10thシングル『あたらしいうた』インタビュー

花澤香菜が初のシングル作詞曲で伝えようとしたこと「『変わりたい』という気持ちを肯定しました」

 

「私って関西に憧れているのかな(笑)」

ーー「あたらしいうた」はまさにそのバランス感が丁度いいですね。底抜けに明るいというわけではなく、ゆっくりと前へ踏み出す歌詞が花澤さんの特徴的な声と相まって気持ちよさが増すというか。歌詞を書くうえでのルーツはどこにあるのか気になります。

花澤:性格が内省的ということもあるのですが、悩みや考えごとを基本的に人に話さず、本の中に答えを探したり、自分の中でグルグルと思考するような1人の時間を大事にしています。そこから生まれた言葉が多いのかもしれません。

ーーどんな本に自身を投影しますか。

花澤:西加奈子さん、川上未映子さんは特に好きですね。お2人とも私の中の「こうなりたい!」という女性像で。あと、2人とも関西弁なんですよ。吉本新喜劇も好きだし、私って関西に憧れているのかな(笑)。

ーーなるほど(笑)。カップリング2曲もそれぞれ作詞していますが、「今朝のこと」はディスティネーションズ(北川勝利率いる花澤香菜のバックバンド)の面々や、千ヶ崎学さん(KIRINJI)や佐野康夫さん、三沢またろうさんなど、熟達の音楽家たちが一発録音した音に歌詞を乗せることになったんですよね。

花澤:みなさんの演奏がゴキゲンなので、私もゴキゲンな歌詞を付けなければと思いました。北川さんからは「最初の1行目にあるメロディが最後にもくっつくよ」と言われたので、1行目から先に考えたんです。テーマとしては『かなめぐり』から受けた影響もありつつ、最近読んだ海外の本に「愛するという行為は、筋肉のように鍛えれば付いていく力なんだ」という解釈があって、この考え方に感銘を受けた内容も表れていると思います。

ーー歌がバンドサウンドに負けないよう、どのあたりを意識しましたか。

花澤:勝ち負けというよりは、みなさんがゴキゲンなので、私もとびきりゴキゲンに歌おうという気持ちでした(笑)。

 

ーーそのセッション感が良い形で表れていると思います。花澤さんのフワフワしたボーカルがシャッフルビートに乗る「Looking for your Smile」の歌詞も『かなめぐり』の影響が大きそうですね。

花澤:そうですね。私のライヴがいつ行っても安心できる場所になればいいと思いますし、ファンの皆さんと私の関係もお互いにそうなったら素敵だな、という気持ちを込めました。シャッフルビートはリズムの区切りがしっかりしているので、歌詞を字余りしないように嵌めていくのは難しかったです。北川さんからは「『25 Hours a Day』みたいに、キーワードになる英語の歌詞が欲しい」とリクエストをいただき、「『It’s a beautiful day』はどうですか?」と聞いたら「俺の中に第二候補としてあった」と。で、第一候補が「Looking for your Smile」ということだったので、そのワードをいただきつつ、私の中で広げていったのが今回の歌詞です。

ーー花澤さんが3曲とも歌詞を書くということで、「どこかに花澤さんの好きなパンにまつわるワードがあるのでは?」と気になっていたのですが、「Looking for your Smile」の歌詞に<シナモンロールのまんなかのまる>というワードが登場しますね。

花澤:そうなんです! 私のメモ帳に「シナモンロールのまんなかのまる、ご褒美感半端ない」と書いてあって(笑)。あそこが大好きなので、絶対入れたいなと思っていました。

 

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