『アイマス』は“先へ先へ”と今なお進むーー「デレマス」4thライブにみたコンテンツのさらなる可能性

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 そんな“Brand New”な面々がしっかりと役目を果たした次の日は、アニメの主要キャストが勢揃い。プロデューサー役の武内駿輔が低音でメンバーを呼び込むと、「Star!!」「Shine!!」とアニメのオープニング曲を連発し、序盤から沸点に到達したかと思えば、大橋彩香、福原綾香、原紗友里、渕上舞、松井恵理子という、Triad Primusとnew generationsの複合ユニットによる「STORY」と、息つく暇もないセットリストが繰り広げられる。

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 その後も凸レーション(黒沢ともよ、松嵜麗、山本希望)やCANDY ISLAND(五十嵐裕美、大空直美、大坪由佳)、LOVE LAIKA(上坂すみれ、洲崎綾)、Rosenburg Engel(内田真礼)とアニメ内ユニットが続々登場し、「Memories」ではアニメ13話(体調不良の新田美波(洲崎)の代役として、神崎蘭子(内田)がステージに立ったシーン)を再現するかのようなシーンが上演されるなど、隙のない演出を連続した。中盤ではTriad Primusが人気曲「Trancing Pulse」をパフォーマンス。サプライズゲストとして早見沙織が登場し、シリーズ屈指の名曲「こいかぜ」を熱唱すると、続くサプライズとして東山奈央も姿をあらわし、2人で「Nocturne」を歌い上げた。

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 後半は全員が揃いの衣装に着替え、人気曲を次々と披露。「夢色ハーモニー」では、キャスト陣がセンターに集まりポーズを取ると、シャッター音が鳴り、同じ構図でキャラクターが集合した写真(松尾祐輔氏による描き下ろし!)がスクリーンに浮かび上がる。すると、ここで「GOIN’!!!」のインストにあわせてアニメの歴史を振り返る映像が流れ、武内が予告していなかった“4つ目の城・Future Castle”の開城を宣言。ここではVR専用タイトルに書き下ろした「Yes! Party Time!!」や、大坪が実際に自作したレモンタルトを使ってパフォーマンスした「おかしな国のおかし屋さん」、高森奈津美が早口言葉ともいえる難解なフレーズを見事歌いきった「ニャンと☆スペクタクル」、new generationsのソロ新曲と、アニメの放送終了後にリリースされたタイトルが顔を揃えるなど、ライブ初披露曲が次々とパフォーマンスされ、アイマスの最新形を提示してみせた。

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 2日ともに共通するのは、アンコールで新曲「EVERMORE」が披露されたこと。初期の楽曲にも近い、あたたかな手触りのメロディ・アレンジとともに歌われたのは、<覚えてる? キミの初めてのステージ>というフレーズ。キャストにとっての初めてのステージ、プロデューサーが初めてアイマスをプレイした初めてのステージ、それぞれを思い起こさせ、<先へ先へ 夢の先へ 進んでいくと誓うよ>と、さらなる共栄・躍進を予感させる言葉が並ぶ。

 ここにきて何を当たり前のことを、と思うかもしれないが、そもそも『アイドルマスター』というのは、現在のアイドルアニメブームが起こる遥か以前、2005年にアーケードゲームの筐体としてスタートしたものだ。アーケード時代の楽曲から、当時のアイドルシーンに起こっている流れを汲みつつ、アニソン(キャラソン)・電波ソングに顕著な「音の装飾」を施してきた。2010年代初頭には動画サイト初のクリエイターが多数アイドルシーンで活躍し、アニソン・電波ソング的な価値観を生身の人間が表現するという逆転現象も起こった。

 そんな変革期の真っ只中に始まったのが『アイドルマスターシンデレラガールズ』ともいえる。場所をゲームセンターの筐体から各人の携帯端末に移し、より手軽に多くのアイドルをプロデュースできるようになった。同作をきっかけとして、世に出ていく声優が続々と登場し、役者・アーティストとしてそれぞれ活躍。ライブもどんどん規模が大きくなり、今年に入ってからは週間オリコンチャートで1位を獲得するまでに。アイマスというフォーマットは、シーンにおいて確固たるものになったといえるだろう。

 もちろん、アニメアイドルコンテンツは後続が次々と誕生している。そんななかでアイマスの優位性とはなんなのだろうか? 先日リアルサウンドの連載でクラムボン・ミト氏がサウンドプロデューサー・内田哲也氏と対談した際、ミト氏はアイマスのサウンドを「初期ハロプロ的な生感」と評した(参考:クラムボン・ミト×『アイマス』サウンドP内田哲也が語る、アイドルアニメ・ゲームに“豊潤な音楽”が生まれる背景)。その部分はライブだとより目立つ部分であり、歌い手の個性がしっかりと伝わってくる要因でもあるだろう。だからこそ、声を武器にしている声優その人にもしっかりと焦点が当たるし、キャスティングされる声優の長所が活きてくるのだ。だからこそ、アイマスは次々と“シンデレラ”を生み出すことができているし、それによってコンテンツの楽しみ方は無限に広がっていく。

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