ゆるふわギャング『「ゆるふわギャング」でアルバム作る』プロジェクトインタビュー

ゆるふわギャングが突きつけるシーンへの挑戦状「海賊みたいに全部奪って、良いものにしたい」

 

「音楽はもっと自由であるべきだし、縛りつけるようなものであっていいわけがない」(Ryugo)

ーー製作予定のアルバムには、これまでSoundCloudで発表していた楽曲も多数収録するそうですね。「FUCKIN' CAR」はどのようにして作っていったのでしょうか。

Sophiee:この曲は2人が初めて一緒に作った曲なんです。2人で毎日クラブへ行ったりして、遊び狂っていたんですけど、そこへ行く車内でテンションがガンガン上がって「これ、FUCKIN' CARじゃん!」という話になって。だからこの曲は遊び明かした夏の思い出みたいな一曲ですね。いま、「FUCKIN' CAR」の冬バージョンも作っているんです。アルバムにも入れようかなと思っていて。

Ryugo:この曲ができた瞬間にAutomaticさんも含めた3人で「やっていけるな」と思いましたし、色々アイディアが浮かびましたね。

ーー車の中で作るという手法も「FUCKIN' CAR」がきっかけで定番化していったんですか?

Ryugo:そうですね。基本的に土浦から東京までの移動やライブへの行き来がだいたい車で、生活の半分以上が車内なので、必然的にそうなったというか。

Sophiee:自分たちの空気にもなるし、シャットダウンもできるので、集中もしやすいんですよ。

Ryugo:この間は群馬でライブをした帰りに、サービスエリアで満月が超綺麗だったんで、車を停めて満月を見ながら曲を書いて、おでんを食べて。

Sophiee:私たち、あまり昼間は外に出ないんですよ。暗いところが基本好きで。

Ryugo:暗いところと海と森がすごい好きだし、宇宙もすごく好きなので、自分たちは宇宙人っぽくいたいと思っているんです(笑)。たぶん、曲の気持ち良さもそういう思想から来ていると思うんですよね。海や宇宙で聴いてたらきっと気持ちいいだろうし、車内も宇宙船みたいなものなので。

ーークラウドファンディングの告知文言にもリリックの一部を使っていた「パイレーツ」は、シーンへの宣戦布告的なメッセージが込められていますね。

Ryugo:「今のシーンがクソだな」と思っていて、「パイレーツ」はそういうメッセージを込めて書きました。汚い大人がすごく多いし、そういう奴らに搾取されそうになっている人たちも俺は見てきたから。そういう奴らから俺らが海賊みたいに全部奪って、シーンを良いものにしたいと思って。

Sophiee:「一緒の船に乗ってください」という感じですね。「FUCKIN' CAR」を出して注目してくれたのはありがたかったけど、権力を振りかざすだけの奴もいて。それがきっかけで辞めていく若いラッパーも多いし、自分たちは音楽がしたいだけですから。

Ryugo:音楽はもっと自由であるべきだし、縛りつけるようなものであっていいわけがない。だから、俺らが変えたいし、新時代を築きたいという思いもあります。

 

ーーアートフォーマットや発信の仕方を見ていても、2人の明確な意思を感じます。自分たちの中では、今後の展開もイメージしているのでしょうか。

Ryugo:今回みたいにクラウドファンディングを使うなど、今は曲を発表していく方法自体はたくさんあるし、常に自分たちに適したやり方を選んでいければと思っています。これまでは行き当たりばったりでやってきましたけど、なんとか作戦を練れたというか。今後はできることも増えるので、自分たちがやっていて面白いなと思うやり方でずっと続けていきたいですね。

ーー例えば、自分たちで面白いと思っていたものを使っているなかで、別の面白そうなものが出てきたら瞬発的に飛びついちゃうタイプですか?

Sophiee:考えますね。作戦会議をします。

Ryugo:面白いものが出てくると「次、これをどこで使ったら面白いのかな」と考えるタイプなんです。だから、できるだけたくさんアイディアの手持ちがあるような状態にしておきたい。たくさんやりたいことがあって、それをどこからどう消化していこうかと悩めるくらいがいいですよね。

Sophiee:とりあえず目立ちたい人たちなんだと思っておいてください(笑)。

(取材=松田広宣/構成・写真=中村拓海)

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