関ジャニ∞、下積み時代に掴んだ絆 『プレミアムフライデー』ナビゲーター務める意義を読む
「月末の金曜日、仕事を早く切り上げて豊かな時間を過ごそう」という『プレミアムフライデー』が、2月24日から始まった。例えば15時に仕事を終わらせて、夕方から友人たちとパーティーをしたり、土日をつなげてゆとりを持った旅行に出かけたり……「プレミアムフライデー推進協議会事務局」公式サイトでは、プレミアムな時間の過ごし方の例を、ナビゲーターに就任した関ジャニ∞が会社員になりきったコント形式で紹介している。『プレミアムフライデー』の是非が問われる中、関ジャニ∞がナビゲーターを務める意義とは何か、芸能ライターの佐藤結衣氏に話を聞いた。
「早めのディナーについて、“アーリーディナー、アリでんなー”と連呼するなど、公式サイトにある映像では相変わらずな関ジャニ∞のワチャワチャが楽しめます。こうした楽しそうな雰囲気こそ、この取り組みに光を当てているのでは。新しい取り組みというのは、少なからず摩擦が起きるもの。実際に、否定的な意見も多かったように思います。それを“楽しもうな!”と投げかける関ジャニ∞の明るさこそ、“何かが変わるかも”という希望の光になっているのではないでしょうか」
しかし、初回の2月24日を振り返ってみると、「自分には関係ない」「普段と変わらなかった」という声がSNSなどを中心に目立った印象だ。
「サマータイムやノー残業デーなど、これまでも労働時間を短縮しようという働きかけはあったのに、実現が難しかった例が多かったからだと思います。プレミアムフライデーについても、同様なのではないか、という見方になってしまうのも納得です。労働時間を個人が調整できるかどうかは、それぞれが自己完結できるように業務を分担していく、マネジメント方法が必要。しかし、日本企業の多くがチームで仕事を進めており、個人で労働時間を調整するのは難しい体制です。その点を考慮せずに、ただ時間だけを“早く切り上げよう”というのは厳しいのではないかと思いますね。プレミアムフライデーを成功させるためには、働き方そのものを変革させる必要があります。果たして各企業に、そこまで本気で取り組む覚悟があるのでしょうか。長年のやり方を変えるというのは勇気も労力もいりますから、一朝一夕にはできるものではないと思います」
現状として、まだまだ受け入れられていない様子のプレミアムフライデー。しかし、関ジャニ∞だからこそ人々に訴えられるものがある、と佐藤氏は続ける。
「関ジャニ∞の仕事ぶりを見ると本当に楽しそうなんですよね。メンバーの仲も遠慮がなくて、見ていて気持ちが良いほど、それは、彼らが“今までのやり方を越えて、自分たちの幸せを自ら掴み取る!”を体現しているからだと思うんです。関ジャニ∞は、ジャニーズの中でも苦労が多かったグループ。上京しても売れずに関西に戻るという挫折を味わい、アルバイトで食いつなぐという泥臭い下積みを経験しています。そこから、楽器を始めたり、トークスキルを磨いたり、ド下ネタをぶっこんだり、自主レーベルを立ち上げたり……と、ジャニーズアイドルとして踏みならされてできた道だけではなく、それぞれが模索して、スベったり、転んだりしながら今の成功を掴み取っています。そうした自分の働く道を切り拓いていく力こそ、今のやり方では限界を感じている働き盛りの人たちに勇気を与えてくれるのではないでしょうか。会社で、ひとりで早く仕事を切り上げるのは難しいかもしれませんが、一緒に働くチームから“プレミアムフライデーを取り入れられるように、今の働き方が変えられないか”を話し合うこと。それが、最初の一歩かもしれません。簡単ではないかもしれませんが、そうした話し合いを通じて、苦労を共に乗り越えた関ジャニ∞のような絆を感じる仕事仲間になれたらステキですね」