『ハルジオンが咲く頃』リリース記念企画第二弾 深川麻衣卒業記念ロングインタビュー

乃木坂46深川麻衣が語り尽くす、旅立ちの決意「卒業は寂しいけど、悲しいことではない」

 

「ソロ曲は自分の声だけしかしないというのがまず不思議で」

──今作には深川さん初のソロ曲「強がる蕾」も収録されています。

深川:そうなんですよ。初めてのソロ曲ということもあって、いつも以上に時間をかけて録ったんですけど、まさか自分がソロ曲を歌うことになるなんて……(笑)。自分の声だけしかしないというのがまず不思議で。やっぱり乃木坂46みたいにグループの中だと1つのパートを3、4人で歌うことが多いので、「せっかちなかたつむり」や「でこぴん」みたいに少人数ユニットでソロパートをもらえるのが本当に貴重なんです。とはいっても私、歌には本当に自信がなくて(笑)。ソロ曲が決まったときも「どうしよう……」って緊張してたんですけど、歌詞が上京する女の子の決意を歌った内容で自分と重なるところもあるし、さらにこれから生活環境が変わる方の背中を押せるような曲にできたらと思って、頑張って歌いました。

──ちょうど3月末リリースなので、卒業や進学、就職などで今まで住んでいた場所から離れる人に聴いてほしい内容ですよね。この曲をレコーディングするときは、どういったことを思い浮かべて歌いましたか?

深川:この曲を歌ってるときは田舎の風景というか、自然と故郷の静岡の景色が浮かんできたんです。歌詞には山というワードが出てくるんですけど、私の地元は山とまではいかないまでも、緑の風景というところでは共通点があったので、そういうところを思い浮かべながら歌いました。あと、自分の声は太くもないしそんなに力強いほうではないので、歌詞もすごく薄くなっちゃうんじゃないかなってすごく心配で(笑)。でも歌詞につづられている決意がちゃんと伝わるようにって気持ちで、一生懸命歌いました。

──曲調と相まって、ちゃんと説得力が感じられましたよ。

深川:おっ、本当ですか。よかった。

──表題曲含め全体的に春らしい作風ですし、深川さんの卒業という要素がなくても春に聴きたくなる曲として成立していると思うんです。

深川:そう言ってもらえると、安心します。ふふふ(笑)。

──それにしても本当にいいソロ曲をもらいましたね。

深川:本当にそう思います。いろんなめぐり合わせで……あ、ソロ曲のMVもいろんな縁が重なっていて。私、監督の真壁幸紀さんが手がけた映画『ボクは坊さん。』を偶然観ていたんですけど、乃木坂46のスタッフさんは、真壁さんにオファーしたときはそのことを知らなかったんです。真壁さんは私がブログに映画の感想を書いていたのを知っていたみたいで、それを聞いたスタッフさんはビックリしたそうですよ(笑)。

──そういう縁があったんですね。ちなみにこの取材時点ではまだMVを観れてないんですが、どういう内容なんですか?

深川:廃材を集めてアート作りをしている1人の女の子がいるんですけど、ある日海で手紙の入ったボトルを見つけて。それはペルーに住んでる男の子が流したもので、手紙には「光るクラゲが観たい」って書いてあるんです。女の子はそのペルーの男の子の夢の叶えようとするんですけど、光るクラゲってどうやって見つけたらいいんだろうってことになって、最終的にはそれを自分で作ってしまって、写真に撮ってボトルに入れてまた海に流す……というストーリー仕立てなんです。

乃木坂46 『強がる蕾』Short Ver.

「選曲にめっちゃ悩んだ46時間TVスペシャルライブ」

 

──今回のシングルに収録された他のカップリング曲も聴いて感じたことですが、乃木坂46って本当に楽曲に恵まれたグループですね。

深川:そうかもしれない。実際に「曲から入った」と言ってくれる方もすごく多くて、そういう話を聞くとすごく嬉しいです。自分でもたまに初期の頃の曲を聴きたくなって、当時を懐かしんで聴くことがあるんですよ。特に初期のカップリング曲には今聴いてもいい曲が多いのに、バースデーライブみたいな企画がないと歌う機会も少ないのが残念で。

──そういえば2月下旬に放送されたインターネット番組『乃木坂46 4th Anniversary 乃木坂46時間TV』内で実施されたスペシャルライブでは、深川さんが各シングルから1曲ずつセレクトして、それを1stシングルからリリース順に披露していきました。あそこで選ばれた曲の数々を聴いても、改めていい曲が多いなと思いましたし。

深川:あの選曲はめっちゃ悩んだんですよ!(笑) 各シングルから1曲しか選べなかったけど、悩み抜いて決めたセットリストをファンの方やメンバーがすごく喜んでくれて、後になってやらせていただけて良かったなって思いました。

──例えば2ndシングル『おいでシャンプー』だったら、自分がフロントに立ったアンダー曲「狼に口笛を」を選ぶのはすごくわかるんです。でも3rdシングル『走れ!Bicycle』では初めて選抜メンバーに選ばれた表題曲を選んでもおかしくないのに、そこでアンダー曲「涙がまだ悲しみだった頃」を選択するというのが、何となく深川さんらしいなって思いましたよ。

深川:そこもすごく悩みました。やっぱり「走れ!Bicycle」は自分にとってすごく思い入れのある曲だけど「涙がまだ悲しみだった頃」もすごく好きな曲だし、私自身がこの曲をすごく聴きたいなっていう気持ちが強くて。だから自分が出ない曲はMC席でステージを観てたんですけど、その時間がすごく楽しかったんです。

──バースデーライブだと次の曲の準備に追われて、なかなかそうもいかないですもんね。

深川:そうなんですよ、裏でバッタバタなので(笑)。そういう意味では、今年はすごく貴重な周年イベントになったと思います。

──それにしても「ボーダー」(11thシングル『命は美しい』収録の、当時研究生だったメンバー6名が初めてレコーディングに参加した曲)を選ぶあたりにも、深川さんのこだわりが感じられて。

深川:いやいや、「ボーダー」は外せないですよ。

──そういうところも含めて、この人は本当に乃木坂46のことが好きなんだろうなっていうのが強く感じるんです。

深川:うん、大好きですね(笑)。例えば自分にとっての初めてのユニット曲「でこぴん」ではなく「君の名は希望」(両曲ともに5thシングル『君の名は希望』に収録)を選んだのだって、「君の名は希望」がせいらりん(永島聖羅)の初選抜曲だったし、このタイミングで一緒に歌いたいと思ったから選びましたし。

──そういうところからも、深川麻衣という人の乃木坂46における、全体を包み込む感じだったり愛情の深さだったりを実感するわけですよ。まさに「聖母」の名にふさわしいな、と。

深川:えーっ!? ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです(笑)。

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