BLUE ENCOUNT、新曲「はじまり」でネクストステージへ「“安定の不安定”で振り幅を提示したい」

ブルエン新曲で新章突入へ

「重要なのは勝ちも負けも自分の糧にして、あらたな一歩を踏み出せるか」(田邊)

BLUE ENCOUNT 『はじまり』(ショートver.)第94回全国高校サッカー選手権大会応援歌

 

――「はじまり」のようなシンプルかつストレートで、歌の力を問われるロックバラードをクリエイトするのはどうでしたか? こういうタイプの曲だからこその難しさもあったと思うんですけど。

田邊:おっしゃるとおりですね。高校サッカーの応援歌というお話をいただいて、ゼロから作り始めたんですけど、『≒』を作り終えたばかりだったので、何も思い浮かばなくて。

――出し切ったあとだったから。

田邊:そうなんです。夏フェスシーズンでもありましたし、ライブに向けたモードだったというのもありましたし。お話をいただいたときに締め切りまで間に合わせる自信がホントになかったんです。決勝戦のスタジアムという舞台で歌うことも前提にあったし、そのゴールを見据えたときに「俺は何を歌えばいいんだろう?」って思ったんです。それで、お話をいただいた1週間後に曲作り合宿に入ったんですね。

――先方からこういう曲を書いてほしいというオーダーはなかったんですか?

田邊:これがありがたいことに、高校サッカーの製作チームがブルエンのライブを観てくれて、ホントに気に入っていただいたみたいで。「どうぞ好きなように作ってください」と言ってくれたんです。5月にリリースした『DAY x DAY』はアニメ「銀魂」のオープニングテーマに起用していただいたんですけど、そのときも具体的なオーダーはなかったんですよね。ありがたいし、バンドとして恵まれてますよね。でも、だからこそ難しい部分もあって。

――高校サッカーの応援歌ということで、さらにバンドのパブリックイメージもかんがみて、疾走感のある曲を書くという選択肢もあったと思います。

田邊:そうなんですよ。「もっと光を」や「HANDS」の延長戦上にあるような、8ビートで、アップテンポで爽やかに背中を押すような曲を期待されてると思って当初はそういう曲をたくさん作ったんです。でも、満足いかなくて。初日に断片的なものも含めて20曲くらい作ったんですね。どれも曲としてはいいんだけど、高校サッカーの歴史やテーマに当てはまらないなと思ったんです。自分たちで勝手にブルエン像を作っていたんだなと思いました。そういうことを思いながら、合宿初日の夜に僕ひとりだけスタジオに残って作業を続けたんです。そこでふと思ったんですよね。「もっと光を」も「HANDS」もシンプルにそのときの自分と向き合ってできた曲なんですね。だったら、今回もそれをやってみようと。ただ、今回は高校サッカーの曲だから、高校時代の自分と向き合おうと思って。高校時代って、このバンドにとって一番きつかった時代でもあって。周りに応援してくれる人が誰もいなくて、いつも「バンドなんてやめちまえ」って言われるような状況で。だからこそ、当時の自分たちを思ったときにこういう曲があったら救われただろうなと思う曲を書こうと思った。それで「はじまり」のサビができたんです。すぐにメンバーに聴かせて。

――なるほど、だからこそこの曲は敗者が本当の意味での“はじまり”に気づくという視点で描かれている。

田邊:そうなんです。どの世界も勝者は一握りしかいないじゃないですか。メジャーデビューできる人も一握りだし、さらにそこで生き残っていける人も一握りで。高校サッカーで言えば、優勝チームしか最後まで勝者になれないし、優勝チームでもレギュラーメンバーになれなかった人もいるわけで。僕らも逃げるように地元から上京して、上京してから同い年のバンドが活躍している世界があって、「ハタチや21歳でメジャーデビューしないと危ないよ」って言われ続けていた過去があったから。そういうことを隠さず曲にすることで、BLUE ENCOUNTが表現できる一番の応援歌になると思ったんです。ホントに大事なのは、“勝ち負けの先”なんですよね。将来的に勝者と敗者が逆転することだってあるじゃないですか。だからこそ、重要なのは勝ちも負けもちゃんと自分の糧にして、またあらたな一歩を踏み出せるかで。

――メンバーは田邊さんが書いた「はじまり」のサビをどのように受け止めましたか?

高村:サビを聴いたときにパッと高校サッカーの画が浮かんだし、「この曲なら絶対届く!」という確信とともに鳥肌が立ちました。

辻村:この曲だったら、高校時代の自分も聴いただろうなと思いましたね。ベースラインも自分の経験を反映させることを意識して。ストーリー性のあるものにしたいと思いました。それはベースだけではなくサウンド全体にも言えることだと思います。

江口:曲作りにあたって、製作チームに過去の高校サッカーのロッカールームの映像をいただいたんですけど、「はじまり」を流しながらその映像を観たときにこれ以上の相乗効果はないなと思いました。この曲しかない、と。

