友川カズキが語る、音楽とリスナーの関係「こっちも表現者だけどね、聴く方も表現者だ」

自分の意思表示として動く人間は、みんな表現者。

 

ーーこの前海外ツアーをされていましたが、外国でMCはやったんですか?

友川:いや、無理。言葉がわかんないから。来年11月にアメリカ行くんだけど、アメリカはどうしようかと思って。

ーーどこに行くんですか?

友川:ロスと、ニューヨークと、その近辺五カ所。外国も最後だなぁ〜。この前行ったウクライナとドイツは、安い飛行機だと乗り継がなきゃいけなくて。ウクライナとドイツの2カ所をやるために8回飛行機に乗るの。スタッフが一生懸命やってくれるから、結構真面目なふりしてついて歩くじゃん、酔っぱらいながらも。でも帰ってきて疲れちゃって二週間寝込んだ。それで「外国、ちょっと無理だなぁ」って思って。アメリカは今まで断ってたのよ。あと、コロンビアの話も来ていて。決定してないけど「コロンビアも行きてぇなぁ〜」とは思ってる。行ったことない国だから。イギリスとかベルギーも話が来たけど、それはもう行ってるから断った。行ったことないところに行きたいじゃん。

ーー友川さんのライブの魅力のひとつでもあるMCをやらないっていうのはどういう感覚だったんですか?

友川:不思議な感覚だね。今年行ったウクライナじゃ、400人ぐらい入ったよ。びっくりしちゃってね。主催者が『花々の過失』って映画(友川カズキ氏のドキュメンタリー作品)の監督の知り合いなの。若い人が多かったんだけど、みんなネットで動画を見てきてるんだね。騒いだりしたら俺も怒ろうと思ってたんだけど、シーンとしててね。アンコール4、5回やったね。あれは驚いた。

ーー演奏、楽曲のみで伝えたんですね。

友川:言葉が一切話せないからね。前に行った台湾と北京だけ通訳がいたけど。1回イギリスで、知り合いに大学の先生がいて1曲ずつ客席に解説をしてもらったのよ。そうするとね、今度はこっちがシラけるのよ。間が空くから1回1回熱冷まされるでしょ。それで「もういらない」って。ネット時代だからYouTubeとかで聴いてる人があちこちからくるのよ、レコード持ったりして。ドイツでやったときもフランスから来た人いたもんね。長距離バスで。

ーー友川さんは絵も描かれていますよね。なぜ絵を描き始めたんですか?

友川:絵は毎日描いてる。昔っからの趣味なのよ。東京出てきてすぐから描いてる。絵は本当好きなの。今回絵の小冊子も出したよ。絵は観るのも好きで、美術館にはしょっちゅう行ってるんだよ。

ーー絵を描いたり鑑賞したりすることは、楽曲制作へ影響していますか?

友川:もちろん。絵はむしろ音楽的だよ。パウル・クレーなんて音楽家だもん。

ーー音楽と絵の共通点は大きいのですね。

友川:大きい大きい。詩より大きいよ。普段ギターなんかほとんど弾かないし。ホコリかぶってるよ。ゴミ箱の中から拾ってきたギターで歌つくってるから。それだけ興味無いってことなの。ミュージシャンの人たちは楽器を大事にしてるけど、一切ないから。

ーービックリしましたけどね。ライブハウスで終わったあとに、次のライブハウスにギターを送るっていうのは(笑)。

友川:あれ、俺のギターでもないし、持って歩くのも好きじゃないんだよ。かさばるしさ。未だにチューニングもできないから(笑)。チューニングはマネージャーがやってるから、機械でね(笑)。ふつうチューニングできなくて33枚もCD出せないよ。本当に奇跡だよね(笑)。

ーー最後に、今回のインタビューを読んで初めて知る人たちに伝えたいこと、言いたいことはありますか?

友川:う〜ん、あんまりないね。知ろうとしてる人は知るのよ。知ろうとしてない人は生涯知らない。それでいいのよ。

ーー聴いて欲しいとか、知って欲しいとかじゃないんですか?

