『ETERNALBEAT』ツアーファイナルレポート

ねごとは“自由”を志向し続けるーーバンドの今を体現した『ETERNALBEAT』ツアー

 中野雅之が手掛けた「アシンメトリ」のサイケデリックな高揚感から、直接的にBOOM BOOM SATELLITESを連想した人は多いだろうし、この曲の演出でレーザー光線が使われたときに、サカナクションの「ルーキー」を思い出した人もいるかもしれない。また、中野と共に『ETERNALBEAT』に大きく貢献した益子樹が手掛けた『HIGHVISION』時代のSUPERCARを彷彿とさせる部分もあった。この3バンドはブレイク時期こそ数多くのフォロワーを生んだものの、そのオリジナリティがゆえに模倣によって消費されることなく、その後唯一無二の立ち位置を確立していったわけだが、今のねごとのライブはそんな先人たちとの比較も可能なくらいのクオリティがあると言っていいだろう。

 

 しかし、これまでのヒストリーが表しているように、彼女たちは特定のアーティストの影響下や、決められたジャンルの枠に簡単に当てはめられるようなバンドではない。本人たちもMCで語っていたが、おそらくはこれからも変化をし続けるだろうし、そのフリーフォームな在り方こそがねごとらしさなのである。デビューが早かった分、ステージでの立ち姿は「男前」という言葉が似合うほどに堂々としたものだが、とはいえ、彼女たちはまだ20代半ばのバンド。カテゴライズに捉われない姿勢は、YouTube世代と呼ばれる後続のバンドたちにも通じるものであり、その世代のバンドがオーバーグラウンドに浮上することで、改めて問われる「ライブの画一的な盛り上がり」に対しても、彼女たちはあくまで自由であることを志向している。

 アンコールでは今年が結成10周年イヤーであることを語り、始まりの曲である「ループ」をプレイすると、最後に届けられたのは、アルバムでもラストに収録されている「凛夜」。〈当たり前だった今日も そのままを全部愛して 理想ではない未来でも そのままをきっと信じて〉と歌うこの曲の「あなたらしくあればいい」というメッセージこそが、楽曲や、立ち姿や、言葉を通じて、彼女たちがこの日体現していたことだったと言えるはずだ。

 

(文=金子厚武/写真=AZUSA TAKADA)

ねごとオフィシャルサイト

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