シングル『明日へ』インタビュー
Little Glee Monsterが明かす、初の作詞曲で挑んだ“新境地”「シンプルこそ難しいと改めて思う」
「他のメンバーも歌詞が書けて当たり前ぐらいになれたら」(manaka)
ーーそして今回リリースされるニューシングル『明日へ』。表題曲は壮大さに満ち溢れ、いろんなチャレンジの詰まった1曲ですね。
芹奈:そうですね。今までにないタイプだし。
manaka:シンプルだよね。今回のシングルは今までのイメージとは違ってもいい、ちょっと自由に曲を選んでみようという話をスタッフさんから聞いていて。その流れからこの曲が上がってきたんです。最初に聴いたときは、歌が映えるようなシンプルな曲だなと思いました。
ーーバックトラックもそこまで音数が多くないし、どちらかというと隙間を作る音作り。完全に歌を聴かせるためのアレンジですものね。本気で歌で勝負する楽曲だなと思いました。そして、その歌詞を今回メンバーの皆さんで作詞しているのも、新たなチャレンジです。
manaka:最初は正直「どういうことやろう?」と思いましたし、「作詞なんてできるのかな?」って不安やったんです。でも、この歌詞を書いたときは自分自身と戦っていた時期だったので、思っていることをすんなり言葉にできたというのもあって。タイミング的にすごくよかったなと思いました。
ーーちなみに今回の作詞は、5人でどのように進めたんですか?
芹奈:今回は一人ひとりお題が違っていて、そのエピソードに沿った歌詞を書いて、それをmanakaがまとめてくれたんです。
MAYU:「同世代の子たちへの応援」や、「誰かを支えること」をテーマにそれぞれ書きました。
ーーそれをmanakaさんがまとめていったと。manakaさんはこれまで、作詞に近いことをしたことはあったんですか?
manaka:あとで思い出せなくなるような感情をノートに書き留めておくことは多かったんですけど、本格的に書いたことは一度もなくて。
ーーでは、作詞はやってみたかったことでしたか?
全員:はい。
manaka:やってみたかったですね。今回は私がベースになる歌詞を書きましたけど、これを機にリトグリは他のメンバーも歌詞が書けて当たり前ぐらいになれたらなと思っていて。実際、他のメンバーが書く歌詞も見たいですし。だから、これはいい流れやないかと思いました。
芹奈:みんなで考えて作り上げた歌詞だと気持ちもより強く込めやすいし、自分の気持ちを歌詞にして伝えるというのは絶対に良いことだと思うから、これからももっとやっていきたいよね。
manaka:自分が選んだ言葉なので、すごく愛着がありますしね。もちろん、作詞家さんが書いてくれた歌詞もすごく好きなので、そこをバランスよくやれたらと思います。
「上京した頃の自分と今の自分が一緒に歌っている」(芹奈)
ーーmanakaさんは歌詞をまとめていく中で勉強になったことや、言葉に対する意識の変化はありましたか?
manaka:今回は自分が歌詞をまとめたので、すごく責任感を感じていて。だからサビでもより人の耳に残るように<こえるよ>と<きこえるよ>みたいに、韻を踏むようにしていて。<渇く喉に注ぐ希望>の「く」と「ぐ」とか、<繰り返すノイズを跳ね返す>の「す」とか、音的な意味でも意識的に言葉選びをしました。みんなから「え〜、意味不明〜」って言われへんように(笑)。
他のメンバー:(笑)。
manaka:それと<まっすぐな自分の輪郭はぼやけて 傷つかない場所へと暗闇を探してた>は自分の言葉なんですけど、人っていつの間にか安定に頼りすぎてしまうときがあるなって。そういう自分に悩んでいたこともあったので、すごくはっきり歌詞にできたんですよ。悩んでいることをぼんやりと思い出させる歌詞じゃなくて、自分の中でははっきりこういう気持ちやなっていうのをストレートに歌詞にできたので、そういう感覚を掴むと感情を込めて歌いやすくなる。自分で言葉を選ぶことってすごく難しいやろうなと思ってたんですけど、でもやってみると楽しいっていう気持ちが先に立ったので、またやってみたいですね。
ーー今manakaさんが挙げたフレーズみたいに、この曲の中で皆さんが好きな歌詞はどこでしょう?
アサヒ:<不安が裂けて 弱音が溢れたって>ってところなんですけど、初期に合宿してた頃の、不安でネガティブなことを言ってたことを思い出して、すごく共感出来るポイントですね。
かれん:私は<願った明日は 思ってた今日じゃない>っていうところ。活動を振り返ると楽しいことだけじゃなくて、つらいことや苦しいこともあったなって。昔はそういう不安を特に抱えていたことを、このパートを自分で歌っていて思い出します。
MAYU:<あの日踏み入れた街は そんなに綺麗じゃなくて>かな。私は上京が決まったとき、不安より嬉しさやワクワクのほうが大きかったんですよ。だけど、あの頃はまだ子供だったので、自分が憧れた歌手の人たちにも下積みがあって、それがあったから輝いていることまで深くは考えられなかった。実際その世界に飛び込んでみると、楽しいよりもしんどい、つらいと思うことも多くて。でも、今だからこそこうしてこの歌詞を、心も込めて歌えるんやなと思いました。
芹奈:<ボロボロのまま笑っていた僕に>からの部分ですね。あまり理解されないと思うんですけど、このパートを歌うときはいつも、自分でも不思議なんですけど、上京した頃の自分と今の自分が一緒に歌っている状況になるんですよ。感情のまま歌っているというか。自分がそうして歌おうと思って歌ってるんじゃないんですけど、自然にそういう歌い方になるんです。初めてなんですよね、こういう経験は。だから、この曲は自分の中でもずっと大切にしていく曲なんだろうなってすごく思います。
ーーそれもきっと、自分たちの言葉だからこその体験かもしれないですね。
manaka:確かにそうですね。
「等身大の私たちを見せたかったから、ヘッドフォンがなくても正解」(MAYU)
ーーそれにしても皆さん、いろんな武器をどんどん身に付けていってますね。
manaka:楽しいですね。今は、前よりもすごく自由ですし。例えばCDジャケットではヘッドフォンを付けてなかったり、自分たちで選んだ服を着ているんです。一人ひとり好きなお店に行って、買ってきた服で。撮影当日にみんながどういう服を着るのか知ったくらいですから。
ーーいや、今作のアートワークやアーティスト写真の雰囲気は今までと違っていて、見た瞬間に「素晴らしい!」と思いましたよ。
全員:嬉しい! ありがとうございます!
ーーヘッドフォンを付けていないことにも驚きました。あれがひとつトレードマークになってましたし。
アサヒ:ですよね。
manaka:リトグリ=ヘッドフォンで覚えてくださっていた人もいらっしゃるでしょうし、最初は「リトグリってわかってもらえるのかな?」と思いました(笑)。でも、意外と違和感もなく、すんなり撮影できました。
MAYU:等身大の私たちを見せたかったからこそ、ヘッドフォンがなくても正解かなって。