ブンブン、水カン、AKLO、レキシ、miwa……6月22日発売新譜の注目作は?

レキシ『Vキシ』(AL)

 「普通の歌詞にすればもっと売れるのに」と言われても「やっぱり歌詞がおもしろいよねー」と言われても「池ちゃんが音楽的に好きなことをやるためには、レキシというキャラクターが必要だったんだよ」と言われても(つまり褒められてもケナされても分析されても)「違う! ぜんぜんわかってない!」と思ってしまうメンドウなレキシ・ファンである筆者だが、レキシの根本は圧倒的な楽曲の良さであることは間違いなく、それは5枚目のアルバム「Vキシ」でひとつの高みに達している。個人的に印象的だったのは、後期ビートルズ・テイストのサウンドとともにメロディーメイカーとしての才能が炸裂するバラードナンバー「一休さんに相談だ」、軽快なファンクネスが心地いい洗練されたポップチューン「刀狩りは突然に」など“フィーチャリングなし”の楽曲。ソングライターとしてはもちろん、ボーカリストとしてももっと評価されるべきだと思う…などと言えば、ご本人から「いやいや、あなた、言ってることおかしいから」と突っ込まれそうだが、三白眼の奥にある、そんな奥ゆかしさも池ちゃんの魅力なのだった。

レキシ「最後の将軍 feat. 森の石松さん」

miwa『Princess / シャンランラン』(SG)

 品の良さと質の高い楽曲で先輩アーティストからも可愛がられまくるmiwaの両A面シングル。「Princess」は“王子様”の登場を夢見る女子を主人公にしたカントリー・テイストのポップチューン。運命の出会いを夢見て<みんなシンデレラになりたいのよ>と堂々と宣言し、料理をがんばってみたり、ダイエットしてみたり、ゴルフを始めてみたり……要は徹底的に“理想の男性待ち”なのだが、こういうファンタジックな世界を嫌みなく、キュートに表現できるシンガーはなかなかいないと思う。一方の「シャンランラン」はやはりカントリーミュージックのエッセンスを取り入れたナンバー。こちらのテーマは“友達と一緒にいられる何気ない時間が幸せ”という女性J−POPアーティストの王道パターンだが、ここでもmiwaは屈託のない笑顔が浮かんでくるようなボーカルを披露し、<こんな私だけど/友達でいてくれて/本当にありがと>というリリックをキュートに歌い上げている。このブレのなさは本当に凄いと思う。

miwa「Princess」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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