『#LUV mixed by DJ FUMI★YEAH!』インタビュー

DJ FUMI★YEAH!が考える“J-POP MIX”の難しさと醍醐味、そしてDJとクラバーの課題

「もっとディグって欲しいなと思う人は増えたかも」

ーーFUMI★YEAH!さんはHIP HOPから入って、今はオールジャンルのイベントに多く出演しつつ、様々なジャンルのクラブで回しているようですが、ここ数年でDJ・オーディエンスに変化している部分はありますか?

DJ FUMI★YEAH!:オーディエンスについては、僕が年を取っただけなのかもしれませんが……。昔のクラブって、レアな曲を聴きに来たいお客さんが多かったと思うんです。DJが掛けているレコードを見に来てメモったりとか、知らない曲でカッコいいものが掛かるとより盛り上がったりとか。でも、最近はヒット曲中心になってしまっているかな、と感じる部分はあります。それは昔よりも閉鎖的じゃなくなって、一般の方が増えたという良い傾向でもあるので、難しいところなのですが。

ーーDJ側の変化についてはどうでしょう。

DJ FUMI★YEAH!:先に話したお客さんが、音楽に詳しくなるように教えるのもDJの役割だと思っているので、そのあたりはみんなで頑張りたいですよね。あと、ハード・ソフトが発達して、誰でもDJができるようになった分、音楽に詳しくない人が舞台に立ってヒットチューンばかりをかけるようになった影響もあるのかも、と考えていて。もちろん皆が皆そうではないのですが、もっとディグって欲しいなと思う人は増えたかもしれません。

ーーその分、特定のジャンルに詳しい、尖った若手DJも増えたという印象があります。

DJ FUMI★YEAH!:それは間違いないですね。わかりやすいところで言うと、ムーブメントが続いてるEDMのシーンについては、上手い若手DJが多いなと感じます。とはいえ、時流は移り変わるもので、ヒップホップやR&Bがメインになる時代も訪れると思うので、できるだけ万能になっておくに越したことはないと思いますよ。EDMでも旧譜をサンプリングしたものが多いので、もっと知っていけばさらに幅も広がるでしょうから。

ーーFUMI★YEAH!!さん自身は、最近どのような音楽を聴いていますか。

DJ FUMI★YEAH!:自分では幅広く聴くように心がけているのですが、R&Bやロービートが多くなりがちですね。今年だと、ザ・チェインスモーカーズがすごかったなと。EDMプロデューサーがロービートでビルボード1位を取るという快挙を成し遂げていて、時代の転換点が来たのかなと思わせてくれました。

ーー海外ではEDM一極集中から次のタームに移っているというか、「EDMを使った次の発明」を狙っているプロデューサーが多いですよね。

DJ FUMI★YEAH!:各々がどれだけオリジナリティを出していくかというムードですよね。日本も近いうちにそうなると思います。最近だとブルーノ・マーズやジャスティン・ビーバーもそうですし、ロービートが主流になる時代は近いでしょうね。

ーーオーディエンスからもそのテンションは感じますか?

DJ FUMI★YEAH!:一時期はイベントにもよりますが、ロービートを掛けると棒立ちになられていたので、その時に比べればだいぶ踊るようになってくれたと思います。そのリアクションもあって、選曲の幅は広がっているので。2、3年前くらいはTOP40、いわゆるデヴィッド・ゲッタやピットブル、ジェイソン・デルーロ、LMFAOといったアゲアゲのクラブミュージックでしか盛り上がらない時期もありましたから。

ーープロデュース業も2014年頃からスタートしていますよね。多くのアーティストのオフィシャルRemixも手がけていますが、そちらの方もまだまだ続けていく予定でしょうか。

DJ FUMI★YEAH!:実はいま、オリジナルアルバムを作っているんです。とはいえまだ、実作業で3%、構想も入れて10%くらいなんですけど(笑)。

ーーそれはやはり、個人の趣味全開な作品に?

