「公開実験」を経て完成した最初の到達点、Hello Sleepwalkers新作の魅力に迫る

 Hello Sleepwalkersがフルアルバムとしては2年ぶりとなる新作『Planless Perfection』を発表した。昨年一年を通じて開催されたツアー「Quintet Laboratory」での「公開実験」を経て、遂に完成に至った本作は、「設計図の無い完成形」を意味するタイトル通り、偶然性の中から新たな発明を生み出さんとする5人がたどり着いた、最初の到達点である。

 作品自体の話をする前に、まずは前述の「公開実験」の説明が必要だろう。実験の起点は昨年5月、ボーカル/ギターのシュンタロウが「神話崩壊」、「Z Skeita」、「夜明け」と題されたそれぞれ1~2分ほどのデモ音源をSoundCloudで公開したことから始まる。バンドはこれらの新曲を携えて、まず6月に3会場でツアー「Quintet Laboratory」を行い、既存曲をリアレンジしてプレイすると共に、「神話崩壊」と「夜明け」をフルバージョンで披露。そして、10月から11月にかけては会場ごとにコンセプトの異なる「Quintet Laboratory」の第二弾を開催し、さらなる新曲を披露すると、11月26日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで行われた初のホール公演にて、新作のリリースがアナウンスされていた。

 そんな「実験の集大成」だけあって、新作の濃度は相当なもの。ラウドロックからハードコアパンク、さらにはエレクトロポップまでを横断するモダンミクスチャーという基本路線はそのままに、男女ツインボーカルとテクニカルなトリプルギター、強靭なリズム隊がこれまで以上に縦横無尽に絡み合い、一曲の中にめまぐるしい展開を詰め込みながらも、最終的な聴き応えはポップという、ハロスリ節が見事にアップデートされている。

 例えば、SoundCloudで公開されていた「神話崩壊」は、デモの段階では一本だったイントロのリードギターがツインリードになっている他、デモでは一番のABサビまでしか聴けなかったが、二番はハロスリらしく同じAとBでもバックの演奏が全く異なり、ギターのタソコによる速弾きのソロを挟んで、さらにプログレッシブに展開する後半部分が圧巻。また、5月よりも前にデモが公開されていた「2XXX」は、マスロックのような複雑なリズムパターンのイントロから、軽快なラップパートに至る約1分までを聴くことができたが、これはこの曲のほんの入口に過ぎなかった。ヴァースをシュンタロウが歌い、コーラスでもう一人のボーカリストであるナルミが抜けのいい歌声を聴かせるというハロスリの必殺パターンを用いつつ、その後も展開に次ぐ展開で繰り返しはほぼなし。最後のサビ後にとどめのような変拍子パートが飛び出すあたり、かつての代表曲「円盤飛来」にも通じる、強力な一曲なのである。

 その他にも、本作の共同プロデューサーであるColin Brittain(ONE OK ROCKの『35XXXV』や5 Seconds of Summerの作品などに関わっている)との共作曲「EYES TO THE SKIES」は、緊張感のあるヴァースと、ポップなナルミのボーカルパート、スネアのロールとキメを組み合わせたリズムがエモーショナルなコーラスパートの落差が印象的な一曲。また、メインソングライターのシュンタロウではなく、タソコとベースのマコトが共作した本作の中では最もエレクトロニックな質感の強いダンスナンバー「Jamming」もあったりと、実にバラエティ豊かな11曲がずらりと並んでいる。

Hello Sleepwalkers「Full Album “Planless Perfection”全曲試聴トレーラー」

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