HOWL BE QUIET『Wake We Up Special One Man Live!!』レポート
HOWL BE QUIET、“歌”の持つパワー伝えたLIQUIDROOMワンマンレポート
HOWL BE QUIETが9月11日、『Wake We Up Special One Man Live!!』を恵比寿LIQUIDROOMにて行った。彼ら最大キャパとなる会場での本公演は、見事にソールドアウトしている。HOWL BE QUIETは今年3月に1stシングル『MONSTER WORLD』でメジャーデビュー。メジャー進出以降「ロックバンドの枠に収まることなく、自由な表現を追求する」ことを掲げてきた彼らの活動が、ここでひとつ実を結んだといっていいだろう。
ステージ前の幕にネオンカラーでバンド名やタイトル、複数のシルエットが映し出されると、モノクロの衣装に身を包んだメンバーたちが登場。スタートを飾ったのは、2ndシングル曲「Wake We Up」。そのままブラスサウンドが華やかなパーティーチューン「Daily Darling」、インディーズ時代からの人気曲「孤独の発明」へ。竹縄航太(V/Gt/Pf)、黒木健志(Gt)、橋本佳紀(Ba)は前方に乗り出し、観客とコミュニケーションを取りながら、冒頭から会場全体を巻き込むパフォーマンスを次々と披露していった。
前回の東京でのワンマンライブは、メジャーデビュー前日に渋谷クラブクアトロで行われた『チャンス到来TOUR〜決戦前夜編〜』。この日のライブは「アイドル性」と「エンターテインメント性」をわかりやすく打ち出した演出によるものだったが、今回は多くの“味方”を前にしたライブということもあり、バンドのポテンシャルと楽曲の素晴らしさを最大限に伝える構成となっていた。「今日1日にすべて置いてくつもりでステージに立ってるので、最後まで最高に楽しんで帰ってくれたらと思います」という竹縄のストレートな挨拶から始まった「PERFECT LOSER」では壮大なスケールで観客を魅了し、「千年孤独の賜物」ではタイトな演奏でバンドのシリアスな一面を表現、一足早い冬のバラード「Merry」では竹縄の情感溢れるせつない歌声が披露された。これらすべての曲に共通することは、HOWL BE QUIETの核には竹縄の“歌”があるということだ。今回のライブからは、改めてそのことを伝えようとするバンドの姿勢が感じられた。
竹縄が「やりたいと思った曲を全部やる」と公言し立て続けに披露された中盤4曲には、ジャンルレスな楽曲が並ぶ。デジタルの音色にのせたラップナンバー「My name is…」、ピアノの繊細なイントロが印象的な「GOOD BYE」、その後の「バトルナイフ」「救難戦争」では、デジタルのビートとピアノの音色が静寂に響き渡る、息をのむようなアレンジが施された。竹縄がハンドマイク、ピアノ、ギターとそれぞれの楽曲に合わせてプレイスタイルを変化させていくのと同様に、黒木、橋本、岩野亨(Dr)も、ときにはメイン以外の楽器を巧みに操っていく。以前竹縄がインタビューで語っていた「曲が求めているものを全部やる」というスタンスは、今回のライブでも健在だった。
終盤は、竹縄の「岩野が笑いを取りたいらしい」というフリで始まった、岩野の平泉成のモノマネで張り詰めた空気が一変し、いよいよラストスパート。「カテゴライズから飛び出したい」という気持ちが込められた曲「From Birdcage」、サビの合唱で会場が一体となった「ライブオアライブ」「レジスタンス」で盛り上がりは最高潮に。本編ラストは2ndシングル『Wake We Up』より「ウォーリー」で幕を閉じた。