『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017』特集第2弾
渋谷の街で音楽とカルチャーはどう育まれる? 『TOKYO MUSIC ODYSSEY 』プロデューサーインタビュー
「音楽の現場を充実させ、マーケットを広げるためにも提案したい」(岡)
――今年新たに加わったイベントが『SOUND & VISION』です。ミュージシャンと映像クリエイターが対等にコラボするライブイベントは、これまであまりなかったので、今回『TOKYO MUSIC ODYSSEY』の一環として立ち上げたのはとても興味深いです。
沢田:「都市と音楽の未来」というテーマに合ったコンテンツを増やしたいと思っており、こういった音楽と映像に特化したイベントを立ち上げました。今、「映像」と一言で言っても、クラブで活躍するVJもいれば、VR、プロジェクションマッピングなど幅広くありますよね。まずは会場であるWWW Xで表現できることを考えて、弊社とお付き合いのあるミュージシャンやクリエイターの方に、その時だけしか見れないものをチャレンジしていただこうということになりました。
ーーVRなどが盛り上がってきている中で、そういったシーンの潮流を汲んだイベントを提案することは、とても意義があることですよね。
沢田:そうですね。ライブの他にも宇多田ヒカルさんやillionのVR体験ブースも用意しました。将来的には来場者全員にゴーグルをつけてもらって、ヘッドセットでライブを見れるような状態になったら面白いなとも思っています。
ーーDAOKO、きのこ帝国、HIFANAというラインナップも面白いですね。
沢田:DAOKOさんは普段から映像に特化したライブをやっているので、今回は初めてKezzardrix、backspacetokyoとコラボしてもらうことになりました。きのこ帝国は、普段ライブに映像を取り入れることはありませんでしたが、今回はフォトグラファーのMITCH NAKANOさんがきのこ帝国の音楽をイメージした映像を撮り下ろしてくれています。また、HIFANAは弊社が昔からお世話になっているグループで、番組のジングルやSTATION IDを一緒に作ってもらいました。今回の「映像と音楽」という分野に関して、彼らは先駆け的な存在でもあるので、ぜひと思い声を掛けさせていただきました。
大澤:DAOKOさんはラップシンガー、きのこ帝国はバンド、そしてHIFANAはブレイクビーツユニットといったように、いろんな世代、いろんな形態を並べて、「音楽と映像」という切り口からライブを見てもらうのが、今回の狙いですね。
ーー『NEW FORCE』に関しても、向井太一、For Tracy Hyde、ドミコ、The Wisely Brothers、iriと、去年のMrs. GREEN APPLEやSuchmosらと比較しても、よりニューカマーで新鮮なアーティストが揃っています。
大澤:そうですね。今までも新しいアーティストの応援は力を入れており、例えば、『スペースシャワー列伝』というイベントや『POWER PUSH!』というローテーション企画があります。そんな中で『NEW FORCE』の企画を進めるにあたり、ブレイク寸前というよりは、さらに早いタイミングのアーティストを応援していくことにしました。『列伝』はバンド系が多いんですけれど、そことは少し違った、ジャンルの幅広さや音楽性、バンドにこだわらない自由な編成など、新しい表現を追求する若いアーティストもプッシュしていきたいなと思いました。
沢田:イベントにはその5組が出演しますが、今回に限らず一年間通して応援させていただく企画ではあるので、放送や他のイベントに限らず、様々な企画をプランニングしています。当日来場したお客さんには、『NEW FORCE』の全10組のアーティストの楽曲をコンパイルしたCDをプレゼントさせていただきますし、チケットの金額も1,000円に設定しました。コンピレーションCDを配ることで、ライブから先に興味が広がっていく動きも促せると思いますし、それぞれのアーテイストのその後も追ってもらえたら嬉しいです。
――『ALTERNATIVE ACADEMY』はオールナイトイベントで、2016年9月にオープンしたWWW Xでの開催になります。DJアクトも増え、よりクラブのノリを感じるイベントになった印象です。
沢田:『ALTERNATIVE ACADEMY』は独自の音楽を貫いていて、かつ東京から世界に発信していけるアーティストに出演してもらうステージです。また、風営法が改正され、昨年6月に施行されてから、オールナイト公演やクラブイベントが正式にできるようになりました。普段クラブに行ったことのない人たちにも、ライブやDJアクトを観て、夜通し遊ぶことをこのイベントで体験してほしい、という思いがあります。『SHIBUYA POP UP STUDIO』のトークセッションにも登壇するZeebraさんは渋谷区観光大使ナイトアンバサダーとして、その理念にも通ずる活動をされています。スペースシャワーもそういう夜の文化と一緒に育ってきた側面もあるので、今回、より積極的に打ち出していけると良いなと思っています。
岡:法律や街のサイズの問題もあって、海外の主要都市にくらべ、ナイトカルチャーが広がりにくかったと思うのですが海外からのお客さんたちがどんどん増えてきてる中で、音楽の現場を充実させ、マーケットを広げるためにも何か提案したいという気持ちもあります。
沢田:夜遊びの敷居を下げて、バンドのライブを観に行くついでに夜遊んじゃおうかなみたいなノリで来ていただきたいなと(笑)。また、今回に限らず、WWWやWWW Xでもオールナイトイベントは徐々に増えてきているので、そうやって渋谷の街で夜も遊んでほしいですね。