メジャー1stフルアルバム『guidebook』インタビュー

lyrical schoolが明かす、アイドルラップの進化とビジョン「パーティ感満載のラップを広げたい」

 

「アルバムではバシッと決まるテイクを持っていこうと」(hime)

ーーそしてメジャーデビューシングルだった「RUN and RUN」がアルバムの最後に収録されています。今年の春に歌っていた頃とは、この曲の意味もまた深まって変わってきているように思います。

ami:このアルバムの中で一番最後に収録されたことで、また違う意味を持ったかなと。ただ、それは聴いてくださる方々の感じ方だと思うので、私が決めつけるのはどうかなとは思うんですけど。でも、「RUN and RUN」がリリースされた頃は、みんなの背中を押すような応援ソングという印象が強かったように思います。今ももちろん応援ソングではあるけど、「大丈夫だよ、未来は明るいから今のリリスクを信じて」みたいな、なんて言えばいいかわからないんですけど、そういうことを伝える曲になってるようにも思えて。同じ曲なんですけど、感じ方が変わるものになってきて、面白いなと思いました。

ーー「RUN and RUN」以降の楽曲は、himeさんが加入して以降の歩みということにもなります。アルバム完成までを振り返っていかがですか?

hime:うーん、そうですね……。私、アルバムを出すのが初めてなんです。だから思い入れも強くて。シングルを3枚リリースして、だんだんと馴染んできたんですけど、アルバムの段階で初めて本当に馴染むのでは遅いかなと思って。なので、アルバムではバシッと決まるテイクを持っていこうと思ってレコーディングに挑んでいました。私は学校があっていつも最後にスタジオに入ってたので、他のみんなのテイクがほぼ出来上がってる状態でのレコーディングだったんです。だから馴染ませやすかったというのはありました。仮歌とみんなの声が入ったバージョンとでは、全然違うんですよ。前後関係ができあがった状態で、みんなの声を聴いてから録っていたのでやりやすかったですね。

ayaka:メジャーデビュー以降は、歌詞もhimeが歌うものとして作ってもらってるんですけど、ライブではそれ以前から私たちが歌ってきた曲も歌いますよね。himeが歌う箇所は本当にhime自身のパートとして生まれ変わっていて、ずっしりと芯がある感じです。minanが加入した時も思ったんですけど、自分のものにするっていうのが二人とも本当に上手で、すごいなと思って見ています。

ami:himeもminanも、すごく真面目に努力してそのパートに取り組むので。だからこそ、前のメンバーのファンだった方のことも考えていて、でもそのうえで自分のものにして披露するんです。うちらもそれに負けてられないっていう思いがあるので、そうやって気持ちが繋がってるぶん、馴染んでいくのかなって思います。

hime

ーー今はフリースタイルバトルの流行りなどもあって、ラップが少し世の中に浸透しやすいタイミングにあると思います。そういう状況を意識することはありますか?

ami:どうだろう、初めてのイベントやインストアライブとかで、meiがあおってlyrical schoolを見たことがない人たちを盛り上げてくれたりというのも、けっこう前からやっていたりすることなので、自分たちが何か変わったというのはあんまりなくて、興味持ってくれる人が増えたのかなという感じかもしれないです。

minan:でも、ラップがブームみたいになってきているこのタイミングで、前回のシングルの「格好悪いふられ方」のサンプリングみたいな曲も持っているというのは心強いというか、いいタイミングだったかなと。

ayaka:ラップブームといっても男性のイメージが強いですよね。そこを女性だったりアイドルもこんなにラップができるんだぞっていうのをより知ってもらうには……どうすればいいんですか?(笑)

ーーでもlyrical schoolは、こういう女性ラップの仕方もあるんだということを何年も見せてきたグループだと思うんですよ。

ayaka:あ、でも今のこの状態で5、6年前に出ていたようなイベントに出たいです。その頃はヒップホップイベントにたくさん出てたんですよ。めっちゃやばかったよね。

ami:クラブイベントがすごく多かったね。

ーーSIMI LABと一緒に出演したりとか、実はそういうブッキングもけっこうありましたよね。

ayaka:今のこの状態で出たい! あの時はもう本当に怖くて。ラップし始めたばかりの頃でしたし、いつブーイング浴びるかわかんないと思ってました。でも実際は、一緒に出演していた方々皆さんとても優しくて。そこにびっくりしました。

ーーそういう時期も経て、アイドルラップとして見せ続けてきてくれたのは、その後いろんな女性ラップのバリエーションができてくるうえで大きかったのでは。

minan:私たちがやってるラップって、刺々しい部分が一切ないじゃないですか。棘とか毒々しさとか、たぶんそういう部分を見せるパフォーマンスって人目を引くところもあると思うんですけど、私たちのやっていることって、ひたすらハッピーでパーティー感満載で、平和的解決を望む、みたいな(笑)。そういう部分を前面に押し出して、それで戦ってきたので、私たちみたいなグループのラップももっと広がったらいいなと思います。

ーーメジャーデビューからの半年間はリリースのペースも早かったですが、ここまでは短かったですか?

minan:一瞬でした。

ami:もう、本当に一瞬。今年4月のメジャーデビューから、いま11月に入りましたけど、すっごく早くて。一年ってこんなに早いんだってびっくりしてます。

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