Silent Sirenのライブはなぜ「楽しい」のか “覚悟”と“挑戦”のステージから魅力を読み解く

Silent Sirenのライブはなぜ「楽しい」?

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 すぅとあいにゃんが、ステージの花道両翼に分かれてのダンスビートナンバー「DanceMusiQ」で会場が一気にダンスフロアと化し、「NaNaNa〜」のコール&レスポンスが一体感を加速させる。つづく「「Are you Ready?」」では、あいにゃんのスラップ、ひなんちゅの激しく打ち鳴らされるタム、すぅのむせび泣くギター、ゆかるんのフラッシーなオルガン、4人が競い合うように絡むスリリングなソロバトルにオーディエンスが我を忘れて熱狂しつつ、8000人の鬨の声「アー ユー レディー?」が会場にこだまする。すぅがここに集まってくれた感謝と、武道館ライブにより新たな目標が出来たことを口にし、“武道館へ行くため作った大切な曲”と紹介された「KAKUMEI」へ。

 ひなんちゅ自ら制作・構成に関わったというこの日は、事前にウェブサイトでのリクエスト投票<Request Award 2015>が行われており、映像を交えながらのカウントダウン形式で結果発表がされた。センターステージでのピアノによるリアレンジが印象的だった「stella☆」(10位)、メンバーの予想に反して意外と?人気の高かった「フィルター」(8位)、4人のボーカルが交錯していく「want CHU♡」(2位)など、シングルカップリングや普段あまり演奏されてこなかったこの楽曲たちは、ここまでのセットリストにほとんど組み込まれており、リクエストを基にした構成であったことにあらためて気がつく。そして1位の「→」が発表されるとともに、映像から生演奏へと突入した。

 すぅのギターとあいにゃんのベースの掛け合いバトルが白熱するオリエンタルなナンバー「チャイナキッス」、すぅがおもむろに掻き鳴らしたD♭コードのフィードバックを残しながら、高らかに歌い上げて始まった「爽快ロック」、全力でぐるぐる回されるタオルで東京体育館が埋め尽くされた「ぐるぐるワンダーランド」で本編は終了。この曲を以て、<Request Award 2015>の上位10曲すべてが演奏されたことになる。

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 会場全体の振り付き「チェリボム」ではじまったアンコール。アルバムを引っ提げての全国25箇所26公演<Silent Siren Live Tour 2016「Sのために Sをねらえ! そしてすべてがSになる」>の発表に会場が沸き、「ずっとやりたかった」というライブハウス中心の会場名がスクリーンにスクロールされていくと、至るところからどよめきと歓喜の声があがる。そして、ツアーファイナル「7月18日(祝・月)横浜アリーナ」の文字が映し出されると、地鳴りような大歓声が巻き起こった。「みんなをもっと大きいステージに連れていきたいと思ってて……」「国民的ガールズバンドになります!」と、ひなんちゅが涙ながらに宣言し、大歓声に包まれながら感動のフィナーレを迎え……ないのがサイサイである。

 感動に浸るのも束の間、「開演中のカメラ、携帯電話による撮影、録音は禁止です〜」と、すぅのナレーションによる『NO MORE 映画泥棒』のパロディ映像が流れだす。開演前にも流れていた映像だが、「だけど、次の曲は特別に撮影OK!」という思わぬ展開が。カメラ男の正体はゆかるんだった、というオチ付きである。あの怪しい動きを完全にマスターしている姿にサイサイの誇る“歌って踊れるキーボーディスト”の本気を見た気がした。こういう細かいネタを突如ブチ込んでくるのもサイサイのエンターテインメント性だ。みんな「撮影したいけど、撮影してるとノれない」という喜びのジレンマに陥りながらもひたすら盛り上がった「Sweet Pop!」、会場全体が一心不乱に手と声を上げた「ビーサン」の大合唱で、Silent Sirenの2015年は幕を閉じた。

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