3rdアルバム『ロミオとジュリエット』&クラウドファンディング企画インタビュー
天才バンドが考える、“即興演奏”の醍醐味 「バンドはどうやって生きてきたのかを発表する場所」
「コミュニケーションの手段として音楽がある」(奇妙礼太郎)
ーーSundayさん、なるたけシンプルなコード進行で、簡単な言葉で曲を作るっていう基本方針をお持ちじゃないですか。
Sunday:ああ、僕は基本的に曲を作る時は全部そうなんで。コード進行をさせないっていうのが、まずモットーで。たとえば、コード進行がほんとにきれいで、心の琴線に触れる音楽もあるじゃないですか。それは、聴くのは好きなんですけど、僕が自分で作る場合は……自分の言いたいことを人の耳に入りやすいようにするための音楽なんで。言葉が入りやすいための補足という感じなんですよね、自分の作る曲は。音楽のかっこよさに……コードとかメロディのかっこよさに、言葉が負けないように、ある程度簡素化された、4つぐらいのコードで行けるとこまで行ってみよう、っていう感じですね。
ーーだから、奇妙さんはすごいボーカリストだけど、奇妙さんが歌わないと成立しないようなものは作らないというか。
Sunday:ふたりで初めてライブした時に……奇妙くんの曲もやるし、僕の曲もやるし、半々ぐらいでやってみたんですけど。その時に、曲を作る思考回路が、根本的に一緒な感じがしたんですよ。「自分とおんなじ人がいた!」って思ったんで。僕の曲を歌ってもらっても、なんの違和感もなく、昔から一緒にやってるかのように。奇妙さんはどう思ってるかわからないですけど、僕は最初「一緒!」って思ったもん。
奇妙:一緒とは思ってない。
Sunday・テシマ:はははは!
奇妙:全然。「すごいなあ」と思うだけですね、僕は。曲作ったり歌詞書くのって、積み重ねたものが要るんですよね。ほんまにそのこと自体好きでないと書けないですし、言葉で何かを作ったりするのを好きじゃないと、歌詞を書けないんですけど。人のものを読んだり見たりするのはすごい好きなんですけど、自分で書くのは全然好きじゃないんですよ。で、いいものとか全然出てけえへんなって自分では思うんですけど。Sundayさんのやつはーーよく言うんですけどーー難しい単語とか出てこないですし。もう子供からお年寄りまで絶対わかる言葉なんですよね。最初にSundayさんの曲を歌った時に、すごいなあ、その日ライブに来た人が覚えて帰るなあ、と思って。すごいことなんですよ。その日覚えて帰って、また聴きたいって思うことって。エンターテインメントって、お膳立てがすごい大事というか。いろいろ楽しみあるじゃないですか? すごいかわいい男の子がやってるとかもあるし、衣装がおもしろいとか、照明とかダンスもあるし。全部その楽しみのためのものやから、全部すばらしいんですけど、すぐにできるってことを考えると、メロディと言葉のすごさってあるなあって思ってるんで。だから、自分と同じとは全然思わない。生きてきた厚みが全然違うし。
Sunday:「生きてきた厚み」って(笑)。いや、僕は厚いですけど、奇妙さんも薄っぺらくはないですよ?
奇妙:いや、僕、右翼の人にスカウトされたことないですから(笑)。
ーーされたんですか?
Sunday:ええ、まあ、右翼というかーー。
ーーお父さんとお母さんは学生運動で出会ってるのに?(笑)。
Sunday:いや、お母さんともめてた団体の右翼の事務所の人が、僕がその息子やって気づかずに、「おまえ威勢いいらしいな。いろいろ噂きいてるけど」って。
奇妙:「このへんに元気なボーイがおるらしい」とききつけて。
Sunday:名刺渡されて、「月50万でうちに来い」っていうのがありましたね。
奇妙:それが宿敵の息子やったっていう(笑)。
Sunday:「カミデっておまえ、お母さん、もしかして……」っていう。
奇妙:ヤンマガ読んでるみたいやもんな、その話(笑)。
ーーっていうか、普段こういう話って自主的にばっさりカットするんですけど、お父さんとお母さんの学生運動の話、ライブテイクの方のMCに丸々入ってるし(笑)。
奇妙:いけるやつです。
カミデ:全然大丈夫です。
奇妙:そういう話って、あってもひとり2~3個やと思うんです。相当おもしろい人でもそんぐらいやと思うんですけど、Sundayさん、会うたびそういう話が延々出てきて。もう怖いなと思って(笑)。
ーー奇妙さんは普段、あちこちでゲストとかで、古今東西の名曲を歌ったりすることが多いじゃないですか。Sundayさんの曲ってそのどれとも違います? やっぱり。
奇妙:うーん……。
ーー最近だと僕は、5月9日に中野サンプラザの『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー』で、RCサクセションの「宝くじは買わない」を歌っておられたのを聴いたんですけども。
奇妙:ああ! めっちゃよくなかったですか?
