ニューアルバム『ROXY BABY』インタビュー

THE SLUT BANKSの大攻勢! 結成20年の心意気明かす「古いロックの焼き直しにはしたくない」

ACE DRIVER

「今の若い世代の人たちに、新鮮に感じてもらえれば」(ACE DRIVER)

ーー今作『ROXY BABY』ですが、今までと変わらない形で制作されたのでしょうか?

TUSK:歌詞で不適切な表現がないように気をつけたことくらいですね(笑)。

ーー再録された曲もありますが、中でも「雨に打たれたとでも思へ」(『極SHOCK』2009年 初収録)は大幅にアレンジが変わりましたね。

TUSK:カネタクと丈朋くんが入って、甦ったニューアレンジだね。

DUCK-LEE:アレンジ困ってたんだよね。「ホテル・カリフォルニア」みたいにしたらどうかな?とか、自分の脳内ではいろいろあったんだけど。最終的にレゲエチックにしてみたらすごくよくて。

ACE DRIVER:最初、特典用で考えてたんだっけ?

DUCK-LEE:そうそう、当初12曲入りアルバムの予定で。1曲、予約特典にしようと思って、この「雨に打たれたとでも思へ」をそれ用に考えてたんだけど、良く録れたので、もったいないからアルバムに入れることになって。それで「夢中よ甦れ」を特典にしようってことになったんだけど、これも意外に良くできちゃったんで、アルバムに入れることになって(笑)。最終的に14曲になった。

ーーギタリストが代わったことで、楽曲やバンドへの変化は大きかったですか?

DUCK-LEE:さすがに『METALLIC JUNK』みたいにはならないけどね。でも、俺自体、メタルより今回のようなロックのほうが得意だから。丈朋のギターはそういうのにはうってつけだし。自分の思い描いていたサウンドになってよかった。

ーーサウンドコンセプトはどのようなものをイメージしていたのでしょうか?

DUCK-LEE:子供の頃に憧れたロックバンドみたいなことをやりたいな、というのがあったね。「デコレーションBABY」「ノイローゼ」あたりの。やっぱり、『It’s Only Rock'n Roll』(1974年)の頃の(ローリング・)ストーンズが大好物だから、ああいう雰囲気が出せればいいなと。かといって、古いロックの焼き直しみたいなものにはしたくない。70年代の機材を使って、アナログレコーディングして、というバンドもいっぱいいるけど、俺らはそういうバンドではないし、そういう風にするつもりもないから。逆にドラムの足をちょっと多めにしたり、当時では考えられないようなアレンジを施すことによって、オリジナリティが生まれるわけ。

ーークラシック・ロックが土台にありつつも、ちゃんと今の時代の音ですよね。それに、THE SLUT BANKS自体が、元来ロックの持つ不良性やアブなさを感じさせるバンドだと思いますし、それがちゃんと音に表れているアルバムだと思いました。

DUCK-LEE:ロック本来のチャラチャラした感じね。「女にモテたいからロックやるぜ、バンドやるぜ」みたいな音だと思うんだよ、楽曲も演奏スタイルも。今は昔と違って「ロックバンドやろう」という子たちも少ないだろうし、楽器が演奏できなくても音楽を作れる時代でしょ。だから、バンドっぽく「せーの」で録った雰囲気を出したかった。ポップやキャッチーな楽曲もあるけど、いかにも作られた感じではなくて、昔っぽい自然な感じでやりたかったから。このご時世、そういうのって中々ないじゃん? だからそれができればいいなと。っていうか、それしかできないというのもあるんだけどね(笑)。

ACE DRIVER:それが逆に今の若い世代の人たちに、新鮮に感じてもらえればいいな。

ーーシンプルな「ロックバンドのカッコよさ」ですね。それこそ、丈朋さんのストラップの長さだったり。

DUCK-LEE:それ、大事。

ACE DRIVER:チェック入りますからね。弾きやすくしようと思って、ちょっとだけ上げようものなら、「今日、ちょっと違うんじゃない?」と言われちゃう(笑)。

DUCK-LEE:俺もレコーディングはジャズベース使うけど、ステージではサンダーバードだしね。低く構えたいから。やっぱりそういうことは大事だと思うよ。

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