>  > スワンズ“現メンバーラスト作”の真意とは?

『ザ・グローイング・マン』リリース記念インタビュー

スワンズが“現メンバーラスト作”に込めた真意ーーマイケル・ジラに訊く

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「アルバムの通りに演奏するなんて絶対にやりたくない」

――今回はジェニファー(ジラ夫人)がヴォーカルで参加しています。今回は彼女の個人的な経験を元にした曲だということですが、なぜこの曲をスワンズのアルバムとして残そうと思ったんでしょうか。

ジラ:あの曲がまずあったから、というのと、女性の歌声が好きで、女性に歌ってもらいたいと思っていたから。彼女に書いたこの曲は、彼女に捧げた賛歌だ。彼女の名誉のために詳細は話せないが、乱暴をされた経験を彼女は乗り越えてきた。彼女の人生に深い傷跡を残した経験だった。だから私は彼女にそのことについて歌う曲を書こうと思った。そうすることが、彼女の助けになればいいと思ったし、彼女の立派な生き方を他の人にも聞いてもらいたいと思ったんだ。

――ふむ。このアルバムは痛み、傷、別れ、祈り、といったテーマが歌われ、全体のトーンは悲劇的ですが、どこか光が差し込んでいるようでもあります。本作の歌詞のテーマはどんなところにあったんでしょうか。

ジラ:曲によって様々なテーマはある。アルバムそのものはコンセプト・アルバムではないから、一つの大きなテーマがあるわけではない。冒頭の2曲は祈りだ。この2曲は『The Cloud Of Unknowing』という本を読んだ後で書いた。この本は13世紀か14世紀にカトリックの僧侶が書いた本で、信徒たちに神と一つになれる正しい方法を教えるための教本だった。彼が説く思考過程は、禅仏教に非常に近いものがあって、その類似性が時代背景を考えると非常に興味をそそられた。彼が実際に禅仏教に触れる機会があったかどうかは定かではない。その頃には禅仏教も西洋に伝えられていただろうがね。

 それとまた、自分が自身の音楽と向き合う際の最も強い衝動にも類似していると思ったんだ。特にライヴ・パフォーマンスの場において。歌詞に関しては、曖昧にするつもりはないが、自分なりの解釈を見出すのもある意味聞き手の役割ではないかと思う。学校のテストみたいに、正解が一つがあるわけじゃない。歌詞を聞きながら想像力を使ってもらいたと思う。

――間違いなくこのアルバムはスワンズ、そしてあなたの音楽のひとつの到達点だと思います。このアルバムを作ることで得られたものはなんでしょうか。

ジラ:これはどのアルバムにも言えることだけど、自分がもう求めていないものは何か、ということに気づいた。そして自分が次に求めているものの片鱗を見つけたことだね。

――もういらないと思ったものでも、あとになって追い求めることもあるのでは?

ジラ:もちろん。スワンズの再結成がまさにそれだ。かつてのスワンズの要素を継承し、さらにさらに前に推し進めたんだ。どのアルバムも、それを作ることで、ある特定の可能性を使い果す。その一方で、おそらく偶然ではあっても、新たな可能性の扉が開く。そうやって私は新しい音楽を見つけてきた。今回もそれが起きたと信じている。今、頭の中には、このツアーが終わった後のスワンズのサウンドの色が見えている。それが唯一今の段階で言えることだ。「ある色」とだけね。

――このアルバムはあなたの人生にとってどういう意味を持つアルバムになりそうですか。

ジラ:通常、個々のアルバムそのものは結果として、私にはさほど大きな意味を持たない。むしろ、そこに行き着くまでの音楽を作る一連の過程に私は興味がある。作品に取り組み、そこから学び、あるものを排除し、別のものを追及する、という経験。その過程がすべてなんだ。レコーディングに関しては、いいアルバムを作るよう懸命に努力する。聞き手が没頭できるような、映画のような作品を作ろうと。でも、できた作品は指標でしかない。曲はその後も形を変え、再解釈されることもあれば、破棄されることだってある。とにかく大事なのは過程なんだ。

――今後についてお聞きします。現ヴァージョンのスワンズを解体して、次は具体的にどんな構想をお持ちでしょうか?

ジラ:まずはこのツアーに専念したいと思っている。16カ月は続くだろう。その先のことはまだ何も決めていない。ツアーが終わったら、とりあえずまずゆっくり寝たいと思っている。十分睡眠をとった後で、次に何をするかを決めたいね。

――これまでのような大編成・大音量・長時間というスタイルから、また違ったスワンズが見られるでしょうか?

ジラ:どうだろう。それも十分可能性はあると思う。ただ、実際に音楽を作り始めてみないとわからないよ。

――現ラインナップでの最後のツアーはどういうものになりそうですか。

ジラ:これまで通り、既にレコーディングされた楽曲もやるし、まったく新しい曲もやる。既に決めているセットリストはある。あとは実際にやってみて、どうするべきかはわかるだろう。興味をそそられるのは、セットリスト通りにやってみて、その中から何を省いて、何を残し、さらに追求して、新しいものを見出していくかという過程だ。アルバムに収録されている楽曲をアルバムの通りに演奏するなんて絶対にやりたくないね。それはとても安易で愚かで、何の刺激もない。だから今度のツアーも、どんなものになるかはやってみないとわからない。

――そのツアーの予定地に日本は入っていますか?

ジラ:まだ具体的なツアー日程は決まっていないが、確実に行くとは思う。7月初旬から少なくとも16カ月はツアーをやる予定だ。いずれは日本にも行くと思う。

(取材・文=小野島大)

■リリース情報
『ザ・グローイング・マン』
発売:6月15日日本先行発売(海外:6月17日)
価格:スペシャル・パッケージ特別プライス 2,400円(税抜)

※ボーナス・トラック収録
※解説/歌詞対訳付

<CD収録内容>
・CD-1
1. Cloud of Forgetting
2. Cloud of Unknowing
3. The World Looks Red / The World Looks Black
4. People Like Us

・CD-2
1. Frankie M.
2. When Will I Return?
3. The Glowing Man
4. Finally, Peace.

<DVD収録内容>
2015年のライヴ映像

■関連リンク
https://www.facebook.com/SwansOfficial/
younggodrecords.com
mute.com/ www.facebook.com/muterecords

      

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