DJ FUMI★YEAH!:好きな感じも出しつつ、趣味に振り切るとまったく売れないものができそうなので(笑)、時代に合った音を取り入れて、独自の色を出していけたらいいなと思います。それも見据えて、自分のDJでオリジナル曲やオフィシャルRemixを多めにプレイして、馴染むかどうか確かめています。

ーーMIX CDとオリジナルやオフィシャルRemixの制作方法は、大きく違うものなのでしょうか。

DJ FUMI★YEAH!:全然違いますね。まずソフトが違います。MIX CDは感覚的に作るイメージなので、『Ableton Live』を使うことが多いんです。でも、オリジナルでは『Pro tools』がメインですね。

ーー『Pro tools』だと同一ソフトでセルフ・マスタリングできますしね。

DJ FUMI★YEAH!:そうですね。オリジナルだと、ハードものを使うことも多いです。

ーー先ほどクラブDJと制作を同時に進めるのは難しいと伺いましたが、やはりオリジナルとMIX CDも同時に進めるのは至難の技なのでしょうか。

DJ FUMI★YEAH!:一番やりにくいですね(笑)。頭もパソコンもハードでいっぱいになってしまいます。

ーーJ-POP MIXで「構想中だけど、まだできていない」というテーマはありますか?

DJ FUMI★YEAH!:結構ありますね。単純に自分の好きな曲だけーークラシックや新しいものをいろいろ混ぜた上できれいなMIXも作ってみたいですし、日本人のプロデューサーが作ったクラブミュージックオンリーのMIX CDも楽しそうです。後者に関しては、うまく作れば洋楽をメインに聴いている人でも「日本のポップスだけど洋楽と並列で聴ける」と思ってもらえると考えているんです。

ーー面白そうですね。特定のジャンルで「ここにフォーカスしてみたい」というものは?

DJ FUMI★YEAH!:ドラムンベースに焦点を当てたものとか、面白そうですよね。ドープすぎるとダメなんですけど、若干ポップ感があるドラムンベースがたっぷり入ってるMIX CDなんて見たことないので(笑)。

ーー最後に、今後の目標についてもお聞きしたいのですが、やはりまずはオリジナルアルバムの完成といったところでしょうか。

DJ FUMI★YEAH!:それもありますが、まずは風営法が改正されて、クラブの間口がようやく広がったので、一般の方がもっと現場に足を運んでもらえるよう、自分がその架け橋になれればいいなと思います。あと、もうちょっと世間に対してDJの認知度を上げたいですね。

ーーまだまだ認知度は低いと感じるんですか?

DJ FUMI★YEAH!:はい。やっぱりプロデューサー出身のDJが多くて、現場で頑張っているDJに対する認知はまだ低いと思いますね。ストリートのDJから有名になるパターンって日本だとまだ少ないと思っていて。海外だとDiploとか、A-Trakがそうですよね。自分もそうやって率先してシーンを引っ張っていくDJになれるように頑張ります。

(取材・文=中村拓海)

『#LUV mixed by DJ FUMI★YEAH!』

■リリース情報
『#LUV mixed by DJ FUMI★YEAH!』
発売:11月23日(水)
価格:¥1,980(税抜)

<収録内容>
01. #LUV イントロ / DJ FUMI★YEAH!
02. Crystal Kay / 恋におちたら
03. BENI / 永遠
04. 8utterfly / 好きで、好きで、好きなのに...
05. WHITE JAM / ウソツキ
06. ORIGINAL LOVE / 接吻 (Album Version)
07. KREVA / ひとりじゃないのよ feat. SONOMI (Album Version)
08. m-flo loves 加藤ミリヤ / ONE DAY
09. Juliet / ナツラブ
10. 寿君 / SPECIAL THANX
11. 小柳ゆき / あなたのキスを数えましょう ~You were mine~
12. 安室奈美恵 / Baby Don't Cry
13. bird / サマーヌード
14. Shiggy Jr. / サマータイムラブ
15. ケラケラ / スターラブレイション
16. 矢井田 瞳 / My Sweet Darlin'
17. 柴咲コウ / ラバソー ~lover soul~
18. Go!Go!7188 / こいのうた
19. シェネル / Happiness
20. Hilcrhyme / 春夏秋冬
21. KG / いとしすぎて duet with Tiara
22. MOOMIN / いつもそばで (Album Mix)
23. 山崎まさよし / セロリ
24. ナオト・インティライミ / 恋する季節
25. HY / あなたを想う風
26. ROYALcomfort / 君に好きと伝えよう
27. FUNKY MONKEY BABYS / Lovin' Life
28. VOG / これから先も
29. JAY'ED / ずっと一緒
30. ハジ→ / ずっと。
31. JUJU / やさしさで溢れるように

■関連リンク
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