4thアルバム『地球』インタビュー
摩天楼オペラ 苑&彩雨が語る、ヴィジュアル系の矜持「僕達は“入り口”になる」
「「ヴィジュアル系の自由さ」をまだ伝えきれてない」(彩雨)
ーー摩天楼オペラはTVにも積極的に出る印象があります。以前苑さんは「THEカラオケバトル(テレビ東京系)」でヴィジュアル系代表として出演されてましたね。自分たちをヴィジュアル系とくくられることに抵抗はありませんでしたか。
苑:なかったですね。やっぱりどうやったってヴィジュアル系ですから。そう言われるのがイヤみたいな感情も特にないですし、代表と選抜してくれたのはありがたいですね。TVは僕達が「出たい」と思ったらすぐに出れるようなものでもないですし。それでお声がけいただいたからには、というのもありました。
ーー彩雨さんは京都コンピュータ学院や京都情報大学院大学で、音楽とテクノロジーなどについて教鞭をふるってらっしゃいますよね。以前ファンクラブイベントで「ヴィジュアル系展望論」という講義を行っていました。その時に「ヴィジュアル系が好きなことが"黒歴史"になってしまうことが悲しい、それを変えたい」とおっしゃっていたのが強く印象に残っています。
彩雨:やっぱり自分が青春時代を注いだものに対して後々「好きだった」と言い難い状況というのは悲しいことだと思うんで。それは自分たちがヴィジュアル系シーンでやっていて思ったことです。
ーーファンの方もヴィジュアル系にコンプレックスを持ってしまう状況というのもありますが、外部からの「褒め言葉」として「ヴィジュアル系の枠を越えた」「~にしておくにはもったいない」という表現もあるじゃないですか。摩天楼オペラはそう言われがちなバンドだと思うんですよ。
苑:少なからずあります。相手は悪気なく言ってるので、そこでは「ありがとうございます」というところだけは伝えます。そこは褒め言葉だと受け取って、自分の中では「それでも僕はヴィジュアル系ですよ」って思っておく(笑)。ざっくりした世間的な「ヴィジュアル系」って、見た目重視で音楽が二の次みたいなイメージがもうついてしまっているし、それは拭い切れないのかな。だから僕達が内容もヴィジュアルも両方高めていけば徐々に世間のイメージが変わるんじゃないですかね。
彩雨:そもそも「表現とはなんなのか」って話だと思うんですよ。だって、ゴールデンボンバーさんが、表現としてダメなのかといえば違いますし、完成されたショーじゃないですか。ヴィジュアル系は自由なジャンルで、それの最たるものがゴールデンボンバーさんだと思うんです。大事なのはそこです。だから、「ヴィジュアル系なのに~」という人がいるのであれば、その「ヴィジュアル系の自由さ」をまだ伝えきれてないってことだと思うんですよね。僕らみたいなバンドもいれば、ゴールデンボンバーさんもいるし、色んな人がいてヴィジュアル系で楽しく音楽をやってるんですよ。
ーーヴィジュアル系という様式美を踏まえていたら、わりとどんな音楽性でも受け入れられる土壌はありますよね。
彩雨:そもそも様式美ってなんでしょうね。メイクしている男性=ヴィジュアル系かというと違いますし。
苑:圧倒的に「ヴィジュアルメイク」というものがありますよね。ボーカルの歌い方ひとつとっても「ヴィジュアル系的」なものはあるんですよ。
彩雨:先人たちの影響を受けて、その人達の歌い方をしてて、それがなんとなく「ヴィジュアル系ぽく」なっている。
ーー歌唱法にしてもキャラクターの集積がヴィジュアル系を構成していると、そういう記号が合わさった結果「ヴィジュアル系」が自然発生していったのでしょうか。そこにさらに脈々と新しい記号が積まれていって、その結果外部から見るとよくわからないものになっているのかなと。
彩雨:集積の結果が様式美かもしれませんね。だから単語のイメージだけ先に完成されてしまった気はしますね。そうそう、僕達「自分たちがヴィジュアル系かどうか」という話し合いをしたことがあるんです。
ーーそれは興味深いです。
彩雨:プロモーションの時に「ヴィジュアル系」という言葉を外すかどうかを話し合ったことがあって。それは2011年か12年くらいですね。ちょうど『Justice』くらいだったよね。
苑:自分達の意見以外も取り入れるのがメジャーのフィールドだと思っているので、自分がどう心の中でヴィジュアル系に誇りを持っていても、それがマーケティングに邪魔なんだと言われたら、外してみる試みもアリなのかなと思ったんです。ただそれをやってみた結果、そこまで効果を発揮しなかったので、やっぱり自分たちの本音でヴィジュアル系と言っていきたいという流れがあったんですよ。
彩雨:5人それぞれの考え方があるけども、僕らが5人集まっている「摩天楼オペラ」がヴィジュアル系シーンの中でやっていくのであれば、それでいい。僕たち自身はメタルバンドでも、ヴィジュアル系でも、J-POPと思って貰ってもいいというスタンスでやっていこうという所に落ち着いたんです。
ーー柔軟ですね。
彩雨:気にしたら始まらないし、最終的にやる方も聴く方も気にし過ぎはよくないと思います。
ーー最後にライブの話も聞かせてください。毎年恒例の女性限定男性限定ライブ、そして3月から全国ツアー『地球 -The Elements- TOUR』も控えてますね。
彩雨:男性限定が4回目ですね。
苑:最初の年は男性限定だけだったんですけど、小さめのライブハウスでただ激しいライブをするっていうコンセプトなんです。そしたら女性ファンも観たいという意見が来たので、2年目からは平等にやっていますね。
ーー全国ツアーで初めて行く土地はありますか?
