INKT『Re:birth of INKT TOUR2015-2016』インタビュー

INKT率いる田中聖(KOKI)、バンド活動への決意を語る「ポジティブな意味で、一寸先は闇!」

 田中聖(KOKI)がボーカルをつとめるロックバンド、INKT。2014年11月に1stアルバム「INKT」でデビューした彼らは、2015年、ライブに重点を置いた活動を展開し、『AOMORI ROCK FESTIVAL'15〜夏の魔物〜』『肉ロックフェス2015』『SuGフェス2015』などのフェスに出演。また『AnimeFriends2015』(ブラジル)、『SKECHERS SUNDOWN FESTIVAL2015』(シンガポール)といった海外のイベントにも参加するなど、活動の幅を確実に広げている。ヘビィロックを軸にした独特のミクスチャーサウンド、KOKIのエモーショナルなボーカルを共存させた音楽性も、徐々に浸透してきていると言っていいだろう。今回リアルサウンドでは、KOKIへの単独インタビューに成功。INKTの成り立ち、これまでの活動の手応え、将来的なビジョンから彼自身の音楽観まで、たっぷり語ってもらった。(森朋之)

「生音でやってると、グルーヴがハマったときの気持ち良さがすごくある」

ーー今回はINKTについてじっくり聞きたいと思っています。まずは12月から1月にかけて行われたライブハウスツアー(『Re:birth of INKT TOUR 2015-2016』)の手応えから教えてもらえますか?

KOKI:僕らはバンドとしては特殊で、まずワンマン(ライブ)からスタートしたんですね。その後フェスや対バンを経験させていただいて、課外授業じゃないですけど、そのなかでいろいろなことを少しずつ吸収して。今回のツアーは、そこで得たものを整えている感じだったんです。ようやく“まっさら”な状態が出来そうなのかなっていうか…。やっぱり、対バン、フェスの経験が大きかったですね。アウェイだなと感じることもありますけど、ワンマンとは違う場所でライブをやるのがすごく楽しくて。対バン相手のステージを見て「ここがカッケーな」って気付くことも多いし、もっともっとやりたいって思います。

ーーINKTとしてライブが始まった頃は、緊張が勝ってしまったこともあったとか。

KOKI:いまも緊張はメッチャしてるんですけどね。ただ、ステージに出ちゃったらーーもちろん、きちんとやらなくちゃいけないこともあるんですけどーーそれよりも楽しんでライブをやりたいし、それがいちばんお客さんに伝わる部分なのかなって気がするんですよね。そういう意味では、まず「音楽、こんなに楽しいぜ」って自分自身が感じることがいちばんなのかなと。メンバーと一緒に「ここのイントロ、こう変えてみない?」とか「曲間はこういうふうにしてみよう」って模索する作業も楽しいんですよね。もちろん苦しいときとか、上手くいかなくてモヤッとすることもあるんですけど、基本はずっと楽しい。

ーーメンバーとの関係性もさらに密になった?

KOKI:最初は“友達”みたいな雰囲気が強かったんですよね。もちろんプレイヤーとして尊敬はしてるけど、ステージに一緒に立ったときにどう接していいかわからないこともあったし。いまはアーティストとして同じ方向を見ている実感も出来ていて、やっといい関係性が築けてきたのかなって思いますね。

ーー特にギターのKeiさんとは友達同士からのスタートだったんですよね。

KOKI:最初はただの友達でしたね。飲みに行ったり、ダーツやったりするだけの関係というか、音楽のことも「こんなギター買ったんだけどさ」という程度だったんですよ。その後「バンドやりたいね」という話を少しずつするようになって、「じゃあ、あいつらに声をかけてみるよ」って、mACKAz(ベース)、SASSY(ドラム)、kissy(キーボード)を連れてきてくれて。

ーーKOKIさんとしても「音楽をやるなら、バンド」というのはハッキリしてたんですか?

KOKI:そうですね。もともとバンドの音は好きで、お客さんとしていろんなライブに行ってたんですよ。フロアでぜんぜん知らない人をリフトしたり、モッシュピットに入ったりしてたし。まあ、その頃はただ暴れに行ってただけですけどね(笑)。フロアで汗かいて、ライブ終わった後は「さっきはリフト、ありがとうございました!」「いやいや」みたいな感じで知らない人と仲良くなって帰ったり。楽しんでましたね、普通に。

ーー以前はヒップホップが好きという印象もありましたけどね。

KOKI:そういうイメージが強かったみたいですね。実際、音楽が好きだなって感じたのは、ヒップホップからだったんです。その後、ロックを聴くようになって「ヒップホップとロックって、通じる部分があるな」って気付いて。いまはボサノバやジャズやブルースも聴きますけど、やっぱり生音がいいなというのがあるんですよね。だから、必然的にバンドをやろうという意識になったんだと思います。

ーーソロではなく、あくまでもバンドとして活動したいと。

KOKI:はい。いまのメンバーはプレイヤーとして尊敬できるヤツらだし、生音でやってると、グルーヴがハマったときの気持ち良さがすごくあるんですよね。メンバーとひとつになる感覚だったり、お客さんを含めて、会場がいっこになる瞬間だったり。それはひとりでは感じられないものだし、他に替えが効かない気持ち良さがあるので。

ーーライブにおいては、すごい一体感が生まれるときもあれば、そうじゃないときもありますよね?

KOKI:そうですね。歯車がなかなか噛み合わなくて、ステージの上で戦ってることもあるし。本当は安定しなくちゃいけないんですけど、戦ってる感じも楽しいんです。そういう経験も、成長につながるだろうなって。もちろん、ライブが終わったあとはすぐに反省会というか「あの部分、ちょっとフワッとしてたよね」みたいな確認をしてますけどね。今回のツアーもそうですけど、鉄を熱いうちに打つことで、強い刀が出来上がると思ってるので。

ーーその効果は確実に出てきてる?

KOKI:そうだと思います。まあ、難しいところもありますけどね。やっぱり人間なので、体調やテンション、睡眠時間によっても出てくると音が違うし。だからこそ、全部のバランスがひとつになったときが凄いんですけどね。

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