chayはなぜ“幸せ”というテーマと向き合ったか?「ちょっとずつポジティブになれている」

chayが新作で向き合った“幸せ”

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「弾き語りは編集できないから流れや空気感が大事」

ーー2曲目の「ずるいひと」は失恋をテーマにしたナンバー。憂いが感じられるメロディも印象的でした。

chay:これは3年くらい前に書いた曲なんですよ。友達が長く付き合ってきた彼氏にフラれて、そのことを悲しそうに話してくれたんです。話を聞いているうちに「そんなこと言うなんて、ヒドイ。ずるいヤツだな」と思って、怒りを込めて曲にさせてもらいました。まずイントロが浮かんできて、彼女の話を思い出しながら「こんなコード進行が合うだろうな」って曲から作っていきました。

ーーこの曲の主人公は“新しい道を歩き出したいのに、彼が忘れられない”という思いを抱えていますね。

chay:そうなんです。その友達の話に限らず、付き合っている彼女とは別に他の女の子がいたり、別れた元カノにも優しくしたりとか、ズルい男の人っていると思うんです。「忘れたいのに、忘れられない」ということもよくあることだし、題材としてはすごくいいなって思って。出来上がったときにその友達に聴いてもらったら「あいつにも聴かせてやりたい」って言ってました。

ーー女性のリアルな感情を表現したいという気持ちもある?

chay:ありますね。私が大切にしているのは、その瞬間に感じたことを歌うことです。たとえば「nineteen」という曲は19歳のときにしか書けなかった歌詞だと思うんです。恋愛の歌詞にしても、そのときの感情を反映したいなって…。「それでしあわせ」もそうです。幸せに対する価値観や感じ方が変わってきた“いま”じゃなかったら書けなかったことがたくさん詰まっています。

ーーなるほど。「ずるいひと」のアレンジは深沼元昭さん。R&Bテイストのシックなサウンドが歌詞の雰囲気とすごく合ってますよね。

chay:深沼さんは、デビューした後に、なかなか上手くいかず悩んでいた時期から一緒にやってもらっていて、言葉がなくても通じ合えるものがあるんです。私は、曲を作っているときはアレンジ込みで浮かんでくるんです。メロディと歌詞だけじゃなくて「サウンドはこういう感じ」というイメージも湧いているんですが、それを言葉にするのすごく難しいです。深沼さんは簡単なデモを渡すだけで、「そうそう! このアレンジ!」というサウンドを作って下さいます。私のなかにはないアレンジを提案して下さることもあるんですけど、それもすごく素敵で。全幅の信頼を置いている方ですね。

ーー深沼さん自身もボーカリストだから、感覚でわかり合えるところがあるのかも。

chay:それはあると思います。言葉に出来ないようなニュアンスを共有できる方です。どんなときも人のことを否定しない方です。ライブのときもギタリストとして参加していただいているのですが、バンド内でリハーサルの途中に意見がぶつかることがあっても、うまくまとめてくれるんです。お会いするたびに「こういう大人になりたい」って思います。

ーーそしてアコギの弾き語りによる「YOU GOTTA BE」(Des’ree)のカバーも収録。

chay:シングルのカップリングには自分が好きな曲、通ってきた曲のカバーを収録していて、5作目になります。シンディー・ローパーやワム!の楽曲、「AS TEARS GO BY」(ザ・ローリング・ストーンズ)をカバーしてきましたが、ジャンルを超えて、色々な挑戦をしたいなと思って。ブラックミュージックって、やっぱりハードルが高いと感じています。独特のグルーヴ、リズム感があるし、それを自分らしく表現するのは難しくて……。でも、このシングルでは新しいことをやってみたかったし、カバーの選曲でも挑戦してみようと思って、「YOU GOTTA BE」を選びました。好きな曲だし、とにかく本気でやってみようって。

ーーアコギと歌だけで、この曲のグルーヴを表現するのは確かに難しいですよね。

chay:はい! 原曲を聴き込むのはもちろんですけど、「まずはブラックミュージックのグルーヴを身体に入れないと話にならない」と思って、マイケル・ジャクソン、ジェームス・ブラウン、スティービー・ワンダーなどの曲をズーッと聴いていたんです。以前から好きで聴いていたアーティストばかりですけど、改めて聴き直すことで発見もいろいろあったし、勉強になりました。ギターのアレンジも自分でやって、指でギターを叩いてリズムを出す演奏にも挑戦できたし、この曲をカバーしたことで、ギターも歌もさらに成長できたと思います。深沼さんにもエンジニアとして参加していただいたんですが、すごく伸び伸びとレコーディングできて。弾き語りは編集できないから、そのときの流れだったり、空気感が大事なんです。

ーー「それでしあわせ」を筆頭に新しいトライ、いままでとは違う表情が感じられるシングルになりましたね。

chay:ビジュアル面もかなり違います。いままでは“ポップ、笑顔”という感じが強かったけど、今回すごくナチュラルなイメージです。自分の視野や表現の幅も広がったと思うし、本当にいい挑戦が出来たと思います。

ーーシングルと同時に初のDVD作品『chay メリクリツアー2015〜みんなのことが好きで好きで好きすぎるから〜』もリリースされます。

chay:昨年のクリスマスのライブで、衣装も7着あるし、まさに“目でも楽しめる”DVDになっていると思います。イヤなことや悲しいことも私のライブに来ているときは全部忘れて、思いきり楽しんでほしいんです。みなさんを非日常に連れていけるようなライブがしたいし、それはこれからも続けていきたいです。

(取材・文=森朋之)

■リリース情報
chay 8thシングル『それでしあわせ』
発売:2016年5月25日
価格:¥1,000(本体)+税
<収録曲>
1.それでしあわせ(フジテレビ系ドラマ、木曜劇場『早子先生、結婚するって本当ですか?』主題歌)
2.ずるいひと
3.YOU GOTTA BE(Des’reeのカバー)

1st DVD『chay メリクリツアー2015 ~みんなのことが好きで好きで好きすぎるから~』
発売:2016年5月25日
価格:
【初回限定盤】価格:¥5,000(本体)+税
【通常盤】価格:¥4,000(本体)+税
<収録曲>
1.Twinkle Days
2.恋のとなりから
3.恋はスペシャル
4.ハートクチュール
5.weekend!
6.笑顔のグラデーション
7.Wishes
8.I am
9.Singin' In The Rain
10.Celebrate You
11.You tell me
12.Winter Winter Magic
13.Forever
14.Half Moon
15.Dream Sniper
16.Summer Darling
17.好きで好きで好きすぎて
18.あなたに恋をしてみました
アンコール
E1.はじめての気持ち
E2.nineteen
特典映像:舞台裏密着(仮)
初回限定盤にはフォトブック付

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