『TROPICAL LOVE TOUR』最終公演レポート

電気グルーヴのライブには二種類の“多幸感”があるーーZepp Tokyo公演レポート

 自ら“最高傑作”と称するアルバム『TROPICAL LOVE』のリリースを受けて、6都市7公演で行われた電気グルーヴの全国ツアー『TROPICAL LOVE TOUR』。その最終日となった3月25日、Zepp Tokyo公演を観て感じたことを、以下書き留めておくことにしよう。結論から言うと“多幸感”。面白さも狂気もない混ぜになった、得も言われぬ“多幸感”が、今の電気のライブにはあるのだった。

 

 揃いのアロハにサングラスという出で立ちでステージに登場した石野卓球とピエール瀧。サポートに牛尾憲輔(agraph)を加えた、最近ではお馴染みの編成だ。「人間大統領」からスタートした本編は、4曲目の「プエルトリコのひとりっ子」までシームレスに繋がってゆくなど、アルバムを完全に踏襲した流れだ。

 

 そして、その後は「いちご娘」をリアレンジした楽曲「いちご娘はひとりっ子」、今の季節を意識したのかアルバム『KARATEKA』収録の「March」など懐かしい楽曲を『TOROPICAL LOVE』のモードで披露。そこから今度は、「The Big Shirts」など前アルバム『人間と動物』の収録曲に突入するなど、結成20周年以降、現在へと連なる流れを一挙総まくりする構成に。気がつけば、『VOXXX』収録の「Eine Kleine Melodie」まで11曲を、MC無しのノンストップで繰り出したのだった。

 

 ようやく訪れたMCタイム。しかし、ここでも饒舌なトークは、ほどほどに控えられ、後半戦へと突入。そう、今の電気は、何よりも“音楽”を優先するのだ。そして、再び『TROPICAL LOVE』の流れに戻りつつ、終盤は「Upside Down」、「FLASHBACK DISCO」、「Baby's on Fire」など人気曲を、ステージ前に出張ってきた石野と瀧のツートップ状態で歌い上げるなど、そのステージングはさながらロックスターのそれだった。その極みは、そのあとに披露された往年の人気曲「N.O.」を会場中でシンガロングしたときだろう。観客にマイクを向けて、サビのフレーズを、観客にシンガロングさせる石野。

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