Acid Black Cherryが、作品やファンとの交流にかける思いとは? 高野修平が独自の視点で分析

 常に新しい戦略を打ち出しつつ、温かみのある交流でファンを楽しませるABC。自身の作る作品については以前yasuが語った次のようなインタビューがある。

「音楽だけを聴いてもらっても全然構わないし、歌詞カードも見なくてもいい、ましてや本を絶対読んでくれっていうわけじゃないんです。でももし、いいアルバムだなって思ってもらえた時に、もうひとつの世界があったら素敵じゃないですか。それでCDを買ってよかったなって思ってもらえたら、この時代にCDを出している意味がある思うんですよ。僕が、昔音楽を聴いたり映画を見て感動したのと同じように、これを手に取って感動を味わってほしいんですよね」

 これはまさにyasuの創作スタンスを示した発言と言えるのではないか。コンセプトアルバムは、今までも様々なアーティストが作品として残してきた。今回の「L-エル-」は大手出版社KADOKAWAから、ストーリーブックの書籍化が決まったように、重厚なストーリーと音楽との融合した作品というのは音楽界の長い歴史を見渡しても中々存在しなかったのではないだろうか。

 また、直木賞作家の姫野カオルコ氏は「クイックジャパン」Vol.119月号で、yasuの作り出す世界を「ロマン主義」というキーワードを通して語っている。

「彼の楽曲と歌詞を聴かせて頂いて、私なりのキャッチフレーズを考えたんです。『巧智なロマン詩人』。ロマン主義というのは、フランス革命において台頭してきたブルジョアジーが愛していた様な通俗的なお話に対抗して、もっと物語性のある芸術を作ろうというムーブメントであった訳ですが、yasuさんの描く歌詞と音楽には、それを感じました。毎回アルバムと並行して物語を作っているという魅せ方も、まさにロマン主義だなと。わざわざ大変なことを自分に課せながらも、そういう魅せ方にこだわっているという個性も実に興味深かったです」

 作品ごとに世界を生み出し、それをファンと共有してきたABCは、どんな“次の一手”を繰り出してくるのだろうか。

(文=向原康太)

■Acid Black Cherry 4th ALBUM「L-エル-」Special Site
http://acidblackcherry-album-l.com/

■オフィシャルサイト
http://www.acidblackcherry.net/

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