SMAP 中居正広は芸能界の“兄貴”に? 『金スマ』ベッキー登場回などから太田省一が検証
SMAPの中居正広が、5月13日に放送された『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBSテレビ系)で垣間見せたトーク術について、多くのメディアやファンが論評を寄せている。
同番組では、一連の騒動で芸能活動を休業していたベッキーがテレビ番組に復帰。その発言に世間が注目するなか、中居は巧みなトークやコミュニケーション術で、ベッキーから謝罪や騒動の詳細についてのコメントを引き出した。
『中居正広という生き方』や『紅白歌合戦と日本人』の著者で、リアルサウンドで『ジャニーズとテレビ史』を連載に持つ社会学者の太田省一氏は、この日中居がみせたMCとしてのテクニックについて、下記のように解説する。
「かねてから中居は、MCとしてタモリを敬愛しており、自身のスタイルについて『感情を安定させていたい。(中略)いつでも相手の言葉を引き出したり、人の気持ちを受け入れたりできるということ』(『AERA』2013年9月16日号)を心がけているとの発言からもわかるように、絶妙な“バランス感覚”で相手と接してきました。この日の中居もそうで、深刻すぎず、かといって軽すぎずという見事なバランス感覚が発揮されていたと思います。まず番組途中から登場し神妙な面持ちで謝罪をしたベッキーに対して、調理過程や料理の感想などで彼女をイジったり、さらには彼女からのツッコミまで引き出していました。そのあとは他のゲストも帰ったあと、2人でじっくりと話し合いました。最初に「嘘はつかない」ことを約束し、番組のMCとして彼女から騒動に対する心からの謝罪を引き出すだけでなく、優しく導くように彼女自身の本当の心の内を吐露させることで、色んな人が納得する結論へと持っていくことができたのです」
また、この日のオンエアはいつもと違う層の視聴者が見ていることを踏まえ、中居も様々な一面を使い分けていたと分析する。
「番組自体はシリアスなムードというよりは、都会から離れた自然のなかで、リラックスした状況を作って話し合うなど、ベッキーが帰ってきやすいようにという気遣いを感じさせる作りをしていました。しかし、視聴者のほとんどはスキャンダルを経て、野次馬のような気持ちで見ていたと思います。そんななかで中居は『3カ月も抜けられたら困るよ! スタメンなんだから』と仲間としてエールを送ったり、番組後半では叱咤したりと、寄り添いすぎず突き放さずの空気感で、仲間として戻ってきやすい雰囲気をしっかりと作り上げていた。そういった中居の兄貴的な振る舞いがあったからこそ、視聴者もまた、フラットな目線で彼女を改めて見直すことができた気がします」