ステージ上には“最新形”のローゼズがいた 熱狂の空間に包まれたThe Stone Roses武道館公演

The Stone Roses、日本武道館レポ

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 話を戻そう。そんなふうに現在のローゼズは、まるで息を吸うかのようにさまざまな時代のロック・ミュージックを体得して、ここにいる。The Byrdsのような繊細なフォーク・ロックも、Simon & Garfunkelのような美しい歌メロも、Sex Pistolsのような激しいパンク・サウンドも、だ。そう、ツェッペリンも、ジェームス・ブラウンも……。彼らは最初からそうしたものを内包した才能の集まりだったが、再結成した今、その豊かな音はよりいっそう濃いものとなり、自分たちの音を輝かせていると感じた。

 そして今回の来日では、そんな彼らの最新形を生で聴くことができた。昨年リリースされた新曲「All fou One」。結束や連帯を呼びかけるこの曲は、ローゼズの魅力を集約したかのようなフレーズとタフなサウンドを持つナンバーだ。まさに肩を組み合って大声で叫ぶのには最高の歌で、それだけに今夜のオーディエンスにもまったくナチュラルに受け入れられ、これまたあっちでこっちでの大合唱を呼んでいた。

The Stone Roses - All For One (Official Audio)

 ライブは翌日の二日目も大盛況だったようで、ひさびさとなった日本でのローゼズの単独公演は大成功だったと言えるはずだ。ただ、ライブから1週間が経とうとしている今この原稿を書いていて、あの熱狂の空間から時間を置いてみると、いろいろと気になるところはある。3rdアルバムは果たしていつ出るのか? ということだ。

 去年は、先ほど書いた「All for One」のほかにもう1曲、「Beautiful Thing」という曲がリリースされている。こちらはグルーヴが主体のクールな楽曲で、言わば「Fools Gold」のアップデート版といった趣。これもライブで聴きたいところだったが、今回のセットリストには入っていなかった。

The Stone Roses - Beautiful Thing

 この新曲2曲は昨年春に録音されたものだと思われる。プロデューサーはポール・エプワース。今やColdplayやアデル、ポール・マッカートニーまでを手掛ける、超売れっ子だ。彼らはここで、たとえばジョン・レッキーを指名して、過去の再現をするようなマネはしなかったのである。

 それだけにこの2曲ではローゼズ本来の魅力を活かすことに重点が置かれながら、サウンドの感触はきっちりコンテンポラリーなものに仕上げてある。その成果もあってか、2曲とも本国UKではチャートの上位にランクイン。次はいよいよ1995年の『Second Coming』以来となるアルバムが出るのか? と思いながら、すでに1年近くが経とうとしているのが現状だ。

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