作詞家zopp「ヒット曲のテクニカル分析」第9回
zoppが考える、SMAPの歌詞が色あせない理由「調べると、あらゆる視点での面白さに気づける」
「RECOJOはそのときの情報や情勢を拾うアイドルに」
――後半ではRECOJOのことを伺いたいのですが、レーベル名が<カクメイゼンヤ・エンターテインメント>で、デビュー曲が「革命前夜LOVE」、“革命前夜”という言葉が歌詞にも入っていたりとか、このタイミングで“革命前夜”というキーワードを使ったのは、世相が関係しているんですか。MVにはドナルド・トランプやヒラリー・クリントンのお面も出てきていますし。
zopp:そうですね。もともと僕、“革命前夜”という言葉がすごく好きで、RECOJOにもそのワードが入った歌詞を歌ってもらいたいなと思ったんです。直近で起こる革命を探した結果、トランプ大統領の誕生があったのでそこに被せました。とはいえ、「革命前夜LOVE」の歌詞の内容はそんなに重くはなくて、単純な三角関係のお話です。だからサビに入っているリベラルという言葉は政治的な意味ではなく、“自由な恋をしよう”という意味。 別に僕は政治事に走っていきたいわけじゃないんですよ。
――ただ、そういうアーティストを盛り上げていく話題性は大事だと。
zopp:今って流行り廃りのサイクルがどんどん早くなっていると思うんです。だから、RECOJOではその時流行っていることを切り口に、オンタイムなモノを作っていきたい。スパンが短いのでかなり体力が必要な作業なんですけど、諦めずに難しいことをやっていくのが大事だと思っています。今の音楽業界でそういう存在は、秋元康さんしかいないんです。
――直近の彼の作品でいうと、乃木坂46の「さよならの意味」というグループのための大衆歌を作りつつ、AKB48の「ハイテンション」では<ミサイルが飛んで 世界が終わっても>というフレーズがあったりとか、情勢を汲んでいらっしゃいますよね。
zopp:秋元さんは“今”の情勢を作品として出したいから、絶対ギリギリまで歌詞を考えていると思います。でも、僕らはそれをCDにしてすぐに出せるような規模感のチームではないし、僕にはさすがにハードルが高い。でも、CDにして出さなければ似たようなことはできると思ったんです。だとすると、いかに早くMVにできるのかがポイントになってくるのかなと。
――たしかに、リップシンクを使わなければ、MVを撮ってからでも歌詞は直せますもんね。
zopp:そうそう。あとは長回しで1本撮るくらいなら、僕たちでもすぐに作ることができると思うんです。とはいえ、その時の情勢に合った面白いビジュアルが必要だと思うので、そこのスピード感もシビアにやっていかないとダメですよね。ちなみにRECOJOってスペイン語で「拾う」という意味があるんですけど、そのときの情報や情勢を拾っているという意味になるかな、とも思ったんです。
――2017年1年通して作品を作っていって、振り返った時に年表のように情勢がわかったら面白いですね。RECOJOの3人(玉野真乃愛、吉森サナ、桜井美桜)はどういう基準で選ばれたんですか。
zopp:成長する姿を楽しめるかどうかを基準に選びました。成長ってなかなか言葉にできないものなんですけど、追いかけている人はその面白みに気づいてくれてるだろうなと思います。彼女たちは、何かに長けてるんですけど、ウィークポイントもあるというか……マルチプレイヤーではなく、本当に一芸に秀でた子たちです。
――ライブも見せてもらいましたが、3人でお互いの弱点カバーしつつ、個性を発揮している印象でした。
zopp:歌に関しても、ただ上手ければいいのかと言われたら、それだけじゃない部分って絶対にあると思うんです。そういうところを彼女たちが知って学んでいってくれたら、また面白い子たちになるんだろうなと考えています。
――なるほど。メンバーそれぞれのSNSを見ていると、写真の撮り方もどんどん垢抜けていってたり。
zopp:そうなんですよ。言わなくても勝手に成長していくところもありますからね。僕も彼女たちの成長に負けないように、切磋琢磨していくーーそういう関係性を作るのが、1番ポジティブだと思っています。
(取材=中村拓海/構成=村上夏菜)
「革命前夜LOVE / RECOJO」~トランプダンス編~@原宿駅前
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