『進撃の巨人』『CRISIS』サントラ手掛ける澤野弘之、アニメと実写で楽曲はどう変わる?

 アニメファンを中心に、絶大な人気を誇る劇伴作家の澤野弘之。現在放送中のアニメ『進撃の巨人』Season2(TOKYO MXなど全21局)のほか、ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系)でも、澤野がサントラを担当している。(※『CRISIS』はKOHTA YAMAMOTOとの共作)

 澤野といえば、劇伴の中でもアニメサントラのイメージが強い。それもそのはず、アニメ制作にはほぼ毎年携わっているのに対し、地上波の民放ドラマで劇伴を手掛けるのは、2011年放送の『マルモのおきて』(フジテレビ系)から実に6年ぶりとなるからだ。最近では、映画もほとんどがアニメ作品である。とはいえ、過去には『医龍-Team Medical Dragon-』(フジテレビ系)や連続テレビ小説『まれ』(NHK総合)といった話題作の音楽も多数担当してきた澤野。アニメと実写作品では、彼の紡ぐ楽曲に一体どのような違いが見られるだろうか。

 まずは、澤野がこれまで制作を担当した作品の傾向から分析したい。アニメの場合、今期の『進撃の巨人』と『Re:CREATORS』を筆頭に、『青の祓魔師』や『ギルティクラウン』といったバトルファンタジーものが大半を占めている。しかし実写作品では、扱われるテーマが多岐にわたる。『CRISIS』や『BOSS』のような刑事ものから、『医龍-Team Medical Dragon-』や『魔王』といったシリアス系、『まれ』や『マルモのおきて』に代表されるホームドラマに至るまで、幅広く網羅しているのだ。

 作品のジャンルやテーマが異なれば、音楽のアプローチにも当然違いが出てくる。澤野サントラといえば、デジタルやバンドサウンドを駆使した躍動感溢れる楽曲や、重厚感のあるオーケストレーションの印象が強い。今回の『CRISIS』でも、アクションシーンに合わせてアッパーチューンで迫力ある楽曲が目白押しだ。SNSを見ていても、「CRISISのサントラかっこいいと思ったら、やっぱり澤野さんだった」というような、納得の声も多い。しかし、ホームドラマにそうした重たいサウンドはマッチしないだろう。ゆえに、日常的な世界観の実写作品では、音圧も控えめで軽やかなタッチの曲がメインとなる。逆に、アニメに多いファンタジー作品では、劇伴にも雄大さや異国情緒感などが必要とされる。そのため、たとえば『進撃の巨人』Season2のサントラでは、12型(44人編成)オーケストラで二重録音を試みたという。澤野いわく、壮大な世界観を演出するにしても、そこまで贅沢なレコーディングをしたのは初めてだったそうだ。(参照:「進撃の巨人」Season 2 放送記念 澤野弘之インタビュー)また、「(実写とアニメで)音楽の作り方に違いはあまりないんですけど、ドラマよりアニメの方が、いろんなことにトライできるなとは思います」(参考:『進撃の巨人』で経験したサントラのおもしろさ)とも語っている。

TVアニメ「進撃の巨人」Season 2 放送記念 澤野弘之インタビュー

関連記事