高見沢俊彦が振り返る音楽人生、そしてTakamiyの25年「感じたものをどうTHE ALFEEに活かすか」

高見沢俊彦が語る、Takamiyの25年

先輩のバンドはテレビを拒否した世代だった

ーー高見沢さんはテレビ番組にもこれまでたくさんご出演されてきましたし、浮世離れしたイメージのようなものがいろんな形であると思うんですが、そういうイメージをご自身でも楽しんでいるのでしょうか?

Takamiy:そういうふうになっちゃったからね。テレビはあんまり好きじゃなかったんだけど(笑)、貫くしかないよね。最初は2人(坂崎幸之助、桜井賢)に任せてたはずなのに、一番出るようになっちゃったから(笑)。個人で出るようになったのは2000年代ですね。吉田拓郎さんと一緒に『T×2 SHOW』というトーク番組をやって、その後、2003年からは『堂本兄弟』に出るようになりましたね。

ーーそれ以前にもラジオなどでは高見沢さんの楽しいトークを聞いていたと記憶していて。気さくな方であることはファンの方には伝わっていたと思うんですが、それがテレビで大々的に広まっていくことで、ご自身の中でとまどいはありましたか。それともそういう状況を楽しんでいらっしゃった感じですか?

Takamiy:最初は絶対そんなことできないと思ってたんだけど、拓郎さんが「お前、一番テレビ向けなんだよ」って(笑)。一緒にトーク番組をやらせていただいてからテレビの面白さを感じるようになって、抵抗がだんだんなくなっていきましたね。

ーーテレビの面白さ、どんなところだったのでしょう?

Takamiy:観てる人間の数が違うというのもありますし。トーク番組だったのでゲストと話すと、とんでもない方向に行く時あるじゃないですか。それもある程度許される部分が当時まだあったので、そういう部分が面白いなと思いましたね。台本通りの流れではない、そこが自分の中ではラジオ的な感覚で。深夜の番組だったから自由にできたというのもあると思うんですけど、意外と水が合ってたんでしょうね。今ではテレビには抵抗もなく『ヒルナンデス!』などにも出てますからね、たまにですけど(笑)。

ーーテレビで視聴者やリスナーに伝わった高見沢さんのイメージが、ソロワークの中に反映されているような部分もあるのでしょうか。

Takamiy:高見沢っていうと、巻き髪、派手な衣装、変なギター、そういうイメージがありますよね。でも音を聴いてもらえば、音楽をちゃんとやってることも伝わると思います。まずは存在も含めて知ってもらうこと、それがTHE ALFEEに繋がっていきますから。テレビに出ることは、そういうことも一つの要素ではありましたね。逆にTHE ALFEEは、テレビに結構出てきたグループですけど、僕らの先輩のバンドってテレビを拒否した世代なんだよね。一切出てなかった。だから逆に出ちゃおう、みたいな。そういったこともありましたね、「出たからって終わりゃしないよ、ここまで売れなかったんだから」みたいな。僕たちはヒットするまでに9年ぐらい経ってましたからね。

ーー『夜のヒットスタジオ』などによくご出演されていた記憶があります。テレビをある意味利用するというか、活用していくってことだったんでしょうね。

Takamiy:結果そうですけど、狙っていたわけではない。当時、僕は後ろのたまりの席でもあんまりしゃべらずに、大人しくしていましたよ(笑)。

ーー楽屋では、今と変わらず楽しいキャラクターでいらっしゃった?

Takamiy:楽屋ではずっと本を読んでいるか、ギターを弾いているかで、わりと静かでした。まぁ暗いといえば暗いかも。ただオンとオフははっきりしてる方だとは思いますよ。

ライブ活動が中心のバンドシーン、時代がやっとついてきた?

ーー高見沢さんはロックをずっとやってこられましたが、だいぶ世の中においてロックの立ち位置が変わって来ていると思います。そのあたりはどのようにご覧になってますか?

Takamiy:ロックを僕らが始めた頃は、フォークの方が社会的認知度が高くて、人気もあったと思うんですよね。ロックはなかなか認識されなかった時代でしたよね。今やロックが普通になっちゃってるんで。ロックっていうと、アンダーグラウンドで特別なもの、っていうイメージだったけど、今は、全然違いますからね。時代は変わったなと思いますよ。

ーーご自身としてはその変化をポジティブに受け止めていますか? あるいはさみしさを感じるのでしょうか。

Takamiy:さみしくはないよ。ロックが一つのカテゴリになっても、他にもいっぱいできたじゃない。EDMもあるし、レゲエもあるし、ミクスチャーロックもあるし。そうやっていろんな要素が出てきたってことはそれを取り入れることもできますからね、現役でやってる以上は。僕なりに解釈したEDM調の「誘惑の太陽」という曲もありますよ。決して僕はEDM嫌いじゃないし。音楽がいろんなジャンルに広がってくのは、悪いことじゃないと思うな。そういう部分で楽しめますから。

ーーEDMとロックの接点もできてきて。

Takamiy:普通、EDMだったらギターは入ってこないけど、ああいったサウンドにギターソロを入れたら面白いんじゃないかなってことで、作ってみたんですけどね。

ーーそのビート感が、THE ALFEEの中に活かされていくことも。

Takamiy:もちろん。本家の方でも活かしていけたら、最高ですからね。

ーー昨今だと、ロックバンドもライブ中心の活動が多くなりましたが、年2回ツアーをやるというのは、THE ALFEEが先駆者じゃないかなと。みなさんの中でライブをたくさんやるという方針は話し合って決められたのか、それとも自然とそうなっていったんですか。

Takamiy:ツアーやコンサートをやることはアマチュア時代の夢でしたから、そこはまだ夢の途中にいると思ってますからね。どうしてもやらなきゃいけなくてやってるわけじゃないですし。楽しいからやるのであって、コンサートを3人でやることが自分たちの中での一つのモチベーションに繋がるわけで、1人じゃ無理だったんですよね。3人いるからできるという部分がすごくあったんで。そこは自然にやってるかなぁ。いつの間にか全体的にコンサートがすごく増えているから、僕らは変わらず、春と秋にツアー、そして夏のイベントをずっとやって来たわけですよね。30年以上やってるのかな。だから「時代がやっとついてきた? こっちに」みたいな(笑)。

ーー年2回は体力的にキツイという声をバンドから聞くこともありますが、ご自身たちとしてはどうですか。

Takamiy:年齢と共に衰えてくるものは仕方ないですよ。そこは個人でトレーニングして、鍛えてますね。僕は、やってますけど(笑)。

ーー2人も、やってらっしゃるでしょう?

Takamiy:彼らはやってないですね(笑)。

ーー高見沢さんはどんなことを?

Takamiy:やっぱり筋トレですよね。トレーナーつけて、懸垂やったりしてますね。

ーー今回、『美旋律 ~Best Tune Takamiy~』限定盤AのDisc2の未発表曲集も聴かせていただきまして、『Billboard Live TOKYO 2016』のライブテイクも素晴らしい内容でした。

Takamiy:去年『Billboard Live TOKYO 2016』でやった時に未発表曲の「Night of Rouge」をやったんですよ。これが井上大輔さんの未発表曲で。その権利を持っている方から譲っていただいて、オリジナルとして歌わせてもらえることになり、詞をつけてアレンジしました。『Billboard Live TOKYO』に相応しい楽曲になりました。

Takamiy「Night of Rouge」プロモーション映像

ーー亡くなって、10年になりますね。

Takamiy:僕は井上さんがつくるメロディが大好きでした。井上さんはブルーコメッツ以降も作曲家としてたくさんの曲を書いていて。ガンダムもそうですし、ご自分でも「哀 戦士」を歌っていました。他のアーティストにもたくさんのヒット曲を作ってますからね。なので非常に光栄なことです。

ーー高見沢さんの曲としても、新境地といえそうです。

Takamiy:そうですね。僕が作るメロディとまた違いますから。詞をのせるのもすごく面白かったですね。

ーー大人のポップス、バート・バカラックのような雰囲気もあります。

Takamiy:そうですね。ちょっとジャズのフルバンドのイメージでアレンジしました。

ーー『Billboard Live TOKYO』は、コンセプトとしてはしっとりとした曲が多かったように思います。

Takamiy:そうですね。普段のメタルっぽいものは一切排除して、メロウなものをメインにしましたけど。

ーージャジーなもの、AOR的なものも、ご自身の中の引き出しの一つでは。

Takamiy:ありますね。最初のアルバム『主義-Ism:』は意外とそのイメージでしたね。イズムは、ロマンティシズムのイズム。去年の『Billboard Live TOKYO』も、ロマンティシズムをイメージしてやりました。

ーー今年の9月にもソロコンサートがありますが、今回のコンセプトは?

Takamiy:『美旋律 ~Best Tune Takamiy~』を提げたツアーなので、この中からもちろんやりますけど、ハードなものとメロウなものとのミックスをやろうかなと。今回は前々から知り合いでもある、凄腕のギタリストの鳥山雄司と一緒にやろうと思ってます。また違ったサウンドになるんじゃないかなと思います。

ーーかなり、メリハリのきいたステージになりそうですね。

Takamiy:以前はずっとハードな曲ばかりやってたんですけど、それだけじゃない見せ方をちょっとやってみようかと思ってます。

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