――最後に、「はじまり」から始まるBLUE ENCOUNTの2016年の展望を聞かせてください。

田邊:2016年第一弾のシングルで、音楽的にもバンドの振り幅を示せると思うので。さらに、ありがたいことにガンダムのオープニングテーマ(MBS・TBS系アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」新オープニングテーマとして新曲「Survivor」が起用される)もあって、その曲もすごく自信があるので。このバンドらしく“安定の不安定”だからこそ出せる振り幅を提示していきたいですね。

高村:個人的に今年は音楽をやってきて、過去最大の壁にぶつかる予感があるんです。それを乗り越えられるかで音楽人生が決まるくらいの覚悟をもって臨みたいと思います。

辻村:勝負の年ではあるんですけど、気負いすぎず、でも軸はブレずに。もっと自分たちの自信がそのまま誰かの背中を押せるような存在になりたいですね。

江口:あとは、ライブハウスシーンのもう一歩外の世界を見据えて――ストレートに言うと、万人が歌えるようなヒット曲を作りたいです。それはバンドとしても、チームとしても大きな目標ですね。

(取材・文=三宅正一)

■リリース情報
BLUE ENCOUNT『はじまり』
発売:2016年1月13日(水)
価格:初回生産限定盤(CD+特典CD)¥1,667(税抜)
通常盤¥926(税抜)
完全生産限定盤(CD)¥370(税抜)

<収録曲 DISC1>
1.はじまり(全形態収録)
2.パラノイア(通常盤のみ)

<特典CD収録曲 DISC2>
1.JUST AWAKE「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH」2014.12.13 at Shibuya O-EAST
2.アンバランス「NEXT DESTINATION」2013.12.19 at Shibuya O-WEST
3.SLUGGER「NEXT DESTINATION」2013.12.19 at Shibuya O-WEST
4.THANKS「TOUR 2015 GRAB THE LIGHT」2015.6.12 at Zepp DiverCity(TOKYO)
5.DAY×DAY「TOUR 2015 GRAB THE LIGHT」2015.6.12 at Zepp DiverCity(TOKYO)
6.MEMENTO「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH」2014.12.13 at Shibuya O-EAST
7.HANDS「DESTINATION IS "PLACE"」2014.7.5 at Shibuya QUATTRO
8.HALO「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH ENCORE SHOW」2015.1.28 at Ebisu LIQUIDROOM
9.NEVER ENDING STORY「DESTINATION IS "PLACE"」2014.7.5 at Shibuya QUATTRO
10.もっと 光を「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH ENCORE SHOW」2015.1.28 at Ebisu LIQUIDROOM

※全形態に『TOUR2016 THANKS~チケットとっとってっていっとったのになんでとっとらんかったとっていっとっと~』チケット先行抽選受付シリアルナンバー封入

■ライブ情報
『TOUR2016 THANKS~チケットとっとってっていっとったのになんでとっとらんかったとっていっとっと~』
3月29日(火)香川・高松DIME
3月30日(水)高知・X-pt.
4月1日(金)愛媛・松山 W studio RED
4月5日(火)京都・KYOTO MUSE
4月6日(水)大阪・あべのROCKTOWN
4月8日(金)兵庫・神戸 MUSIC ZOO KOBE 太陽と 虎
4月19日(火)福岡・小倉 LIVE SPOT WOW!
4月21日(木)長崎・DRUM Be-7
4月23日(土)鹿児島・SR HALL
4月24日(日)宮崎・SR BOX
4月26日(火)福岡・DRUM Be-1
4月27日(水)山口・LIVE rise SHUNAN
5月7日(土)埼玉・西川口 Hearts
5月10日(火)群馬・高崎 club FLEEZ
5月11日(水)栃木・宇都宮 HEAVEN'S ROCK VJ-2
5月16日(月)愛知・名古屋 ell.FITS ALL
5月18日(水)静岡・LiveHouse 浜松 窓枠
5月19日(木)愛知・豊橋 club KNOT
5月25日(水)千葉・LOOK
5月26日(木)神奈川・横浜 BAY JUNGLE
5月31日(火)茨城・水戸 LIGHT HOUSE
6月4日(土)北海道・帯広 STUDIO REST
6月5日(日)北海道・旭川 CASINO DRIVE
6月7日(火)北海道・札幌 cube garden
6月11日(土)宮城・仙台 HooK
6月12日(日)岩手・盛岡 CLUB CHANGE WAVE
6月14日(火)新潟・CLUB RIVERST
6月15日(水)長野・LIVE HOUSE J
6月17日(金)富山・SOUL POWER
6月18日(土)石川・金沢 vanvan V4
6月21日(火)岡山・CRAZYMAMA 2nd Room
6月22日(水)広島・CAVE-BE

チケット料金:¥4000(ドリンク別)

全国ワンマンツアー『TOUR2015-2016「≒U」』(2016年)
1月16日(土)東京・Zepp Tokyo(OPEN 17:00/START 18:00) ※SOLD OUT
1月17日(日)東京・Zepp Tokyo(OPEN 16:00/START 17:00) ※SOLD OUT
(終了分は割愛)

BLUE ENCOUNTオフィシャルサイト
BLUE ENCOUNT LINE公式アカウント

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