが冬っぽさかなと(笑)。