ディーン・フジオカがライブで提示する、ボーダーレスな「魅せるエンターテインメント」

ディーンの「魅せるエンターテインメント」

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 中盤には、この日だけのサプライズとしてカバー曲も2曲披露。サイ・コールマンのジャズ・スタンダード「Why Try To Change Me Now」では自らピアノも担当し、「めっちゃ緊張した~」とおどける姿に歓声が止まらない。続いて「最も好きなクリスマス・ソング」としてナット・キング・コールのカバー「The Christmas Song」も歌い上げた。そんなライブの盛り上がりがピークに達したのは、終盤の「History Maker」と「Sweet Talk」だ。

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 『ユーリ!!! on ICE』の主題歌「History Maker」では1~3階の観客とそれぞれコーラスを練習して観客と合唱。ストリングスを使用した楽曲の世界観は、フィギュアスケートを題材にした作品に寄り添うと同時に、コールドプレイの「Viva La Vida~美しき生命~」などにも通じるアンセミックな雰囲気がある。続く「Sweet Talk」は切なくポップなメロディと音響的な工夫を凝らしたプロダクションが混ざり合う、アルバム『Cycle』の中でもポップ・ソングとしての完成度が高い楽曲のひとつ。本編最後はファンと共に「Priceless」を熱唱した。

 アンコールに登場したDEAN FUJIOKAは、自身の名前「DEAN」をもじった「Dramatic Electro Acoustic Nomad」というフレーズがプリントされたTシャツを着ていたが、この言葉は彼の音楽性を的確に表現しているように思える。デビュー作『Cycle』やこの日のライブにも顕著だったように、彼はエレクトロ、ヒップホップ、ブルースやフォーク、ロック、ジャズなど様々なチャンネルを持ち、そのすべてを俳優としての高い技術と掛け合わせた「魅せるエンターテインメント」として提示していく。ラストは台湾在住時代に作った「Midnight Messenger」の中国語バージョンを経て「Showdown」で終了。日本のみならずカタールやフランス、韓国など各地から集まった観客がひとつになった。そのボーダーレスな感覚こそが、彼の音楽の魅力なのだと感じた一夜だった。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

■セットリスト
『DEAN FUJIOKA Special Live「InterCycle 2016」』
12月22日(木)パシフィコ横浜 国立大ホール

01.My Dimension
02.Midnight Messenger mabanua REMIX
03.S.O.F.
04.Thirsty
05.Mr.Taxi
06.April Fool
07.Banana Muffin Blues〜Chinese Sword Play
08.Why Try To Change Me Now(サイ・コールマン)
09.The Christmas Song(ナット・キング・コール)
10.History Maker(「ユーリ!!! on ICE」主題歌)
11.Sweet Talk
12.Priceless
<アンコール>
13. Midnight Messenger
14. Showdown

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