2ndアルバム『それぞれの椅子』リリースインタビュー(Vol.1)

乃木坂46 中元日芽香&能條愛未が明かす、グループの“演劇性”とアンダーライブ革新の理由

 

「『そもそも、アンダーライブってなんだっけな?』みたいなことは一回考えた」(中元)

――ここ最近のアンダーメンバーの活動として、4月に『アンダーライブ全国ツアー2016~東北シリーズ~』がありました。これまでのアンダーライブでは、パフォーマンスの力強さや熱量の高さが大きな武器になっていたと思います。東北シリーズではそれとは少し違い、演劇的な一つの流れを持ったステージを、いかに成立させられるかというものに見えました。このコンセプトが決まった時、どんなことを考えましたか?

能條:私は単純に楽しみだなと思いました。ライブの冒頭では、それぞれバラバラに歩いていたメンバーが出会って、足並みが揃い出して、そこから一曲目が始まりますよね。舞台っぽいというか、表現力が試される。それを高めていこうとしているライブなんだなって感じましたね。

中元:みんなそれぞれに感じたことはあると思うんですけど、私は不安だった方の人間で。今までのアンダーライブでは、パフォーマンスをもっともっと良くしていこう、良くしていこうというやり方だったんですけど、今回は表現力を磨くというテーマでした。もちろん、足りない部分だからこそ大事なことだし、それによってまた幅が広がるんだろうなというのは頭にありました。ただ、今までのアンダーライブとはテイストが違いすぎたので、「そもそも、アンダーライブってなんだっけな?」みたいなことは一回考えましたね。

 

――これまでは熱量の高さがアンダーライブのトレードマークだっただけに。

中元:「すごく熱くていいねって言われるのがアンダーライブじゃなかったっけ?」と。ただ、自分たちで消化していくなかで「あ、こっちもできるんだ」と思えるようになりました。グループ全体のライブだったら、この曲は絶対入れようとか、これはマストという要素があるじゃないですか。そういう概念を全部ぶっ壊して、静かに始まっていくライブは初めてだから、正直戸惑った部分もあります。でも、最終的にファンの方へ「このやり方でもありなんだ」と思わせることができたら、今回のライブは“勝ち”なんだと考えたら気合が入りました。

――表現力を高めるという今回のアンダーライブは、リハーサル段階でも考えることや言われることってこれまでと違いましたか?

中元:ダンスを揃えましょう、もっとしっかり歌いましょうという基礎的なことは今まで通りだったんですけど、これまでよりも「表情はお任せします」というスタンスだったよね。ここは自由にどうぞという箇所が多くて、あらかじめ表情を考えるというよりは、ステージに立った時にフラットな気持ちで感じたことを表現する、みたいな。

能條:うん、ここをかっちり決めましょうみたいなのは少なかったです。

――今回のライブのあり方はアンダーライブにとって新しい強みになったと思います。これは、アンダーライブに限らず乃木坂46のライブ全体にとっても、ひとつの強みが発明されたのかなと思ったんですが、いかがでしょう?

能條:アンダーライブでは成功しましたけれど、これが全員で大きなステージになったらどうなるだろう。ちょっとまだ、想像がつかないですね。もちろん、強みになるとは思うんですけど、……どうなんですかね?

――今までのアンダーライブになかった表現を見せていただいたので、またいろんなところでこれを観たいなというのが正直な感想です。

中元:今までは、アンダーライブもグループ全体のライブも、いかにファンの方々に楽しんでもらうかを念頭に置いていて。だからその時の会場の空気を読んで、ここは煽らなきゃとか、ここはもっと自分の気持ちを伝えなきゃという場面があったんですけど、東北シリーズはたぶんそうじゃなくて。「私たちが自由に発信するので、それを受け取ってください」という感じが強かったんですよね。演劇的な要素もあって、最初から最後まで100%熱さだけでできているわけではないこのライブが、アイドルのパフォーマンスを見慣れている方にどう映るのかなっていう不安は、正直ちょっとあるよね。

能條:うん、あるある。

中元:でももちろん、すべて盛り上がるだけがいいライブだとは思わないので、難しいですけどね。

 

――一方で、表現力を高めるというテーマでアンダーライブが成立したのは、これまで回数を重ねて力強いパフォーマンスや基礎的な力を会得したからこそ、演劇的なパフォーマンスも様になったのかなとも思いました。その実感はありますか?

中元:今回は新しいテーマが加わったので、そのことにはすごく集中してたんですけど、既存の曲に関しては、全然心配してなかったですね。「ここにいる理由」や「嫉妬の権利」といった曲にしても、揃えなきゃいけないところは相変わらず揃ってたし、一体感みたいなのは変わらずにちゃんと根底にあって。そうやって今まで築き上げてきたものがあったからこそ、新しいテーマを採り入れても大丈夫だって、スタッフさんも考えてくれたのかな。

――アンダーライブで東北各県のホールを回ってみて、お客さんの反応から感じられる手ごたえはどのようなものでしたか?

能條:空気感がその県ごとで本当に違いました。その会場ならではというか。「今日はこういう感じの空気だな」というのを、メンバー全員が言わなくてもわかるようになっていきましたね。今日は静かな感じだから、いつも以上に盛り上げられるようにとか。

中元:トロッコに乗ってお客さんの近くに行った時の、皆さんのリアクションが新鮮でした。トロッコで私が「来たよー!」って言うと、ハッとした眼差しで見てくださって。本当にはじめましての方が多くて、ちょっと来てみようと思ってくださったんだろうなと。これがきっかけで「乃木坂が好き!」と言ってくれるようになったらいいなと思います。

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