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J-METALのDNAを継承、TSPが目指す理想のバンド像「媚びずに自分たちの音楽をアピールしたい」

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「『めちゃくちゃでもカッコ良ければなんでもいい』のがTSP」(HINA)

ーーTSPの活動が本格化した2010年頃というと、ちょうどラウドロックと呼ばれるヘヴィなサウンドを信条とするバンドが増え始めたタイミングだと思います。でも、TSPってそのシーンとはちょっと違う位置にいるなという印象があって。

Shu:そうですね。どこにも混ぜられない、混ざれないみたいな(笑)。

THUNDER:混ぜてもらえません!

HINA:どこかポップなのにヘヴィでラウドだし、でもミクスチャーでもある。女もいるし男もいるし……気づいたら他にいない存在になってしまいました(笑)。

ーーでも視点を変えると、どこへも行けるってことなのかなと。結果として、そういう存在になれていますよね。

Shu:そうですね。僕は、例えば曲作りにおいても、3人が「これが一番一般的で良いんじゃないの?」と言ったら「じゃあそれやめる」っていう派なので。

HINA:あまのじゃくなんです(笑)。

Shu:とにかく人と違うほうに行きたくて。もちろんそれがカッコ悪かったら話は違うんですけど、みんなが左が良いと言うなら右に行こうと思ってしまうんです。ただ、それで失敗することも多いので、最近はなるべく他の3人に任せてますけど(笑)。

HINA:私の中では自分の歌がスパイスになったらいいなとは思うけど、例えば中にはSTEVIEだけが歌ってたほうがいい曲もあると思うんです。今回のEPでも自分はコーラスだけで、STEVIEだけが歌ってる曲もありますし。私が絶対に歌わなきゃいけないとか、そういうことにこだわってないShuさんの考え方に自分も近いと思うんです。それにShuさんがいるからまとまってるし、好き放題やらせてもらえるし。「めちゃくちゃでもカッコ良ければなんでもいい」のがTSPなのかなっていう気がしますね。

STEVIE:僕も他のボーカルと絡むということ自体、そもそも44MAGNUMでもやってますし、それに対しては違和感も抵抗もないので。TSP入ってもいつもどおり、自分のやるべきことをただ好きなようにやってるだけですよ。

ーーとはいえ、44MAGNUMと比べてボーカルの印象がかなり違いますよね。

STEVIE:そうですね。もちろん44MAGNUMだからできることもありますけど、44MAGNUMでは表現できないこともあると思うので。そういう意味では、しっかり差別化できているのかなと思います。

「どっちのCDを買ってもらうかは、ある意味戦いかもしれない」(Shu)

ーー改めて、TSPの音楽というのは単なるヘヴィメタルやラウドロックとも違う、独特の個性があると思います。僕はこの音楽性って、実は日本人の耳にすごく合っているのかなと感じていて。今J-POPと呼ばれている音楽って、まさにTSPのサウンドのようにとても雑多で、ミクスチャー的側面が強いものだと思うんです。

Shu:確かにそうかもしれない。実際、J-POPはすごいですからね。J-POPの曲構成は非常に参考になるし、正直勝てないぐらいすごいクオリティの曲を作っているなと感心します。言葉は悪いかもしれないですけど、イケてないインディーズ界隈のロックバンドはもっと勉強しないと勝ち目がないんじゃないかと思いますし。それは僕らも含めてですけどね。

ーーなるほど。

Shu:ラウド系でお客さんをいっぱい集められるバンドもすごいですよ。曲を聴くとめちゃめちゃ計算して構築されていて、いろんな音が入っている。特に最近の若いバンドはすごくカッコ良いなと思います。そのせいもあって、最近はシンプルに行きにくくなりましたね。シンプルに行っても勝ち目がない。例えば僕らみたいなスタイルだとギターリフが2つだけでも1曲が成立する時代があったじゃないですか。今はそれも無理ですよ。それこそLOUDNESSとか44MAGNUMとか歴史のあるバンドだったらスタイルを確立しているから大丈夫ですけど、新人バンドでそのアピールで成功できたら天才だと思います。理想は打ち込みとか入れずに、4人で出せる音だけで勝負できたら最高ですけど。隙間がある音楽は本当にカッコ良いけど、シンプルであればあるほど難しいですからね。他の3人はわからないですけど、僕の能力ではちょっと太刀打ちできないっていう。

ーーそこと戦っていきたいという思いはあるんですか?

Shu:音楽自体は戦いではないと思うんですけど、今はCDが売れない時代ですし、CDが2枚あったらどっちを買ってもらうかは、ある意味戦いかもしれない。その戦いの中で横のつながりができて盛り上がってくれたら一番いいですよね。やっぱり刺激になるじゃないですか、「あいつらカッコ良いな、じゃあ負けないように頑張んなきゃ」って。そういう相乗効果が曲にもライブにも出てくると、非常に良い感じになると思うんですけどね。こないだもサウンドがラウド系のアイドルをチラッと見たんですけど、すごいなと思って。ジャンル問わず、そういう刺激は常に受けてますよ。

STEVIE:アイドルなのにジェントっていう。

Shu:そうそう。あれを見たときには、すぐAmazonでCD買いましたからね。研究しなきゃヤバいって。しかも、誰が曲を作ってるんだろうと調べると、普通に知り合いだったりするし(笑)。

