赤い公園、SOIL×野田洋次郎、androp×Creepy Nuts…“個性”と“斬新さ”備えたバンドシーンの新作

Awesome City Club『Awesome City Club BEST』(通常盤)

 4作の『Awesome City Tracks』シリーズからAwesome City Clubのメンバー自身が厳選した楽曲を収めたベスト盤『Awesome City Club BEST』。80年代のポップス、90年代の渋谷系、00年代以降のエレクトロなどを自在につなげる音楽性、atagi(Vo/Gt)、PORIN(Vo/Syn)を中心にしたキャッチーな存在感によってシティポップ・ムーブメントを代表する存在となったACCの4年間のキャリアが凝縮された作品と言えるだろう。注目すべきは新曲「ASAYAKE」。EDM、ソウルミュージック、カントリー(バンジョーの音も入っています)を自然に融合させ、どこか懐かしい手触りの日本語のポップスへと結びつけたこの曲は、タイトルが示唆する通り、ACCの新しい夜明けに直結している。“良質な大衆性”と呼ぶべき魅力を備えた「ASAYAKE」はこのバンドの大きな分岐点になるだろう。

Awesome City Club - 「ASAYAKE」Music Video(Short ver.)
雨のパレード『Shoes』通常盤

 雨のパレードの新シングル表題曲「Shoes」は、クラップとパッドが同時に鳴るように設定されたスネアの音色、アナログシンセをシミュレートしたと思われるシンセサウンドなど、80年代洋楽ポップスを想起させるミディアムチューン。このアレンジの方向性は現在のバンドのモードというより、“青春”“少年心”をテーマにした歌詞の内容とリンクした結果だろう。音数を抑えたシンプルなサウンドメイクによって福永浩平のボーカルが前面に押し出されているのも印象的。あらゆる事柄に好奇心を剥き出しに出来た季節が過ぎても、僕らはきっとどこにだって行けるーーそんな心の動きをリリカルに捉えた歌には、福永の心象風景が生々しく反映されていると思う。

雨のパレード - Shoes(Music Video YouTube Ver.)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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