Sunday:はははは。あ、そう?
奇妙:うん。「俺がいちばんよくない?」と思った(笑)。
カミデ:これは観た人に改めてききましょう。どうでした?
ーーすごかった。声が出た瞬間に空気が変わった感じしました。
Sunday:へえー!
奇妙:いやあ、僕ねえ、すごいんですよ(笑)。
Sunday:え、歌ってる時に思った?
奇妙:「得意やわあ!」って思いながら歌ってた(笑)。清志郎さんの曲、めちゃ歌いやすいんですよ。自然にでかい声が出るように作られてて。で、Sundayさんの曲は、コード進行、あんまり楽器できひん人でもすぐできるように作られてるんで。そこもすごいことやと思って。コミュニケーションの手段として音楽があるというか。いわゆるよくできた曲とは違う、よくできてる感じがあって。カナヅチやけどノコギリやし、ノコギリやけど…………あれ? おかしいかな、この喩え。
Sunday:いや、まだいける!(笑)。でもその、今日から楽器やりますって人でもできるようなコードにしてる、っていうのはあって。
奇妙:うん。邪念なしにすぐ取り組めるっていいよ。広がる力があるし。
ーーでも、曲自体はそういうものなのに、ライブは正反対ですよね。誰も真似できない。
Sunday:そう言われたらそうですね。
奇妙:なんか、ライブの音源聴いてて「もうちょい普通に歌お」って思いましたけど。
Sunday:あ、そういうとこある? まあでもね、毎回ほんとに、同じ曲が違う曲になるから。その日しか成立しないことなんで。反省はあって、「あん時こうしてたらよかったな」とか「あそこ、もうちょっとがんばったらよかった」とかの連続なんですけど、もはや何を反省していいのかもわからないぐらいの高揚感はあるんですよね。
(取材・文=兵庫慎司/撮影=下屋敷和文)
■リリース情報
3rd Album『ロミオとジュリエット』(CD+DVD 2枚組)
¥4,900(税別)
<DISC1収録曲(CD)>
-Track from Studio Recordings-
01.DANCE MUSIC FOR ME!!~Acoustic ver.~
02.BIG JOY
03.僕らのLove song
04.寿限無
05.ロミオとジュリエット
-Track from Tour Recordings-
06.firefly(恵比寿)
07.Joy to the world!(恵比寿)
08.冷やしてる(名古屋)
09.足なおった(名古屋)
10.ゲソ天(恵比寿)
11.キス キス キス(恵比寿)
12.天王寺ガール(恵比寿)
13.LOVESTORY(恵比寿)
14.SHIBUYA STRUT(名古屋)
15.ロッケンロールベイベー(恵比寿)
<DISC2収録内容(DVD)>
2017年2月に東京・恵比寿LIQUIDROOMで行われた「諸君!ロックの秘密文書をこのクソみたいな世界から奪取せよ!ツアー2017」ファイナル公演の模様を99%映像化
■クラウドファウンディング情報
「天才バンド、3rdアルバムをあの番場秀一監督と、応援してくれる皆とで作りたい!」
詳細はこちら。
■ツアー情報
『天才バンドワンマンツアー2017「ロミオとジュリエット」』
2017年06月22日(木)札幌 KRAPS HALL
開場 18:30 開演 19:00
2017年06月23日(金)仙台 JUNK BOX
開場 19:00 開演 19:30
2017年06月28日(水)福岡 THE VOODOO LOUNGE
開場 18:30 開演 19:00
2017年06月30日(金)広島 CAVE-BE
開場 18:30 開演 19:00
2017年07月01日(土)大阪 Shangri-La
開場 17:30 開演 18:00
2017年07月02日(日)名古屋 CLUB UPSET
開場 17:30 開演 18:00
2017年07月07日(金)東京 キネマ倶楽部
開場 18:15 開演 19:00
<チケット>
前売¥3,800(税込・ドリンク代別途要)
*オールスタンディング
*小学生以上有料・未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)
*チケット一般発売中