TSP_NEW CD『TRIBAL EVOLUTION』トレイラー

「もはや今は作品の形態を気にする必要がないんじゃないか」(STEVIE)

ーー今回リリースされたEP『TRIBAL EVOLUTION』にはひたすらヘヴィな「陰陽LIFE」もあれば、ストレートでメロディックなロック「Departure」もあるし、EDMやダブステップの要素を取り入れた「Killing Bites」みたいな曲もある。それぞれのカラーが本当にバラバラだけど、通して聴いたときにバンドとしてしっかり一本芯が確立していることが感じられました。

Shu:ありがとうございます。「Departure」はHINAの曲なんですけど、非常にSTEVIEに合っているなと思っていて。僕の中では本当に44MAGNUMのBANさんが作るような曲だなと思ったら、こないだ北海道でライブをやったときに観に来てくれて、BANさん自身も非常に気に入ってくれたようで(笑)。

HINA:私はBANさんの曲がわからないんで、似てるよ似てるよと言われても「そうなんですか」みたいな(笑)。

STEVIE:空気感が似てるんだよね。キャッチーさというかポップさが。

ーーSTEVIEさんにボーカルが変わり、新たなTSPを見せる最初のアイテムという意味では、アルバムという形を取ることもできたと思います。なぜ今回はあえて4曲入りのこの形態を選んだんでしょう?

Shu:もちろんアルバムという方法もありますし、5、6曲入りのミニアルバムもあれば2曲入りのシングルもあるじゃないですか。実際、プロモーションで「これは何と呼べばいいですか?」と質問されることが多くて困ってるんですけど(笑)。

THUNDER:「CDです」と(笑)。

Shu:うん、CDですね。ミニアルバムでもないしシングルでもない。ちょうどいいんですよね、4曲って。5、6曲ぐらいになるとちょっと物足りなくなって、アルバムでもいいんじゃないかと思うようになるし。でも、やっぱりアルバム1枚まるまる聴くのは大変じゃないですか。しかも今は曲をどんどん飛ばせちゃうので。4曲くらいだと最初から最後まで意外と気楽に聴けるし、取材をする人も楽じゃないですか。

HINA:そっち?(笑)。

ーー10曲以上あると、1曲1曲がすべて記憶に残るかと言われると難しいところもありますし。

Shu:1年ぐらいかけないとね。僕はカセットテープやアナログの世代なので、CDのように簡単には飛ばせない。だから片面を最後まで聴くしかなくて。でも今は……僕もそうですけど、1コーラス聴いてポンポン飛ばすことができる。だから4曲くらいなら、聴く側も最初から最後まで集中して聴くことができるんじゃないかなって。

STEVIE:もはや今は、作品の形態を気にする必要がないんじゃないかなって。それこそ、今はCDドライブが付いてないPCも多いじゃないですか。そうなるとiTunesでダウンロードするのがいいのか、USBで渡したほうがいいのか。そこでは別にフルアルバムだったりシングルだったり、そういうのはもうあまり関係なくなってくる。知らない人が聴きやすくするならシングルにすればいいし、シングルだと表現できる幅が狭いと思うならアルバムにすればいいと思うんです。

Shu:今回は4曲入りで『TRIBAL EVOLUTION』というタイトルですけど、このタイトルの曲はどこにも入っていない。要するに、4曲でひとつの作品なんですよっていうところの、ロックバンドとしてのこだわりの強さ。そこは失わずにいたいと思います。

ーー昨年Hi-STANDARDが無告知でCDを発表して大ヒットさせたように、まだまだCDには可能性が残っているんじゃないかと思いますし。

Shu:ですね。それに、売れなくなったとはいえ、このヘヴィメタルというジャンルは好きな人たちがまだCDを買ってくれるシーンなんですよね。それは非常にありがたいと思ってます。

HINA:ちゃんと作ったものに対してお金を出して、形として所有すること自体がアーティストに対してファンからのリスペクトなんだそうですよ。だから、データよりもCDで欲しいというのは特徴なのかもしれないですね。それにCDを買ってジャケットをじっくり見て、プレイヤーでCDを再生すること自体、ワクワクしますし。

STEVIE:僕、CDプレイヤーは持ってないからなぁ(笑)。WindowsのパソコンでCDを読み込むことはできるけど、ポータブルのCDプレイヤーはもう持ってない。音楽をデータで購入して、iPhoneに入れて聴くことが多いかな。だから若手の子たちから「僕たちの音楽、聴いてください」とCDをもらっても聴けないことが多くて。そう考えると、ちょっとCDが売れないとか言ってる場合じゃないですよね。

ーーそもそもCDを聴ける環境が身近にないから。

STEVIE:そう。そういう状態になってるんだから、売れなくて当たり前で。何か新しい方法をみんなで考えていくしかないと思う。それがライブなのか、あるいはCDにQRコードを付けることなのかわからないけど、後手後手に回らないようにしないと。

THUNDER:売れない売れないと言われてますけど、売れてるところは売れてるわけで。しかも、その人たちはライブもめちゃくちゃ良かったりする。俺は古い人間だからかもしれないけど、ちょっと気に入ったらCDを買うようにしていて。やっぱ何かきっかけがあって、その相手に響けばきっと結果は伸びるんじゃないかと思うんです。そういう点では、僕たちもきっかけとしてのライブを重視しているんじゃないかな。

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