彩雨:行ったことない土地には行きたいですね。だから今回も入ってるんですよね。郡山、松江は初めてなんですよ。少しづつ広げていきたいなあっていう気持ちはあります。
ーーそしてツアーファイナルは5月4日EX THEATER ROPPONGIですね。
彩雨:ツアーファイナルは僕達の結成記念というメモリアルな日でもあるので、それに向けて『地球』というアルバムをメインにセットリスト組んでいく予定なんです。このアルバムは激しいものからほっこりするものまで、様々な要素の曲があって、CDはCDで完成されているんですけど、それをライブで表現することで、また新しい曲の見え方が出てきて、より「伝わる」と思うんです。またCDとも違う、CD以上の摩天楼オペラを見せられたらいいなと思っています。
苑:今回このインタビューで思ったんですけど、僕達自身はヴィジュアル系という言葉を大事にしているんですけど、音楽の内容としてはメタルやハードロック、それに「みんなのうた」みたいなものもあったりして、いろんな曲を演奏しているバンドです。だからヴィジュアル系を好きな人はもちろん、知らない人もヴィジュアル系の入り口になると思うんですよ。入りやすいバンドだと客観的に思うんで、ライブやCDを通して少しでも体感してくれたら嬉しいです。そしてライブも「怖いんじゃないか」とか「ノリがわからないし…」みたいなことは考えずに来てほしいですね。楽しませる自信はあるので。
(取材・文=藤谷千明)
■リリース情報
『地球』
発売:2016年1月20日
【初回限定盤】CD+DVD ¥3,241(税抜)
【通常盤】 CD only ¥2,685(税抜)
初回限定盤/通常盤(初回製造分)共通封入あり
<収録内容>
[CD]
1. PANDORA
2. BURNING SOUL
3. 致命傷
4. YOU & I
5. 君と見る風の行方
6. Good Bye My World
7.青く透明なこの神秘の海へ
8. FANTASIA
9. SILENT SCREAM
10. ether
11. 讃えよう 母なる地で
12. 地球
Bonus Track ※初回限定盤のみ
13. 嘘のない私で
[DVD] ※初回限定盤のみ
ether Music Video
BURNING SOUL Music Video
PANDORA Music Video
特典映像「撮影メイキング映像」
初回限定盤・通常盤初回製造分のみ:プレゼント応募券封入
■ライブ情報
「MATENROU OPERA GIRLS ONLY GIG –LIVE魔天女 & BOYS ONLY GIG –LIVE摩天狼」
MATENROU OPERA GIRLS ONLY GIG –LIVE魔天女
2月13日(土)新宿MARZ ※女性限定ライブ
MATENROU OPERA BOYS ONLY GIG –LIVE摩天狼
2月14日(日)新宿MARZ ※男性限定ライブ
■ツアー情報
「地球 -The Elements- TOUR」
3月6日(日)柏PALOOZA
3月13日(日)札幌cube garden
3月15日(火)盛岡Club Change WAVE
3月17日(木)仙台darwin
3月19日(土)郡山HIPSHOT JAPAN
3月20日(日)水戸LIGHT HOUSE
3月31日(木)新潟Live Hall GOLDEN PIGS RED STAGE
4月2日(土)長野CLUB JUNK BOX
4月3日(日)金沢 vanvan V4
4月9日(土)LiveHouse浜松窓枠
4月10日(日)KYOTO MUSE
4月12日(火)広島Cave-Be
4月14日(木)松江canova
4月16日(土)熊本B.9 V2
4月17日(日)福岡DRUM Be-1
4月19日(火)松山SALONKITTY
4月29日(金・祝)名古屋CLUB QUATTRO
4月30日(土)梅田CLUB QUATTRO
5月4日(水・祝)EX THEATER ROPPONGI
■オフィシャルHP
https://www.matenrou-opera.net/