乃木坂46、舞台版『あさひなぐ』薙刀初稽古詳細レポート メンバーからのコメントも
さて、ここからは舞台版『あさひなぐ』で乃木坂46メンバーが演じる各キャラクターについて紹介しつつ、今秋公開を控えた映画版『あさひなぐ』への期待も寄せていきたい。
物語の主人公、東島旭(とうじま あさひ)は二ツ坂高校の入学したばかりの、メガネがトレードマークの女の子。中学時代は美術部だった彼女は、部活動オリエンテーションでふとしたきっかけで出会った薙刀部に入部することになる。背も低くこれまでスポーツとは無縁だった旭は、過酷な練習や先輩たちとの交流を経て、着実に芯の強さがあらわになっていく。舞台版では齋藤、映画版では西野が演じるこの旭、普段から積極的に前に出ていく印象の薄い2人にぴったりの役という印象がある。ともに薙刀初心者ということもあり、稽古から舞台&映画本編を通じてどのような成長を見せていくのかにも注目だ。
その旭の精神的支柱となる存在が、1学年上の先輩にあたる宮路真春(みやじ まはる)。7歳から薙刀を続けるほどの経験者であると同時に、二ツ坂高校薙刀部のエース。1年生の時点で個人戦にて全国大会ベスト8まで勝ち進んだ実力者として、薙刀界では有名な存在である。また容姿端麗で運動能力も長けているが、勉強に関しては苦手意識があり、原作では先生から追試を言い渡される場面も何度か登場する。旭とは薙刀部以前に、通学中とある事件を通じて出会っている。その後、ドジで非力な旭の成長を、厳しくも温かい眼差しで見守っていく。舞台版でこの役を演じるのは、乃木坂46の中でも舞台経験の多い若月。凛々しさが特徴の真春役は、まさに彼女にうってつけの役と言える。映画版では誰が、西野演じる旭と向き合うことになるのか、非常に気になるところだ。
旭と一緒に薙刀部に入部する1年生にも、個性的な面々が配役されている。八十村将子(やそむら しょうこ)は勝気で粗暴さが目立つ性格だが、仲間に対する思いは人一倍強い少女。中学時代は剣道部に所属しており、その経験が良くも悪くも薙刀に影響していく。舞台版ではこの役を井上が担当。可愛らしいルックスとは相反して、芯に“男らしさ”を持つ井上が自身をどう将子に近づけていくのか。そして映画版でうってつけなメンバーは誰なのかも、楽しみなところである。
旭、将子と一緒に薙刀部に入部する紺野さくら(こんの さくら)は、中学時代にバレーボール部に所属していた高身長の女の子。裕福な家庭で育ったお嬢様で、その環境が影響してか、時に天然ボケを発揮したかと思うと、時には丁寧な言葉使いながらも毒や棘をはらんだ発言で薙刀部の面々を凍りつかせる。ある意味、二ツ坂高校薙刀部のムードメーカー的存在と言えるだろう。舞台版では、この役を新内が演じる。近年は『すべての犬は天国へ行く』『墓場、女子高生』といった舞台で頭角を現し始めている彼女が、さくらという役をどう演じるのかと同時に、映画版との比較も気になる。
真春と同級生で、新たに薙刀部部長に就任した野上えり(のがみ えり)を演じるのは、最近演技仕事が増え始めている生駒。えりは言葉巧みに旭たち1年生を薙刀部に入部させるほど頭の回転が早く、その頭脳は薙刀の試合にも効果的に作用するほど。乃木坂46の中でリーダーシップを発揮する機会も多い生駒が、薙刀をテーマにしたこの舞台でどう立ち振る舞うのか。と同時に、この役を映画版で演じるにの適した乃木坂46メンバーが誰になるのかにも、注目しておこう。
また、旭たち二ツ坂高校薙刀部にとって新たなライバル校となる國陵高校薙刀部の面々も個性的なキャストが揃った。真春を打ち負かし、のちに旭のライバルとなる一堂寧々(いちどう ねね)は、熊本から東京に転校してきた1年生。馴れ合うことを嫌い、周りを圧倒させる実力もあって他部員のレベルの低さに憤りを感じている。熊本弁で話すこの役を、舞台版では堀が熱演。舞台経験はまだ数えるほどしかないが、未知数な可能性を持つ彼女の演技、そして齋藤演じる旭、若月演じる真春との対峙場面など非常に気になるところだ。
この他にも舞台版では、國陵高校薙刀部2年生の寒河江純(さかえ じゅん)役を衛藤、1年生の的林つぐみ(まとばやし つぐみ)役を北野が担当。堀演じる寧々とのやりとりに加え、二ツ坂高校薙刀部との試合場面をどのように見せていくのか。演技力のみならず、薙刀の技術にも注目があつまる。
このように、原作を理解して5月からの舞台に臨むと、その世界観をより深く感じることができると同時に、乃木坂46の面々が各キャラクターにどこまで原作に近づけるかと、楽しみ方も増えることだろう。そこから、今秋公開予定の映画版『あさひなぐ』の内容や、旭以外のキャストが誰になるのかなどを想像していくと、『あさひなぐ』の世界をより深く感じることができるはずだ。
■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。
■公開情報
『あさひなぐ』
今秋、全国公開
原作:こざき亜衣『あさひなぐ』(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)
キャスト:西野七瀬ほか
監督:英勉
制作:ノースリバー
制作プロダクション:ROBOT
配給:東宝映像事業部
(c)2017 映画「あさひなぐ」製作委員会
(c)2011 こざき亜衣/小学館
■公演情報
『あさひなぐ』
5月20日(土)より、EXシアター六本木ほか
原作:こざき亜衣『あさひなぐ』(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)
キャスト:齋藤飛鳥、井上小百合、新内眞衣、若月佑美、生駒里奈、堀未央奈、衛藤美彩、北野日奈子、 石井一彰、則松亜海 、真琴つばさほか
脚本・演出:板垣恭一
制作:東宝演劇部
(c)2017 舞台「あさひなぐ」製作委員会
(c)2011 こざき亜衣/小学館