ONIGAWARAがオマージュの先で手にした良質なポップミュージック ツアー最終公演レポート

ONIGAWARAが手にした良質なポップミュージック


 サティフォのギターソロにも耳を奪われる、斉藤のソロ曲「目立ってます」では、斉藤がマイクスタンドを客席に向け、ガワラーにも<目立ってます>のコールを求めながらさらなる盛り上がりを作っていく。「シャッターチャンス’93」は、90年代のフレイバーが香るギターロック。終盤には撮影OKの“スーパーシャッターチャンスタイム”があり、ONIGAWARAがさまざまなポーズを取っていく。その間にもガワラーはスマホでふたりを連写。アイドルとしてのファンサービスも欠かさない。さらに、「青春のきらめきを出せた」(サティフォ)、「アレンジしててグッときた」(斉藤)と紹介し、新曲「ホップステップLOVE」も披露した。


 そこから終盤にかけて、会場は一気にヒートアップ。スウィンギンなダンスナンバー「ダバダバ」、さらに「ヒットチャートをねらえ!」はディスコ風のソウルナンバーで、オニーズJr.が再登場した。その後再びONIGAWARAがステージをあとにすると、スクリーンでは楽屋の模様を生中継。ライブを終えて、一休憩するサティフォと斉藤、オニーズJr.の姿が映し出される。その後、会場内に「それでは、ONIアワード最優秀賞の発表です」のアナウンスが流れると、斉藤とサティフォはあわてたように楽屋を飛び出し、会場後方の入り口からフロアの中を通り、お客さんとハイタッチしながらステージに戻ってきた。

 そこからは、このツアーのために組まれたメドレーを披露。まさにヒット曲のメドレーのような趣で、「ONIGAWARA SUPER STAR」「ボーイフレンドになりたいっ!」「ポップミュージックは僕のもの」「恋のメリーゴーランド」などの人気曲のキャッチーなサビをノンストップで繰り出す。まさにONIGAWARAにしかできない試みで、この日一番の熱狂を生み出し本編は終了した。

 アンコールでは、8月に東京・新代田で夜の本気ダンス、Awesome City Clubを招いた自主企画イベント『夏フェスなんて大嫌い!!なんちゃって~鬼ヶ島リゾート2MAN2DAYS~』を開催することを発表。通常のチケットだけではなく、音源2曲のダウンロードコードが付いた“1stチケット・シングル”も発売される。ペンライト、インスタント・カメラ、写真集と、ユニークなアイデアでリリースを続けてきた恒例の“ファーストシリーズ”が再び復活する。そして、ステージにもどってきたONIGAWARAは最後に「Eじゃん」を歌唱。場内一斉にジャンプ、コール&レスポンスも挟み、決めポーズまでバッチリ決まった。

 ONIGAWARAのライブに難解さは皆無だ。「Shake it!」の曲中のトーク部分では、ライブの楽しみ方までレクチャーしてくれる。楽曲や演出、そしてMCや映像においても、誰もが等しく楽しめる環境を作り出すONIGAWARAのライブには、他では味わえない心地よさがあり、ライブの新たな楽しみ方を提案しているようにも思える。しかし、あくまでその真ん中にあるのは、抜群のメロディセンスが光るポップミュージック。もちろん笑えるネタの要素も強いけれど、音楽自体はハイクオリティ。バンドでもないアイドルでもない独自の道を突き進んだ先で、さらなる大きなステージで熱く歌い、颯爽と踊るONIGAWARAの姿を期待したくなる、充実のライブだった。

(取材・文=若田悠希/撮影=nishinaga "saicho" isao)

ONIGAWARAオフィシャルサイト 

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる