『二人セゾン』リリースインタビュー

欅坂46 小池美波&齋藤冬優花&佐藤詩織が振り返る、フロント抜擢の衝撃と激動の2016年

 11月30日にリリースされた欅坂46の3rdシングル『二人セゾン』が、発売初週で44万枚を超えるセールスを達成した。今年4月に『サイレントマジョリティー』で衝撃的なデビューを果たし、続く2ndシングル『世界には愛しかない』ではポエトリーリーディングを導入するなど常に攻めの姿勢で活動してきた彼女たち。そこから一転して、今作の表題曲では温かみや切なさが詰め込まれた極上のポップチューンを、クラシックバレエやコンテンポラリーダンスをモチーフにした振り付けでしなやかに表現している。一方で、カップリングの「大人は信じてくれない」では「サイレントマジョリティー」の延長線上にあるロック色濃厚な楽曲を、激しくキレキレなダンスで華麗に演出。CDデビューから7カ月強でここまでの成長を遂げたかと、改めて驚かされる。

 12月24、25日には有明コロシアムでの1stライブも決定し、12月28日には年末の風物詩『COUNTDOWN JAPAN 16/17』に出演、大晦日には『第67回NHK紅白歌合戦』への初出場も決まるなど、最高の形でデビューイヤーを締めくくろうとする欅坂46。『二人セゾン』発売前のタイミングに行われた今回のインタビューでは、同作で初めてフロントメンバーとなった小池美波、齋藤冬優花、佐藤詩織の3人に選抜発表時の心境や現在の思い、新曲の注目ポイント、そして数日後に控えた1stライブへの意気込みを語ってもらった。(西廣智一)

「1列目のメンバーが名前を呼ばれていくときは記憶がなかった」(佐藤)

ーーまずは10月16日に放送された『欅って、書けない?』(テレビ東京)での3rdシングル選抜発表を振り返ってみたいと思います(参照:欅坂46は“全員フロント経験者”型グループへ? 3rdシングル選抜メンバーに寄せる期待)。今回は過去2回とは異なり3列目の真ん中から発表していきましたが、皆さんはこれまで3列目だったので序盤で自分の名前が呼ばれずに不安を感じたのではないかと思います。

佐藤:ここ(齋藤と佐藤)は同じ気持ちで、最初は選抜から落ちたと思いました。

齋藤:でしたね(笑)。みーちゃん(小池)はずっと3列目の真ん中にいて、私としーちゃん(佐藤)はわりと端だったりしたので、あとがないというか、そういうふうにポジションを捉えたらいけないんですけど、気持ち的にはこれ以上後ろにも下がれないし、ちょっと不安でした。

佐藤:私は1stの「サイレントマジョリティー」で3列目の真ん中の隣の位置だったんですけど、2nd(「世界には愛しかない」)で端から2番目になって。1stのときに自分のダメな点がわかったので、2ndで端のほうに行ったことは自分的には納得していて。だから本当にあとがないなと思っていたので、3列目で名前を呼ばれなくて「ああ、落ちた」という思いが最初は強かったんです。

小池:私は3列目で名前を呼ばれなかったら、きっと落ちただろうなという思いはあって。1st、2ndと3列目の真ん中でやらせていただいたんですけど、でも前に行きたい気持ちもありました。だから3列目だけどパフォーマンスでは1列目、2列目にも負けないようにって思って頑張ってたんです。でも自分に自信がなくて、いつか前に行きたいなという気持ちはあっても、自分が前にいることが全然想像できなかったので、それを想像できたときが自分的に一番いいタイミングなのかなと思っていたんです。

ーー今回はまだその自分を想像できてなかった?

小池:はい。だから自分の名前が(立ち位置番号)3番で呼ばれたときは頭が真っ白になって。前に行けたことは絶対に嬉しいことのはずなのに、不安や恐怖が一気に押し寄せてきたんです。で、ファンの方が認めてくれるかもわからなくて、どうしたらいいんだろうっていう気持ちが大きかったんですけど、よく握手会でファンの方が「いつか前に行けるように頑張ろうね」と言ってくださっていたので、やっぱりファンの方も嬉しいことだと思ったので、私自身まだ不安もあるんですけど今はやるしかないなと根性でやってます(笑)。

小池美波

ーー皆さん、「前に行けた」という前向きな気持ちより最初に「選抜から落ちた」と思ったんですね。

齋藤:はい。

佐藤:なかなかあの瞬間は前向きにはなれないです。

齋藤:でも途中まではちょっと期待もしていたんですけど、2列目で呼ばれた子にフロント経験者が多かったので、もうないなと。だから途中から表情にも出てしまって。

ーー確かに、番組中すごい表情でしたものね。

齋藤:放送されちゃいました(苦笑)。

佐藤:フロントを経験しているメンバーが2列目にいて自分が1列目に入ってやっていけるのかという不安と、現実を受け入れられない気持ちで溢れていて。だから1列目のメンバーが名前を呼ばれていくときは記憶がないよね。

ーーそれが発表後の、皆さんのコメントに表れてると。それくらい予想外なことだったわけですね。

佐藤:衝撃でした。

「選抜発表後のブログにはかなり勇気が必要だった」(齋藤)

ーー放送後のブログでも皆さん、不安な気持ちとやるぞという前向きさが入り混じった思いを綴っていましたね。齋藤さんのブログはいろんなところで話題になりましたし。

齋藤:あれを書くのにはかなり勇気が必要だったんです。思っていることを全部赤裸々に書いたので、決意表明というかどういう気持ちで3rdシングルの活動に向かっていくかがファンの人に伝わるといいなと。ブログは大切な場所なので、本当にしっかりやろうと思っていて。だからそのブログを読んで、私がフロントで踊ってる姿を見て少しでも「いろいろ考えてやってるんだな」と感じていただけたらいいなと考えたんです。あとは、私と同じように感じているメンバーがほかにも3列目にはいるので、そういうメンバーの気持ちもブログから伝わったらいいなと。前に行きたいけど言葉にしづらいんですよね、3列目って。そういう複雑な心境もファンの方に伝わったらいいなと思って、書きました。

ーー確かにそういう思いを言葉にすることは、勇気がいりますよね。どうしても位置で見てしまう人も多いですし。小池さんもブログでは「でも、この場所に選んでいただいたからには やるしかないんです」と綴っていましたが。

小池:やっぱり自分がここにいられるのは自分の力だけじゃなくて、ファンの方や家族、地元の友達、スタッフさんといろんな方たちのおかげだと思っているので、だったらやるしかないなと思うんです。

ーー佐藤さんは3rdシングルの発売日が、亡くなったおじいさんの誕生日と一緒だと書いていましたよね。

佐藤:3rdでフロントに来てから、自分の中で心の整理というかいろいろ思い返すことが多くて。まず欅坂46に合格できたのも、このオーディションを知らなかったらなかったことだし、そもそも受かったことも奇跡だし。合格してから何度か辞めたいなと悩んだこともあったんですけど、辞めずに今日まで続けてこれたから自分がまた人として成長できたと感じる部分も多くて。今までの自分は、自分の嫌な部分から目を背けることが多くて、できなそうだと思ったら何か理由をつけて辞めたがってたんですけど、でも今回は1列目に来たからには絶対に成功させないとダメだなと思ったんです。

ーーそれはどうしてですか?

佐藤: 3列目から1列目に来るというのはなかなか考えられないことだし、そもそも選ばれた意味を全うしたいと思ったから。そういう意味でも、自分の心をもっと強くしないといけないなと。それに、3rdシングルの発売日がおじいちゃんの誕生日というのもあるし。おじいちゃんは欅に入ったことや大学に合格したことをすごく喜んでくれてたんです。しかもこの「二人セゾン」は大事な人の愛を感じて、その愛があったから自分は今変われたんだよっていう意味を持った曲なので、すごくぴったりだなと思って。おじいちゃんのことを考えながら歌って踊ったりもして、いろんな偶然が重なって今回1列目に来れて、自分も成長できるチャンスをもらえて、いろんな意味ですごく運命的だなと思います。

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