友川:うん、まあね。そんな切実には無いね。何かを知ろうとしていけば、それは何か知るのよ。興味とか好奇心があれば、たどり着く。だって、私のコンサートに来る人間は、みんな自分に興味がある人間だよ。俺にじゃないよ、自分自身に興味のある人間。それが正しいんだよ。だから私はね、よく言うの。こっちも表現者だけどね、聴く方も表現者だって。絵を観るのも表現なの。自分の意思表示として動く人間は、みんな表現者なんだよ。私はたまたま歌ってるだけで、たまたま客席にいたり、たまたま歌聴きにきたりって、その行動ってのは誰かに何か言われたわけじゃない。意思表示だよ。だから興味・好奇心のある人間は、本当繋がるよ。

(取材・文=ISHIYA/写真=林盟山)

■リリース情報
『光るクレヨン』
発売日:2016年11月11日(金)
定価:2,500円(税込)
仕様:CD 紙ジャケット二つ折り(日本語歌詞カード付き)

<参加ミュージシャン>
石塚 俊明(頭脳警察、シノラマ、他/drums, percussion)、金井 太郎(パスカルズ/guitar)坂本 弘道(パスカルズ 他/cello, electronics)、永畑 雅人(パスカルズ 他/piano,accordion, mandolin)、松井 亜由美 (パスカルズ/violin)、望月 治孝(alto saxophone)、山崎 春美(ガセネタ、TACO/voice)

<収録曲>
1.光るクレヨン
2.飛ぶための空
3.愉楽
4.死んだ男に
5.ユメの番人
6.「楕円の柩」アラカルト
7.革命の朝
8.つつじ
9.透谷をきく
10.思惑の奴隷
11.三鬼の喉笛

■再発リリース情報
『海静か、魂は病み』(1981年作品)
発売日:10月20日(木)
定価:2,700円(税抜)

<収録曲>
1.彼方
2.神様になれ
3.一切合切世も末だ
4.殺人と青天井
5.椿説丹下左膳
6.山頭火よ
7.なあ海
8.餅紅の花
9.木々は春
10.苦海さあ

※W紙ジャケット仕様、最新デジタル・リマスタリング

『桜の国の散る中を』(1980年作品)
発売日:10月20日(木)
定価:2,700円(税抜)

<収録曲>
1.犬
2.闇
3.点
4.問うなれば
5.赤子の限界
6.おどの独白
7.口から木綿
8.囚われのうた
9.桜の国の散る中を(会田哲士君の霊に捧ぐ)

※W紙ジャケット仕様、最新デジタル・リマスタリング

■ライブ情報
『菊池茂夫写真生活30周年記念』
2016年11月20日(日)開場17:00/開演17:30
新宿ロフト(東京)
出演 : 友川カズキ/SLANG/雷矢/JUNIOR他
料金:前売3,000円/当日3,500円

『友川カズキ LIVE IN ISHIGAKI JIMA 2016』
2016年12月10日(土)開場19:00/開演20:00
すけあくろ (石垣島)
出演:友川カズキ
料金:前売3,000円/当日3,500円(共に1ドリンク代別)
予約・問合せ: TEL/090-3796-8326(今村)
bsidmoon@joy.ocn.ne.jp

『友川カズキ LIVE IN OKINAWA 2016』
2016年12月11日(日)開場17:30/開演18:00
桜坂劇場ホールA (沖縄県那覇市) 
出演:友川カズキ(トリオ編成:石塚俊明/ドラムス・永畑雅人/ピアノ)、竹原ピストル、マルチーズロック、ヨシムラタカシ
料金:前売 3,500円/ 当日 4,000円(共に1ドリンク代別)
予約・問合せ:098-860-9555

『友川カズキ 最新アルバム「光るクレヨン」レコ発スペシャル 阿佐ヶ谷ライブ2016』
2016年12月18日(日)開場18:00/開演19:00
阿佐ヶ谷ロフトA(東京)
出演:友川カズキ
オープニングアクト:五十嵐正史とソウルブラザーズ 五十嵐正史(G,vo) 森田博(G) 山村剛(三線) 浅田研(B) 梅田ゆかり(co)
料金:前売3,500円/当日3,800円(共に1ドリンク代500円別途必要)

『友川カズキ ライブ』
2017年1月22日(日)開場17:00/開演18:00
大岡山 Goodstock Tokyo(東京)
出演:友川カズキ(Vo,Gt)
料金:前売り4,000円 / 当日4,500円(共にドリンク代別)
問い合わせと予約:Goodstock Tokyo

2017年1月28(土) アンベラシュウ (福岡市)
詳細後日発表

友川カズキ オフィシャルサイト

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